観て来ました。

開演前、劇場に入ると舞台上が一面の鏡張り。
上から下まで、右から左まで。
目眩にも似た圧巻を感じつつも、『天保十二年のシェークスピア』のクライマックスで登場する大鏡ほどの衝撃とか感動は無かった。

わには、未だに忘れられない。
戯曲ゼミに通い始めた第一回目の開講式を兼ねた講義での事。
「みなさんも良くご存知の『オイディプス王』が・・・」
当然知って居るであろうと言う言いっぷり。
先生は、先生なりに判り易く噛み砕いて説明する為に出した引合い。
『オイディプス王』。
わには、観た事なんか無かった。
思ったのだ。その時。
「これはいかん。完全に場違いな所に来てしまった。」と。

『オイディプス王』と言う物は知っていた。
けど、観た事は無かった。ちゃんと読んだ事も無かった。
そんなこんなの『オイディプス王』。

野村萬斎さんが好きなので、観に行ったんだよ。
あぁ、そうだよ。
遠くてそのご尊顔は良くわからなかったけど、良い役者さんでした。
麻実れいさんも、美しく、哀しく、華やかで、とてもとても良かったです。
麻実れいさんを観れただけでも価値ありでした。

さて。話の内容は、あれが『オイディプス王』なんでしょうか。
狂気も美学もなにも無い、悲劇と言うよりも哀劇。
しつこい。長い。わにには正直苦痛でした。
特に、群集や国全体の嘆きとか言うのを意図したとわにが感じたセリフの言い方。
数人で、同じセリフを同時に言うのだけれど。
聞き取りにくい。
そう言うシチュエーションになる雰囲気と言うのがわかる。
セリフを言う人々(大体四人一組)が、賢者(?)にすがりつくのです。
そう言う動きがあると、「またか・・・もうやめてくれ・・・」と。

あれが『オイディプス王』の持つ空気なんでしょうか。
今度は、別の翻訳家さんと別の演出家さんの手を通った『オイディプス王』を観てみたいと思いました。
その前に自力で本読めよって?
はい。ご尤もで・・・