三女の母さん、難しいご質問ですね。既に珠算暗算1級を取って
いらっしゃる。満点合格を目指しているということですが、段の
検定は受けていらっしゃらないのでしょうか?1級の満点合格を
狙うのなら同時に段も受験すべきです。段は正確さを多少犠牲に
しても先ずスピードを重視し解答数をこなさなければなりませ
ん。スピードアップを心がけると正確さは一時的に落ちてきま
す。でも、そのスピードに慣れてくればまた正確さもアップしま
す。あまり、1級の満点合格にこだわっているとこのスピードア
ップが難しくなります。ですから、段に照準を当てながら練習
し、しかも1級満点も狙うというのがいいのではないでしょう
か。
同じ問題を何ヶ月も練習していると必ず好不調の波がやってきま
す。前述しましたように練習の繰り返しで自然と指が早くなって
きます。そうすると正確さが知らない間に落ちてきます。そして
またしばらくすると正確さが向上しだすという波なのです。その
波下降期(スピードの上昇期)にお子さんは入っていたのかもし
れません。
次は油断もしくは焦りです。現実問題として満点合格を狙うには
時間的余裕が必要です。各種目5〜6分でこなせるようでないと
冷静な受験は難しいと思います。焦りがここから生まれてきま
す。
次のような事例もあります。昔の日商検定(伝票あり)で1級に
75・100・100・100だった生徒がいました。つまりか
け算だけ後5点足りなかったのです。こういう結果を見ると一般
の方は次は楽勝だと思ってしまいます。でも、こういった場合2
回目は必ずといっていいほど50点とかの悪い点数を取ってしま
うのです。この場合焦りではなく油断です。今度は大丈夫という
気持ちが計算を雑にしてしまうのです。
一方で、1級合格後の最初の段の検定ではかなり悪い点数を取る
ことがあります。これは題数をこなさなければと焦ったり、周り
がみんな凄いレベルだったとかで、自分のペースを見失ってしま
うケースもあります。
野球のピッチャーだってそうでしょう。毎回必ず好投するとは限
りません。気持ちのちょっとした狂いが全てを狂わせてしまうの
です。ましてや正確さとスピードの両方が要求されるソロバンで
す。その日の体調などでも結果は大きく違ってきます。
ご家庭での、お父さんやお母さんの期待が大きすぎてプレッシャ
ーがかかることもあります。
お子様は落ち込んでおられるようですが、そんなこと気にする必
要はありません。大事なことは次回にまでそれを引きずらないこ
とです。それと、お母さんがでんと構えて「だめだったの?じゃ
あ、次のときに頑張ればいいじゃない」くらいの気持ちで接して
欲しいのです。笑って済ませるだけの大きな気持ちで接して欲し
いのです。こどもはそれで救われるのです。
何か、とりとめもない方向に行ってしまいました。アドバイスに
なるかどうかわかりませんが、要するに周りが余り気にしないこ
とです。
以前私の娘が3級で苦労したことがあります。私はその度に大笑
いして済ませました。それがあるから高段者になるまで頑張れた
のだと思います。もちろん特別な練習は一切させていません。初
めから終わりまで単なる一人の生徒としての扱いしかしませんで
した。
子供にとって親の期待ほど息苦しいものはないのです。そのこと
を「三女の母」さんも心しておいて欲しいと思います。
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