モトコンポでツーリング 静岡県:本川根町〜井川湖 1997.9.27 モトコンポを自家用車に積み込んで静岡県の本川根町でツーリング してきました 紀行文(けっして奇行文ではありません(笑))っぽく書きましたので まぁ読んでください(^^;)ゞ
東名高速を清水I.C.で降りて、国道362号線に入って どんどん高度を上げること約1時間半。 川崎を出発してから約3時間半で本川根町に着きました。 ここは麓の金谷町とのあいだにSLが走っていることでも有名な 千頭(せんず)駅があります。 その千頭駅の横にある町営駐車場にコルサを停めて早速モトコンポを 降ろして組み立て。約1分で準備完了! ここから上へはもちろん車でも行けるのですが、なにせ道が完全に 1.5車線でところどころにしか待避所がなく、建設工事のトラックが バンバン通っているので車で行くにはかなりの覚悟がいります。(注1) 前回、何年か前に車で上がっていったことがあるのですが、前から ダンプカーが降りてくる度に待避所までバックすることの繰り返しで 閉口した経験があります。 エンジンをかけると高度があるにもかかわらず軽快に1発で 始動OK!(注2) さっそうとモトコンポにまたがっていざ出発です。 駅前には、10数人がSLに乗るために待っていたんですが その中の何人かは物珍しそうにこっちを見ています。(注3) とりあえず、目的地は決めずに気の向くまま走ってみることにしました。 なにせ、このモトコンポときたら30km/hを超えると分解して しまいそうな異常振動が始まって、40km/hに達すると周りの音が 一切聞こえなくなるほどの騒音をがなりたててしまいます。 20〜30km/hぐらいののんびりペースでゆっくりゆっくり道の端っこを 走っていきました。(注4) ときどき250ccゃオーバー400ccのバイクとすれ違いましたが 半分は驚いたような顔をしてこっちを見ていきます。 まぁ、たしかにこんなバイクにまたがってデイバック背負って 上ってきてるライダーを見かけたら僕だってびっくりするに ちがいありません(笑) ところで乗っている内に意外なことに気が付きました。 たった2.5馬力のバイクなんですが上り坂をけっこうぐんぐん 上って行くんです。かなりの急勾配になってもアクセルには まだ余裕があります。高回転が伸びないぶん低回転でのトルクは 太いようで、30km/hを超えない限り快適に走ることができます。 出発する前はスピードが出ないことがちょっと心配だったんですが、 遅いおかげでまわりの景色を楽しみながらツーリングすることが できました。 いくら遅いとはいっても、そこはそれ30km/hも出ているのですから どんどんと高度は上がっていきます。 左手には目もくらむような絶壁の底を流れる渓流、右手には緑香る 森林、行く手には南アルプスの頂を見ながら30分ほど進むと 寸又峡温泉に到着。 ここには町営露天風呂があって400円で入浴できます。 車でくると温泉街の一番下にある駐車場において、それから一番上 にある町営露天風呂まで数百m歩くのですが、道は進入禁止には なっていないのでモトコンポで露天風呂の横までいくことが できました。(注5) 風呂は適当に混んでいましたが、ここは湯量が豊富でお湯も 適温でゆったりつかって疲れをとることができました。 一段落して、こんどはちょっと道をもどって長嶋ダム方面へ 向かいます。 ここは、もう何年も前から巨大なダムの建設を行っていて その現場を見学することもできます。 しばらく道をのぼっていくと、いきなり目の前に大きなダムの壁が 見えてきました。なるほどっ! 久しぶりに来ましたがこれは大きい! もうすぐ完成しそうなところまでできていました。 その横をなんなく通り抜け、道は両側が見通しの利かない 林道のようになってきました。 ところが突然、道がふさがれていておじさんが立っています。 この先は落石の工事中で、1時間の内の15分だけしか 通れないとのことです。しかたがないのでしばらく待っていると バイクが1台と2トントラックが一台来ました。 バイクのライダーは足立区の会社員で、今日はこの先のキャンプ場で 泊まるつもりとのことです。 オフロードバイクのうしろにはキャンプ道具が山のようにくくりつけて ありました。 モトコンポについては「いや〜、なつかしいバイクですね。お気を付けて 行ってください。」と励ましてもらいました。 2トントラックには工事現場のおじさんたちが5人(注6)乗ってて、 モトコンポのナンバーを見て「にいちゃんっ、そのバイクで川崎から 来たんか?」と不思議そうに聞いてきました。 車で千頭まで来たことと、とりあえずあてもなくこの辺りを 回っていることを伝えると、「ほぅ、便利でいいのぅ〜。まぁ、がんばれや」 と、こちらからも励ましてもらいました。 通行OKになって、ひとときの団らんも終わりさらに先を目指して 出発です。 ここまで来るとちょっと欲が出てきて、この先の井川湖の先端まで 行ってみようという気になってきました。 井川湖畔にたどりついて湖沿いに走りはじめると、吊り橋が湖に かかっています。 寄っていってみると2トンまで通行可能な橋なんですが、 床は木でできています。 しかも、自動車のタイヤが通るところだけ左右2本の部分が 補強のため縦に木の板が打ち付けられていてそこだけ周りより 高くなっています。 そのはば、約50cm。橋の長さは約300m。 風もないし、思い切って渡ってみることにしました。 乗ってみると、さすがに車でも大丈夫なようにつくられている 吊り橋なだけあってぜんぜん揺れませんが、なにせ吊り橋なだけに ガードレールのたぐいがありません。 橋の端っこはただ細いワイヤー ロープが何本か30cmぐらいの間隔で胸の高さまで張られている だけです。 横を見ると吸い込まれそうになるので前だけ見てなんとか渡りきる ことができました。 帰りはもうこの橋は渡りたくなかったので、このまま湖をまわって 行こうと思い、しばらく走ってひとかたまりの集落を抜けると、なんと道は 行き止まりではないですか。 しかたなしに戻ってくると、道ばたにおばちゃんが立ってたので 聞いてみたのですが、やっぱりこの道は行き止まりとのこと。 そうすると、ここの集落はあの吊り橋がないと他と車で行き来できない のかっ!! う〜んっ、台風のときなんかは陸の孤島だな、 なんて考えながら元来た道を吊り橋まで戻ってきて、2度と渡るまいと 思っていた橋を泣く泣くもう一度渡りました。 しかし、よく見てみるとこの橋、街灯はついてないし一体地元の人は 夜なんて歩きでどうやってわたってるんだろう? みんな夜は懐中電灯必携で外出するのかしらん??? 元の側の岸に戻り、さらに先に進むとやっと湖の端が見えてきました。 ここには、芝生サイトのよく整備されたキャンプ場があって 横には温泉もありました。 ちょっと惜しかったのですが、装備はほとんど車の中に 残してきていたので泊まることもできず、日も暮れかけてきたので やっと戻ることにしました。 日が落ちるといきなり寒くなってきて、それまでTシャツ一枚で走って いたのですがさすがに耐えられなくなって、デイバックの中から シャツとウインドブレーカーを出して着込みました。 さらによろず屋のようなところで買った軍手を片方に2枚ずつ重ねて なんとか平気になることができました。 さすがにこのあたりは標高1000mぐらいあるので平地にくらべると 冷えます。 それにしても、秋の陽はつるべ落としとはよく言ったもので あっという間にまわりは真っ暗っ! しかも、モトコンポのヘッドライトは15Wしかなくて、さらに車体固定 なのでハンドルを切った方を照らしてくれないっ!! ただでさえ遅いバイクなのですが、先が見えないので山道の カーブでは怖くてスピードを出すことができません。 山の中は本当に真っ暗で、見える光は星だけという究極の田舎です。 ここでバイクが動かなくなったらOUTだなっと思いながら 夜の山道を慎重に進みました。 頭上には降ってきそうなくらい澄み渡った星空が広がっていました。 やっとの思いで行きがけの1.5倍くらいの時間をかけて 千頭駅に戻ってきたのは夜の8時前。 帰りは、一直線に来たにもかかわらず1時間半くらいかかって しまいました。 駅前はひと気もなく、選挙カーだけがスピーカーをまくし立てながら 走り回っています(注7) 駅前で一軒だけやっていた食堂でカツ丼を食べて駐車場の車に 戻り、横になると疲れがどっと出てきました。 モトコンポのエンジンが冷えるまでは車に積むことができないので そのまま車で泊まることにしました。 翌日、近くの温泉に入ってゆっくりと家に帰ってきました。 (注1)崖崩れの工事車両などがけっこう走ってきます。 戻る (注2)本川根町のあたりは高度500mくらいあります。     まあ、たいした標高ではないのですが、なにせモトコンポ     ですから(笑) 戻る (注3)マイカーで来た人のために途中の停車駅で引き返して     これる切符が売られていました。往復1680円で、行きはSLに     乗って約1時間の旅が楽しめます。     帰りは残念ながら普通の電車です。     当日の座席が余っていて乗ろうかどうか迷ってしまいました。 戻る (注4)異常振動の原因はどうやらそのまんまエンジンの振動の     ようです。 プーリーの径がちっちゃいのか30km/hぐらいから     エンジン回転数がレッドゾーンに入ってしまっているようです。     エンジンマウントも軽量化のせいか、ちゃんと防震されて     いないようでピストンの振動がそのままフレームに伝わって     います。おかげで乗っている人間はマッサージ機に     またがっているようなつらい目にあうことになります。 戻る (注5)道は進入禁止ではないのですが、奥の駐車場は小さいし     道幅が1車線ちょっとしかないのでみんな歩きになります。     ここでもモトコンポは、みんなの注目の的です。     おばちゃんが「まあ、かわいいっ!」と誉めてくれました(笑)     しかし、あんまり注目されるとさすがにはずかしいです。     しばらくはリピーターとして来れそうにありません。でも、     普通に車で来たら誰もぼくのことは覚えてないでしょうね(笑) 戻る (注6)人が乗るところが前後2列あるタイプのトラックです。     もしかしたら1.5トンかもしれませんが、細かいことは     気にしないように(笑) 戻る (注7)次の日が、町会議員の選挙ということでした。 戻る