ハーフビート
空手の試合を見て「ぴょんぴょん空手」となじる人がいますが、リズムを持って体を動かすことは非常に重要です。他の格闘技を見てください。ボクシング、柔道、剣道、フェンシング・・・・・・超一流選手がリズムあるフットワークを駆使しています。格闘技ばかりではありません。テニス、野球、スキーなど、人の動きの中にはリズムがあるのです。リズムがないように見えるのは、それがゆっくりであったり、不規則であったりしているだけです。剣に無拍子という言葉がありますが、あれもゆらぎの中でリズムを持っているのです。ゆらぎなんて言葉を使うと話が混沌としてきますので話を戻します。
試合の中では、ついつい相手に合わせて「じゃんけんポン」のリズムで、相打ちのどっちが早いかの勝負をしてしまいます。勝負に勝つ方法として、じゃんけんで言う「早出し」や「後出し」を意図的にやるのです。「じゃんけんポン」の「ポ」で出すところを「ん」で出したり「ン」の後に出すタイミングで突きを出すのです。武道でいう「先々の手」「後の先の手」がこれに当たるのかもしれませんが、これを流れやリズムとして掴むのです。
相手が「パンパンパン」というリズムで、「パ」のときに突きを出すリズムで単調に動いているとします。このとき、「ン」に乗って攻撃するのです。これが裏ビートです。相手が表のビートで動いているなら、最初はそのビートにのってあげる振りをして、裏のビートで突きをだすのです。「パンパン」に乗る振りをして、途中で自分だけ「ンパンパ」になるのです。「パン」で1ビートとすると、その半分の「パ」や「ン」を捕らえる事は、1ビートの半分のハーフビートを取ることです。相手が8ビートで動いているとしたら、そのハーフビートすなわち16ビートでリズムを取ることです。
音楽をかけてリズムに合わせた動きの練習を武道センターでは行っています。ユーロビートの140bpmの音楽に乗って体を動かして、ハーフビートを捕らえる事は至難の業です。そこでまず、レゲエの100bpm位の曲でハーフビートを捕らえる練習から始めます。武道センターでは藤田先生の下、レゲエの曲に体をくねらせながら、こんな稽古しています。謎の合言葉は「パンパンンパパンパンンパパン」。