2002年11.17全国患者・家族大集会

難病患者・障害者・高齢者が安心して暮らせる社会の実現と

難病対策・小慢対策の拡充を求める11.17全国患者・家族集会

会場:17日 東京ホテル浦島 18日 弁護士会館クレオホール

全国患者・家族集会へ全国から220人参加!

 JPC(日本患者・家族団体協議会)と全難連(全国難病患者団体協議会)が難病対策の拡充を求め、今年春の3.28大集会に次ぐ第2回目の共同集会が東京で開催されました。日本の患者団体として日夜活動している28地域難病連、15疾病団体、総参加数220名を超す大集会となりました。

 和歌山県難病連からは新東難病連から惣坊 恵、尾嶝 博、中谷尚生、杉浦将浩、リウマチ友の会から東本喜佐子、パーキンソン病友の会から森下泰治、向井勇、田中正一夫妻、惣坊君代、事務局から森田良恒、森田戸施子、以上12名が参加した。

11月17日(日)

第1部 基調報告と問題提起

全難連会長石井光雄集会実行委員長の挨拶のあと、JPC伊藤たてお代表から「難病対策委員会・中間報告と私たちが目指す難病・小慢対策」と題して、法制化を巡る課題について基調報告が発表された。続いて、6団体からそれぞれの取り組みと問題提起がなされた。

以下はその要旨。

1.MS(多発性硬化症)の会

病気が発見されてから140年経過しているにもかかわらず、未だに原因も治療法も分かっていない。社会の偏見も根強くある。医療や福祉とともに心の支援も必要だ。厚生労働省は「難病だけが現状以上に対策は良くなることはありえない」と言う。福祉を切り捨てることは人間の尊厳を損なうことになる。

2.パーキンソン病友の会

患者が5万人を超えたからといって、薬がいらなくなるのではないし、病気が治るわけでもない。多くの患者は副作用と闘いながら、薬を飲み続けなければならない。ますます増える若年性の患者は働くこともできず、薬代など、経済的には困窮を極めている。

3.心臓病の子どもを守る会

法制化しても現状維持が精一杯だ。むしろ対象疾患が限定され一層固定化してしまうような感触を得ている。小児慢性特定疾患では通院が認められず、ひとにぎりの重症児だけが公費負担されている。この対策を障害者医療の分野にまで拡大して欲しい。

4.全腎協

S.46年、透析は1ヶ月10万〜30万円自己負担が必要だった。患者団体の闘いによりS.47年から更正医療の制度で公費負担となった。本来延命治療であった透析は社会復帰の視点から捉えられるようになった。昨今診療報酬制度の改定により治療食としての食事代も出なくなった。このような改悪は患者の病態を悪化させるだけだ。

5.新潟県患協

国や県の難病対策後退を危惧するところから、患者会活動をはじめた。患者・家族、地域の一人一人の参加により、この運動を連携させる必要がある。

6.ベーチェット病友の会

法的根拠がないような医療制度はだめだと訴えつづけてきた。憲法では「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営むことができる」と基本的人権の保護を謳っている。国はこのことを考え、難病対策を充実する必要がある。

第2部 交流会  

 夕食を兼ねた懇親会には26地域難病連、11疾病団体、総数155名が参加して盛大に開催されました。

 途中、参加団体がそれぞれ壇上に登壇して1分間紹介を行い、楽しい交流のひとときを過ごしました。

 なお最後に、森田良恒和歌山県難病連会長の新刊書「田舎坊主のぶつぶつ説法」が会場で販売され、全売上金5万円(50冊分)がJPCに寄付贈呈されました。

 

11月18日(月)

第1部 要請行動

 午前中は厚生労働省(大臣、母子保健課、疾病対策課)、衆議院・参議院厚生労働委員理事に要望書と参議院には「総合的難病対策」の国会請願書を再提出した。

第2部 「難病対策・小児慢性特定疾患対策の将来像を考える集い」

 弁護士会館クレオホールは立錐の余地もない熱心な参加者であふれ、7人の講演者の話に真剣に耳を傾けた。来賓には各党から多くの国会議員や秘書がかけつけ、民主党や自民党の難病対策議員連盟ができたこともあり、国会議員のこの問題に関する関心の高さをあらためて感じさせた。

 

講演要旨は次の通り。

1.坂井隆憲氏(衆 自民) 

難病対策予算は袋詰め予算(中身なし)の状態。年末までに議論することになっている。小慢は18歳(一部20歳)で打ち切りになる。障害者制度の谷間に置かれている。「みんなで歩けば道になる」という言葉もある。みんなで協力しあって、いいものを作り上げたい。

2.谷 博之氏(衆 民主)

栃木県難病連の事務局をつとめていた。30年前から法的な裏づけが必要と考えていた。現在、民主党難病対策ワーキングチームの座長。国の方針に基づいて、特に患者負担が増加していくことに問題がある。法制化を考える場合、難病の定義として「希少性」を外す必要がある。対象疾病の拡大や高額療養費制度を視野に入れる。30年前にすでに難病についての議連ができている。患者さんとともに活動していきたい。

3.福島 豊氏(衆 公明)

医師として難病患者を見てきた。難病対策には医療、福祉、就労、教育など包括的に考える必要があり、安定した予算を確保していかなければならない。そのために、研究を推進し、治療法の確立を急ぐ。福祉との施策の連携、そして心理的なバックアップなどが必要。その意味で新しい法律を考えていく時期が来た

4.阿部知子氏(衆 社民)

小児科医を25年経験してきた。法制化のメリットは生活、就労、教育面等で個人のニーズに応じた援助ができ、一貫性をもった支援になる。デメリットは疾病治療という医療面に重点的に取り組まれてきたが、これが一分野とされることで研究費用面が後退するおそれがある。そのため患者・家族が中心になって作り上げる法制化が必要。

5.小池 晃氏(参 共産)

難病対策委員会において「最初から予算削減ありきは弱者切り捨て以外何ものでもない」。また「世界的にも先駆的なこの事業を再整備してむしろ予算を増加してやっていきたいという印象を得た」と、意見が出された。法制化については現状を後退させ、固定化させてしまうおそれがある。ドイツにおいて、年間14日間は自己負担でその後は無料。フランスでは入院30日間のみ2割負担で以降は無料だ。サミット6カ国のなかで日本が突出している公共事業費割合を考え直さなければならない。この公共事業依存型政治をあらため社会保障を中心とした政治に転換する必要がある。

6.名越 究氏(厚生労働省疾病対策課)

難病対策委員会「中間報告」について説明

 

7.森本哲也氏(厚生労働省母子保健課)

小児慢性特定疾患対策の状況について説明

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