メンバーのつくえ

小さな学校での出来事

 昨年度、ページ作成者である「私」はとある小さな小学校で臨時教師をやっていました。小さな小学校ではあるのですが、やっぱり「いじめ」とよばれる状況は起こってしまうのです。
 サポートフォーラムの関係者でありながら、担当クラスで「いじめ」が起こってしまったことは、自分の力不足を切に感じるところなのですが、どうにか解決することができましたので、今回はその一部始終を報告したいと思います。

※いじめを受けた…女の子(A)

某月15日<状況の確認@>
 きたる授業参観のため、劇「木竜うるし」のビデオ撮影を行う。それぞれに役割分担をさせてはいるのだが、出番でない児童はどうしても遊びがちになってしまう。女の子(A)と男の子数名で砂の投げ合いが始まる。「目に入ったら危ない」と注意するが、その場でやめても、時間がたつとまた始めている。
 撮影が終了し、教室へ戻る。砂の投げ合いの雰囲気がさめやらず、まだふざけているので、給食後、全体に対して「砂の投げ合い」に関してもう一度指導。

某月16〜17日<状況の確認A>
 休み時間等に女の子(A)が男の子数名から「ばいきん」扱いされているようである。具体的には女の子(A)に触れた男の子が、他の男の子になすりつけるように触る、というもの。女の子(A)は「自分も加わっているふざけ合いである」かのようにふるまう(本人なりのプライドもあるのだろうか)。思えば前の日の「砂の投げ合い」も、女の子(A)が特に標的になっていたような気がする。要指導状態であるので、学級活動を20日に計画(授業参観・休日がはさまるため)。

某月18日<懇談会>
 授業参観日。参観後の学級懇談会で、女の子(A)の母親から「娘が帰ってきてから『学校に行きたくない』ともらして泣いた」ことをうったえる。本人談では「アトピーがあることを特にばいきん扱いされている」とのこと。他の保護者にもこちらで確認した状況を話し、いじめという状況まで至らせてしまった自分の力量のなさをお詫びした上で、学校でも引き続き指導をしていくので家庭でも子どもに話を聞いてもらうよう伝える。

某月20日<学級活動>
 構成的グループエンカウンター(集団活動を通して自己理解や他者理解を図るもの)の「うれしい言葉とイヤな言葉」を実施。
 @言われてうれしい言葉を紙に書いてもらい、黒板にはる。
 Aとなりどうしでその言葉を言い合い、その感想を聞く。
 B今度は言われるとイヤな言葉を紙に書いてもらい、黒板にはる。
 C以下Aと同じ
 D「イヤな言葉はいらないね」と確認し、紙を破り捨てる。

 児童の感覚としてはかなりインパクトに残った様子。

某月20日<教育相談部会>
 放課後、養護教諭・主任で会合。これまでの現状報告を行う。
 また、今後の指導について検討。
 ・児童一人一人に個別面談。クラスの雰囲気についてなど聞き取り。
     (ひとりでは大変なので、手分けして行う)
 ・いじめの背景をさぐるのでなく、いじめという行為そのものについて指導する。
     (人の体型体質について意地悪をするのは絶対にいけない)
 ・全員聞き取った段階で、全体指導。

某月21〜27日<聞き取り>
 クラスの雰囲気がおかしいことについてはほとんどの子が理解している。女の子(A)に対する不満も聞こえたが(ちょっかいを出してきたり、オーバーにリアクションしたりするのがイヤ、とか)、前記の方針に従いながら指導する。特にリーダー格になっていた子に対しては、「クラスを引っぱっていく力はあるのだから、いい意味でリーダーになってくれ」と言う。

某月28日<全体指導>
 養護教諭と相談し、「いじめ(に見える行為)については黙って見てないぞ」ということを伝えるような方向性を確認。
 聞き取り等で不信感もあるので、これが最後であることを伝えた上で指導。「今回の件では親が特に心配をしている、家の人と連絡を取りながらこれからやっていくので、みんなも家の人とよく話し合いをするように」という形で解決。

某月29日<家庭連絡>
 リーダー格になっていた子に対してのみ複数回聞き取りをしてしまったので、フォローをするため家庭に電話連絡し、家庭でも指導していただくよう伝える。

 今回救いだったのは、
 @早期発見ができたこと
 A懇談会が近くにあり、保護者全体に理解が行き渡ったこと

 だと思うのですが、そのまえに「いじめが起こらない学級作りをしろ」という話であって、その点はホントに反省してます。言い訳はできません。
 まあ、それでも上記下線部のことが子どもに伝えられたというのが大きいかな?と思います。また、「いじめをされる子にも問題がある」のような逃げをとらない、という自分のスタンスも守れたのもよかったと思います。

 今回の件で驚いたこともあるのですが、はっきりは書けません(笑)。おおざっぱに言うと「いじめをされる側にも問題があると思ってる人は意外と多い」ことと、「いじめの3要件の適用が対内的と対外的でちがうことがある」ことかな?


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