国民に負担を押しつける「医療制度改革」反対

3.28全国患者・家族大集会

2002.3.28 弁護士会館 クレオホール

 JPC(日本患者家族団体協議会)と全難連(全国難病団体連絡協議会)が中心となり、全国から難病患者・家族605名(疾病団体22、地域難病連27、その他医療団体)が
集結し、国民に負担を押しつける医療制度改革に反対すると共に、

 

    総合的難病対策の確立、

    すべての子供の医療費を無料に、

    小慢の医療費助成を20歳以上に延長、

    高齢者の医療費自己負担の増額反対、

    医療に貧富の差を持ち込む自由診療、混合診療に導入反対、

 

などの要請書を内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣、厚生労働委員の国会議員70人に対し、それぞれ参加者全員が午後3時から要請活動を行いました。

 

 午後6時から開催された大集会では、伊藤たておJPC代表幹事が「国が進めようとする医療制度改革が国民にとっての改悪にほかならない。聖域なき構造改革が難病対策や小慢対策の見直しとなっている。国民にとって本来見直しや改革は今より良くならなければ意味がない」と基調報告を行った。その後、7団体の患者・家族の訴えとアピールが発表された。

 この大集会に際し、全国から1064の団体・個人から支持表明が表され、改悪につながる医療制度改革に対する関心の高さをうかがわせた。

 

605名の参加者で満員の会場

北海道の大アピール

ALS患者の訴え

大集会にあたり各県市町村に提出した陳情書

 

<陳情の趣旨>

 

難病対策や小児慢性特定疾患対策を一層充実させ「医療制度改革」にあたっては難病患者・障害者・高齢者に負担を押しつけることがないよう強く国に要望して下さい。

 

<陳情の理由>

 

1972年(昭和47年)に始まった難病対策は難病患者・家族の経済的困難を解消するための医療費の公費負担と、全国の研究者・主治医を網羅する調査研究事業の二つを柱とし、世界にも例を見ないといわれるほどの大きな成果を上げつつ満30年を迎えるところとなりました。

 また小児慢性特定疾患治療研究事業は1974年に創設され、現在では10疾患群500疾患ともいわれるほどの多くの疾患を対象とし、子供の難病の医療費の公費負担を行い、若い親たちの経済的負担を軽減してきました。

 この二つの事業は患者・家族の経済的負担を軽減し、原因の究明と治療法の発見に寄与したことはもちろんのことですが、国だけではなく、地方自治体や保健所の事業としても患者・家族を物心両面から支えているという力強いメッセージを発信し、それが患者の生きる希望を支えるものとなってきました。今日の難病対策の広がり、それに関する多くの事業、さらにこれらの事業に関わっている多種の職場や関係者の熱心な活動と連携が何よりもそれを物語っています。

 患者・家族自身もすべてを行政や専門家にまかせきるのではなく、自らの苦しみと闘病の体験を基礎に同じ苦しみを味わう人が一人でも少なくなるようにと願い、患者会・家族会をつくって活動してきました。正しい療養知識を学び、闘病の体験を交換し、お互いにはげましあい、そして生活を支えるための福祉制度の拡充を願い、社会の偏見・差別をなくするために自らの体にむち打って活動を進めてきました。

 しかし、「聖域なき財政構造改革」のもと、この2事業も「奨励的補助金」と位置づけられ、毎年10%ずつ予算削減の対象とされてしまいました。減額される予算のなかでは、増加し続ける難病患者、拡大する医療費に逆行し、医療費の全額公費負担には一部自己負担が導入され、軽症患者は対象外とされ、そしてさらに患者数の多い難病を事業の対象から外すことや、大幅な自己負担の導入などが検討されるに至りました。

 これらの事業が存続するためには一定の痛みはやむを得ないとする意見もあります。しかし、1998年の難病医療費の一部自己負担の導入は入院・通院共に予想を上回る受診抑制を招きました。また厳しい診断基準の導入で対象外とされた患者は、生涯多額の医療費負担をしなければならなくなりました。さらにまだまだ多くの難病が対象とされずに、生涯の医療費負担をしなければ生きていくことができない状態のままにおかれています。

 難病患者の収入は少なく、その中から通院治療費や様々な差額徴収と経費負担があり、その上さらに医療費の負担が増加することは、まさに生きる希望をも奪いかねない状態となることでしょう。毎月2万円、3万円の負担を10年も20年も続けなければならないとしたら、どれほどの国民がその負担に耐え続けられるでしょうか。小児の難病患者は18歳、20歳の誕生日を迎えたとたんその病気が治るとでもいうのでしょうか。収入が増えるとでもいうのでしょうか。

 私たちは難病対策が国の重要な事業として位置づけられ今後ともより充実・発展していくことができるようになることを強く強く希望しています。

 また2001年11月に発表された「医療制度改革大綱」によれば、私たちの医療費や経済的負担が今よりも一層強まるのではないかと思われます。さらには、長期入院が困難になりことや医療の質が低下すること、お金によって受けられる医療の質に差がではしないかと懸念されることや、保険の範囲がますます狭まるのではないか、ということなどのたくさんの懸念や不安があり、私たちの闘病生活を一層厳しいものにしています。

 折からの不況もあり、経済的な困難も大きく、就労の機会はますます狭められていく難病患者と長期慢性疾患患者や障害者・高齢者にとっては、今まで感じたことがないほどの不安感と焦燥感、怒りにも似た様々な感情と危機感の中におかれていると感じます。

 どうか、私どもの実態をご理解いただき、未来に明るさを取り戻すために、難病対策と小児慢性特定疾患対策を国の重要な施策として位置づけ、今後さらに充実・発展させることと、「医療制度改革」が難病患者や長期慢性疾患患者・障害者・高齢者に負担を押しつけるものとならないよう、国に対して要望していただきたく陳情申し上げます。

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