[俳句・短歌]

故郷は いずこに在りや 秋の空


 

上村凡歩 歌集・・・「回廊」


   S59年頃から    霧深し 峠の道は 秋の色    夏祭り 終りてみれば 疲れだけ    喜こんで 嵐吹き抜け 蝉の声(文化祭出品夏句)    秋涼し 菜園の草が おい茂り   秋の朝 路辺の花が 涼しげに     トウキビが いと重たげに 腰おりて    たくましく ジョギングする 秋の朝    秋晴れに 人は野に出て 山に出て    秋の朝 日を一杯に 吸い込んで    秋雨が どんよりと降る 日待ちかな    秋の雨 寒々と降る 還り道    冷や冷やと 森林浴が 有り難し    彼岸花 花壇の端に 咲き誇り    あつらえの 花瓶に生けし すすきかな(文化祭出品秋句)    くたびれて 色とりどりの 菊の花    時に触れ 山芋堀の 父は亡く    夜勤明け 次の仕事が 始まりだ    夜勤明け しばしの別れ 仲間達    指し騒ぎ 夜中の飯も そこそこに    故郷は いずこに在りや 秋の空 (題句)    子等の秋 諦めてゆく 還り道    今の子は 柿盗る事も なくなりて    秋雨が 子の川がにに 情かけ    山栗が 自然の様を そのままに    栗御飯 黒い御飯は 懐かしく    子等の秋 あいうえおを 憐れんで    名月や ただ暗天に 輝けり    2回目は 落ち着いて行く 運動会    運動会 子より親が くたびれて    運動会 来年こそ がんばろう    秋晴れて 子等と将棋 戯れる    金色に 谷を色どる 稲穂かな    秋の雲 夜明けとともに 輝いて    夜なべより 棋の道も又 険しくて    秋雨が 疲れを山に 解き放つ    秋の山 色とりどりに 化粧して    夜なべして 家無し子の 気楽かな    労実り 棟上げの祝い 秋晴れに    秋寒し 商売には 果てが無く    秋ふけて 子等は ようよう 育ちゆく    秋深し 牛歩の如く 進みけり    紅葉の 滝は真直に 流れ落ち    子等の秋 知らぬ間に 遊び場に    昔日も 刈田で遊ぶ 子等は今    冬来たり 不況風が 身にしみる    冬に入り 野も山も 疲れ果て    冬枯れに 飯一杯の 有り難さ(文化祭出品冬句)    冬入りて 尚も日ざしは 暖かく    日ざし在り それでもなお 枯野かな    病来て 安らぎも在り 冬野かな    掛乞の 気持ちになれぬ 不況かな    咳いて 道の遠きに 思いはせ    日記買い 来年こそは 人並みに    待望の 御用納めと なりにけり        年明けて 杉の木立に 変わりなく    正月は 一番酉で 目をさまし    赤旗に 初荷と書きし 品はまだ    指始め 盤打つ音は 冴え渡り(文化祭出品正月)    連れ添いし 日は厳寒に 巡り来て    鳥達が 春をさえずり 日も半ば    春分に 山の姿は 変わりなく    どしゃぶりに 菜の花だけが 咲き誇り    初春に 波野の里は 雪になり    初仕事 道路の雪は 凍てついて    冬の道 チエーンの音も 高らかに    初荷来て 阿蘇の山は まぶしげに    つずく雪 いくら大地に 積もれども    つずく雪 路地を白く ぬり直し    つずく雪 路地を白く 化粧して    雪の道 日差しがさらに まぶしげに    雪やんで 迷う程の ひざしかな    道在りしと 偲んだ春は 遠くなり    冬の日に 店番なりと 母は居て    冬の日に 晴天になり 気も緩む    冬晴れて 妻の手仕事 楽になり    鬼火焼 静かに燃えて 街さびし    初春に 日は巡り来て 子等の中    冬晴れに 万の事を 年ひとつ     冬晴れに 煙は横に 流されて    春近し ボイラーの火も 控えめに    すぎし冬 寒さは日々に 緩めども    初春に 杉の木立は 変わりなく    殉教の 島の春を 思いだし(文化祭出品春句)    鮎獲りし 清淵は今 川辺川 (川辺川ダム問題) どんどやに 幸再びと 御札焼き(平成15年歌はじめ・・・句題「幸」) 早きもの  造り物は  風鎮祭  (返句) 秋雨が 道往く親の 姿在り 寒立ちに 現金つかみの 人だかり (H16年 現金つかみ取りセールにて)     椎葉路に 夏山深く 只一人   (平家落人の里 椎葉村) 時は今 蛍飛び交う 2月かな  (H19年地方選挙の年) 古に 抜きし山城 桜道 (高森城祉)            忘れ雪 タイヤぬかるむ 峠道        知らぬ間に 米麦芋の 利きを知る (焼酎党) 早乙女の 言葉遊びに 夏の果て  (俳句甲子園評) 家猫が  主(ぬし)になつかず  秋の声     仏壇に 赤鮮やかな 彼岸花      南郷は 熊襲の故地と 赤とんぼ (熊襲は阿蘇山を崇拝していた)        義慈母忌で 線香余計に  秋の夕    外輪の  向こうを照らす 今日の月 (十五夜)       十三夜 雲に囲まれ 我を見る (十三夜)        小春日に ベスト電器を 迎え討つ (南郷にベスト電器出店)        年の瀬は 山里埋れ 老母(はは)寂し (雪の大晦日)    1日は チラシ眺めて 店開ける        ・・・(H20年正月 いつもは正月2日だが、他店のチラシは気にかかるもので在る)    囃子あり 濁酒飲んで 夕桜  (花見)  かご盛し 通草眺めて 喰うをせず (NHK俳句王国題 あけび 通草) 初仕事 物にならずに メール見る  (H21年正月 賀状もメールで来るが、部品が無くて中古の修理は不出来も仕方ない)            家猫が 初子探して 牡丹百合    家猫が 老母(はは)と添い寝で 山笑う    堀の垢 洗い流して 梅雨に入り   君が見た 雲が流れて  阿蘇の夏 正月は 勝った負けたと ネット指し (H23年正月 大雪でもネット将棋で退屈せず) 久かたに 猫が帰りて  霜の屋根  (数日ぶりに家猫が御帰還 外の屋根には真白の霜 寒くて家に帰ったものであろう) 山に居て ボート 楽しむ 初の晴れ  (H24年正月 近くの高千穂峡でボートを漕いだのか?) 古本を 倉に戻して 梅雨を待ち          ぼた雪が 舞って子野良の 屋根の裏  (12月 野良猫にえさを与えたら倉庫に住みついて子猫を生んだ)     元朝に 餌箱溢れ 野良の家 (H25年正月朝雪化粧 勝手を開けると母猫が走って来る、餌を持って小屋に行くと子等も元気そうだ)     店前に 打ち水をして  御山見る  (7月 連日の猛暑で阿蘇山の高岳を望むが頂きも暑そうである)  初氷 朝の仕事に 手間かかり  (11月下旬 日課の店の拭き掃除が水道も凍って時間が掛かってしまった) 競馬(うま)に勝つ 策を巡らせ 年明くる (H26年正月 午歳)  初日から 講書読むも 道険し  (昨年は電話の資格が受験場で最年長で在ったが今年こそ)   どんどやで 庭にも出せぬ 三毛のオス  (近くでどんどやをしてるが、私は子猫の番である) 梅雨寒し 我が子のように 涙して (雨の中、充分仕事をした作業車が引き取られて行く) 売り玉を  集めて騰がる 秋の株 (株も人生も思う様にはいかないものだ) 籾殻が  散って掃除の 邪魔になり     どんどんと  暗雨に響く 秋花火 (千年草原祭の出し物だが、花火はやはり夏場が旬である) 阿蘇山が 噴いてヨナ降り 冬座敷 (19年ぶりに噴火)    ヨナ降りて ソーラー掃除に 冬日和   冬篭り 電気を入れた 野良の家 (年末の積雪でアンカを入れるが猫の世話も手が掛かる) 初春に 野山溢れる 羊たち (平成27年正月 良い年になりますように) 焔天に 爆竹響き 鬼火焼き  (御岳の噴火が早く治まる様に) 初日は 水も凍りて 猿と住む (平成28年正月 猿と共生する山里の正月)  深深と 道も畑も 雪煙 (大寒の時期 北国並みの大雪になった)      地震来て 変わりなし 5月空 (未曾有の災害で阿蘇大橋も落ち山肌も変わってしまった)    地震来て 風呂桶変わり 夏の夕 (タイルが落ちたのでユニットバスに変えた) 一日で 棟屋根仕舞う 土用中 (つい近所で大手メーカの家が建ち始めた、賑やかで結構である)        震災の 祈り澄み切り 初の朝 (平成29年 復興元年の正月の空はどこまでも澄み切っている) 梅雨明けが 惜しむ風情の 裏の堀 (日頃は空堀も梅雨時には清流になり小滝も生じる) 雨蛙 道に迷って 吾を見る (連日の猛暑の日曜の朝、水辺には子蛙が涼しそうだ) 笑みかける 犬のスタンプ 賀状かな (H30年正月 郵政のスタンプは人気が在る様だ)      宮参り 帰りし子等の 御神籤は (やはり気になるもので在る)       白のまま 鳥がさえずり 春が立つ (長く続いた寒さで御山は未だ雪化粧だが漸く春の兆しが見えてきた)      エアコンが 売れて見舞いに 手を合わす (売れても素直に喜べない) 盛夏過ぎ へぼ将棋に 疲れ増す (全国版ネット将棋で腕は上がらないが、異常な猛暑も峠を越したか)   手の下で 沈みもしない 柚子の風呂 (冬至 丸ながらの柚子風呂)   西暦で 明けた飾りは 店一つ ( 2019年元号代わりの年明け、手違いで店舗のみの飾りとなった)   令月に 元号決まり 古希近し (15年ぶりに地区予選に出場した)    芝庭に 鳥も囀り 桃の花   盆参り お返し物が 山となり (県民文芸賞出品)      夏祭り 子供踊りに 金包む  (県民文芸賞出品)   秋立つも 入(はい)りも出来ぬ 天日風呂  (県民文芸賞出品)   戌の刻(いぬのこく) 赤鮮やかに 花火発つ  (県民文芸賞出品)   秋雨が 苦にもならぬ ネット指し  (県民文芸賞出品)   熟れ過ぎも 捨てるに惜しい  裏の柿  (今年も甘柿が沢山出来た、縁故、組内に配るのも恒例だ)   正月も 並と変わらず 店掃除             日の丸だけが 晴れに鮮やか (令和2年 正月の歌) 高橋先生の添削指導  H19年8月30日(木) ------------------------------------------------------------------- ------------------------------------------------------------------- 題 「夏負(夏ばて)」 鮎獲りし 清淵は今 川辺川 喜んで 嵐吹き抜け 蝉の声 早乙女の 言葉遊びに 夏の果て あつらえの 花瓶に生けし すすきかな -------------------------------------------------------------------------------- 1815.★印とコメント 名前:高橋正子 日付:9月1日(土) 19時1分 鮎獲りし清淵は今川辺川★★ 吹き抜けし嵐喜こぶ蝉の声★★★(添削) あつらえの花瓶に生けしすすきかな★★★ あつらえて、 お気に入りの花瓶に生けたすすきに、野の風情を楽しまれたことでしょう。 -------------------------------------------------------------------------------- -------------------------------------------------------------------------------- 早速の御指導有難う御座いました。 熊本は「阿蘇山」で生活していますが、生まれ里「人吉」は、占魚先生の御出身でして、 その名も球磨川名産の鮎をもじったと伺って居ります。 私は将棋がヘボながら好きでして、凡歩に成りました。    (参考) 歩の種類と呼称         「横歩」「たて歩」「底歩」「端歩」「つぎ歩」「2歩」「と金」「歩切」「凡歩」? -------------------------------------------------------------------------------- 題 「新涼」 秋涼し 菜園の草が おい茂り 秋の朝 路辺の花が 涼しげに 冷や冷やと 森林浴が 有り難し -------------------------------------------------------------------------------- 1820.★印とコメント 名前:高橋正子 日付:9月2日(日) 23時51分 秋涼し菜園の草がおい茂り★★★ 菜園の草も、秋になるとのびのびと茂感じですね。 秋の朝路辺の花が涼しげに★★★ 冷や冷やと森林浴が有り難し★★ ※阿蘇にお住まいだそうですね。阿蘇は、若いころ旅行で訪ねました。とてもいいところですね -------------------------------------------------------------------------------- --------------------------------------------------------------------------------  人吉の俳人 故 上村占魚先生の印象句  我が里は 球磨(くま)の人吉(ひとよし)鮎どころ  本丸に立てば二の丸花の中・・・人吉城祉  一茶忌や我も母なく育ちたる  我が夜長妻の夜長の灯一つ  阿蘇人と阿蘇をたたえてビール抜く  
        [漢詩]      還暦を迎えて
 還 未 不 知  (還りて 未だ 知らず)    心 新 而 学  (心新た にして 学び)     求 欲 道 楽  (道の楽を 求めんと 欲す)     古希を迎えて
天草 瀬戸のホテルで祝いを開催 令月に      (れいげつ に) 宴集いし    (うたげ つどいし) 瀬戸の宿    (せどの やど) 開閉橋は    (かいへいばし は) 夢の亦夢    (ゆめの またゆめ)

   好きな漢詩「論語」為政より抜粋   十有五而志学   三十而立   四十而不惑   五十而知天命   六十而耳順   七十而心所欲,不違規    [儒文]    小にして学べば、則ち壮にして為すこと有り  壮にして学べば、則ち老いて衰へず  老いて学べば、則ち死して朽ちず           「言志晩録」より  佐藤一斎     

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