こみパ徹底解剖 〜一体なにが「くどい」のか〜

1.全体的なこと(99.06.15.)

 こみっくパーティー(略してこみパ)は今年Leafより発売されたの18禁ゲームのタイトルである。このゲームは一昨年発売されて一躍人気タイトルとなったF&Cのゲーム「Piaキャロットへようこそ2」(以降略して「Piaキャ2」)の原画及びプログラマーが移籍してLeaf東京開発部に移ったことでも話題になり、発売日が決定する以前よりかなり注目されてきた。
 それというのもいままでのLeafの作品に決定的に欠けている「華やかな絵柄」を彼らがもっているからだ。彼らの華やかな絵柄にLeafの持つ独特な物語性が加わるのを期待したユーザーはかなりいたと思う。また現在のF&Cでは実現しにくい「抜けるようなエッチ描写」が加わるのではないかという期待もあった。

 しかし、この期待はゲームのタイトルとシステムが公表された時点で消えてしまった。「こみっくパーティー」という名の即売会における同人誌の世界を模したパラメーターあげゲーム。このゲームシステムは前述の「Piaキャ2」に酷似している。「Piaキャ2」が自分を磨くのならば「こみパ」では作画能力を磨き同人誌の完成度をあげるのである。過去のLeafにあった物語性はこのシステムでは微塵も残らない。

 では、単純なパラメータあげゲームである本作品がなにをもって「くどい」とされているかというと、「同人誌を作る課程の設定」である。

 実際に同人誌を作っている人ならばいざ知らず、同人誌を買う側のほとんどは同人誌の作成単価というものに縁がない。また、実際に同人誌をつくっている人でも、ほんの一部の人を除いて千、二千のオーダーの本をつくるという機会にはめぐまれない。しかし、本編の主人公はよほどのことがない限り「同人誌の売上」についてかなりの数が約束されており、特定の女の子とのイベントをこなさなくとも「売れる同人誌」をつくる課程は満喫できるのである。より細かなテイストとしてリアリティのある値段設定、作成する本のページ数が加味されているのは言うまでもない。ただし、この同人誌作成シミュレーションとしてみると、コツをつかんでしまえば失敗のないものであるから、同人誌の制作課程の実際を知らない人程、この毎月必ずやらなければいけない同人誌制作課程はゲーム全体を「限りなくつまらない」ものに引き下げているのである。

 また、一部で大受けし一部で不評?をかっている「依頼原稿」システムも、本編のゲームとはまったく関係ないが、「くどさ」を加味している部分である。一通り萌え系ゲーム(あえてH系とはいわない)をやり、その絵柄に興味を持ち、萌え系の同人誌を買ったことがある人ならばすぐにわかる事なのだが、毎月ゲームの中で開催される「こみっくパーティー」で買える同人誌の同人作家及びサークル名は実際に存在する同人作家及びサークル名である。しかもなぜか本を買っただけで電話にて(!)原稿依頼ができてしまうのである。まったくもって不自然なこのシステムはゲームのほとんどに影響がない。単純にゲームを遊ぶのならば、どの作家に原稿依頼しても無味乾燥なのである。これもまた、より深く同人誌の世界を知っている人だけが楽しめるテイストである。実際、「俺は趣味に走った同人誌しかつくらなかった。XXさんと○○さんに原稿依頼してひたすらオリジナルの本をつくり続けた」という発言をした知人を知っている。このような発言がでるのは、その人がよりゲームの本編以外で楽しんでいるという証拠である。このシステムにもこみパというゲームが「くど」く「一般向けでない」部分が見え隠れするのである。