〜〜月晶島綺譚〜〜

あらまし編

  ―滅びゆく伝説の島
   そこに何が待っているのか、
   誰も知らない。―

月晶島綺譚。はじまりはじまり〜!

時代は・・・
軍部全盛の昭和10年。

稲垣吾郎氏の役所は、人形師。
人形がお友達という感じの、対人恐怖症的な・・・
影のある役。
浅草の人形芝居小屋の人形師。
記憶喪失で、一年前より以前の事は全く覚えていない。

羽場裕一さんは、愛と正義の回収屋。
とある人物に依頼されて、とある所から月晶石なる物を盗んできた。
月晶石は石だが、人の心を惑わす麻薬のような作用を持っている。
月晶石は金になる。
その回収屋が人形芝居小屋へやってくる。
この芝居小屋の出し物を書いている男に逢いに。
この芝居小屋の出し物に、「月晶島綺譚」なる物があり、その中に月晶石が出てくる。
その本を書いた人物は、月晶石の情報を持っているとふんだ回収屋が、出張ってきたわけだ。

が・・・人形師は記憶喪失。
月晶石は、自分の想像の産物だと言って回収屋を追い返してしまう。

この月晶石探索を依頼したのが、山崎銀之丞さん扮する、ズロース屋のタツ。
食うに困れば何でも売る。
薬だろうが宝石だろうが、ズロースだろうが・・・
・・・惚れました。(*^-^*)
銀之丞さまに惚れたのか、ズロース屋のタツに惚れたのかは定かではありませんが。
どっちも格好良い。素敵でございます。

さて。
この月晶石を巡って、物語は展開します。

月晶石は人の心を惑わす石。
その石を欲しがっている人達が居る。
帝国陸軍の軍人達で、クーデターを計画している。
この石が手に入れば、帝都の人身掌握も簡単だと・・・
その頭に居るのが、仲谷昇さん扮する倉田少尉。
やばい話の裏に、いつも見えかくれする大物だ。

その人物が月晶石を欲しがっている。
ズロース屋のタツは渡すつもりはない。
どちらが先に月晶石を見つけるか。

回収屋を追い返した後、浅草の人形芝居小屋が火事になる。
人形師はやっとの思いで脱出したもの、大事な人形達は、ほとんど灰になってしまう。
とても大事にしていたラヴィと言う美しい女性の人形も・・・

人形師は、火をつけたのは回収屋だと勘違いし、回収屋に復讐しようとするんです。
が、そこに陸軍が現れて、やっと現実が解ってくる。
火をつけたのは・・・陸軍だった。

危機を脱した回収屋ご一行は、断片的に戻りだした人形師の記憶を頼りに、瀬戸内に浮かぶ小島。
葛島、またの名を月晶島へ向かうわけです。
この辺りから話は加速度的にすすんで行くわけで・・・

断片的に戻る記憶。
事実・虚実・真実が入り乱れ・・・

瀬戸内の小島。葛島には、一年前まで帝国陸軍の秘密研究施設があった。
その研究施設では細菌兵器の研究が行われていた。
人間の脳髄を喰らい、増殖するウイルス。
このウイルスをコントロールすることが出来れば・・・
研究が進み、細菌兵器完成間近のある日。
ある事故により研究所は壊滅。
島の住人も、研究者達も、みな死んだとされてきた。
帝国陸軍は、この事実を隠蔽するため、兵器開発の計画と共にこの島の存在を世の中から消し去った。

人形師は、その研究所の研究者だった。
記憶が無くなるまでは・・・
自分の記憶を封印した原因は、一年前の事故にあった。
段々と明かされる真実。

回収屋ご一行は、葛島・・・いや、月晶島へ上陸する。
間を置かずして帝国陸軍の一団もやって来る。
島の周囲を暗礁に囲まれた島・・・葛島・・・
あの事故が起こるまでは、美しく平和な島だった。
いや。事故以前。あの研究所が出来るまでは・・・
月晶島を取り囲む暗礁は月晶石。
そこは宝の島なのか。それとも・・・

島に上陸した者が、次々と廃人のような化け物に襲われる。
幻覚を見始める。

島にはワルツのリズムを奏でるオルゴールを持った女の子が一人居た。
研究所の博士だった人の娘。
井手は消えかかった記憶の中に彼女を見て、浅草でラヴィを作った。
とても大事な・・・
人形師・・・いや。井手の大切な人。

その女性が言うのです。
この島を焼き払ってくれと。
この島に居た住人は、ウイルスに感染し、ウイルスに操られている。
次の獲物、生きた脳髄を欲しがっている。
彼女だけが未だ正気で居られるのは、この島が壊れてしまう前、井手がくれたオルゴールのお陰だった。
このウイルス。ワルツのリズムに弱い。
彼女は待っていたのだ。
井手のことを信じて。

一人、また一人とウイルスにおかされてゆく。
段々と狂い始める。
いや・・・行くべき方向へ事が進んでいるのか・・・

兵隊が月晶石に魅入られ・・・いや。ウイルスに感染していく。
『人間』が一人減り、二人減り・・・

月晶石は人の心を惑わせる。
月晶石は・・・ウイルスの進化した姿だった。

この研究所を設立しようと提案したのは、井手だった。
この島に研究施設を作ろうと・・・
細菌兵器の開発をしようと・・・
井手は、倉田少尉の妾腹ではありますが、息子なのです。
父親に認めて欲しくて、井手は細菌兵器の研究開発を買って出た。
その結果が・・・大事なものを失うことになった。

このウイルスは、人の怒りや悲しみを餌にして増殖する。
今や、島中に縦横無尽に走る月晶石。
まるで人の脳髄に集結する神経のように・・・
そう。ウイルス達は、井手の脳をモデルに、月晶脳髄を形成していた。
月晶島の月晶石と、井手は一心同体。

狂い出す井手。
いや。井手自身が月晶石の意志を持ってしまった。

最終的に、井手は大事な人の愛、小夜子の純粋な心で正気に戻るんですが・・・
月晶石は井手、井手は月晶石。
月晶石が滅びれば、自分も居なくなる。
自分が居なくなれば、月晶石も無くなると・・・

出演者の中で、幕が下りるまで生きた人間で居られたのは、愛と正義の回収屋だけでしたから・・・
幕が下りた後、『生きるプロ』と自負するこの回収屋が、無事に島を脱出できたのかどうか・・・

内容的には、重かったのかも知れません。
でも、面白かった。

中島ワールドの深みにはまっています。

最後に、井手さんは日本刀で自害するんですが。
その後に、解放された井手さんが、燃えてしまった筈のラヴィとワルツを踊るんです。
綺麗でしたよぉ。

あと、あと、タツさんの死に様!
かっこいい・・・男だねぇ・・・(T-T)o
惚れてます。(*^-^*)

ウイルスに感染した廃人ですね、廃人共が、タツさんの事も当然狙うわけです。
殺されそうになる。
狙っている方は頭を傷つけない。
脳髄欲しいもんね。
チョットの間幻覚を見るタツさん。
でも、正気に戻ります。はい。
 「死に場所くらい自分で選ぶ」
ですよ。(*^o^*)
 「この脳髄、貴様らだけには絶対に渡さない」
そう言って持っていたピストルで自分の頭撃ち抜くんです。
ひょ〜〜〜〜〜〜っ!
格好良すぎるっちゅ〜ねん!!

いやぁ。

行って良かった。(いろんな意味で)
そう思える舞台でした。
(ちょっとチケット高かったけどね(笑))


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