貨物鉄道博物館

所在地     三重県いなべ市大安町
TEL     059-364-2141
入場料     無料
休館日         毎月第1日曜日のみ開館(1月のみ第2日曜日)
交通手段    三岐鉄道丹生川駅からすぐ

鉄道を趣味とする人、最近は”鉄(てつ)”とも言うらしい。以前はほとんど男の世界だったが、最近は女性も増えてきたそうで、特に”鉄子”と言ったりするそうだ。

さて、鉄道を趣味、これにはさまざまな分野がある。乗る、撮る、集める、の他にも、作る(模型)、読む(時刻表)、食べる(駅弁)・・・。車両や駅、路線について細かく調べている人たちもいる。そして、各分野に凝り固まっているような人も少なくないようだ。
実は、私も多少は鉄道好きである。とはいっても、鉄道を趣味にしている、と言えるほどのことはない。出かける際に鉄道に乗って楽しんだりする程度である。正直な話、”鉄”と呼ばれる人にはとても及ばないと思う。私の場合、列車で車窓を楽しみ、そして適度にお酒を飲めれば最高といった感じであり、鉄道趣味の人から見ればとても不真面目である。もっとも、切符に関しては多少の知識はあり、旅行の際に少々得をすることもある。
ところで、鉄道趣味の分野はいろいろであるが、その対象はどうしても旅客列車、つまり電車や客車、ディーゼルカーなどが多いようだ。貨物列車、これは人気が少ないと思う。電車などのように乗ることができないことも理由の一つかと思う。しかし、貨物列車や貨車を趣味とする人ももちろんいる。そして・・・”貨物鉄道博物館”が存在する。

貨物鉄道博物館、ここは三重県の、三岐鉄道の丹生川駅の隣にある。貨車などの他、貨車通表や駅構内で使ったバッテリ式運搬車なども展示されている。しかし、ここは三岐鉄道の運営ではない。博物館建設のための基盤を整備・提供しただけである。展示品は各地の鉄道などからの寄付、そして運営しているのはボランティアである。車両の搬入など他、整備なども全てボランティアが行っている。そして、必要な費用も寄付に支えられている。貨物列車趣味の集大成みたいな感じもする。
さて、博物館(実態は資料館)、そして鉄道関連となると行かねばならない。(という使命感に燃えてのことではないが・・・) 丹生川駅は三重県の北部にある。だから、比較的行きやすいのだが、問題は開館日。毎月第一日曜日(1月は第二日曜日)のみである。簡単には行けない。貨物鉄道博物館、できれば鉄道で行きたい。しかし・・・鉄道で行くとちょっと時間が掛かる。朝遅めに起きたものだから、ほとんどここだけになってしまう。三重県北部、ここは伊勢湾岸道で行くと名古屋の南を抜けるので非常に早く行ける。他の博物館3箇所を選んで出かけることにした。
カーナビを頼りに車を走らせる。街中の狭い道を抜けると駅が見えた。電車で来たらしい鉄道ファンの姿も見える。その隣に結構広い駐車場もある。そこに少なからぬ車がいる。20台弱の車が止まっていて、やや遠くからも来ている。中には福井ナンバーの車もいた。福井と言えば石川のお隣の県・・・。金沢ナンバーの私はつい隣に止めてしまった。
鉄道博物館の建物の外観 元鉄道関係? そう思える建物だった。建物の横に蒸気機関車が見える。その上には屋根もあるので、荷降ろしなどに使っていたのかもしれない。そして・・・意外と人が多かった。一般的ではないとはいえ、貨物列車の愛好者にとっては聖地のような場所なのだろう。中には夫婦で楽しんでいる人もいる。建物の中はそれほど広くはない。入り口に受付があり、売店も兼ねている。嬉しい事にパンフレットも置いてある。それもちゃんと印刷したものである。早速受け取る。受付には募金箱もある。ここは、資金は全て寄付に頼っている。一般的な資料館より多目の金額、ついでに小銭入れにある細かな硬貨を入れる。
建物の中はそれほど広くは無く、展示は小さな物とパネルが中心だった。貨車の写真が中心で、一般的な説明はない。たとえばJRの貨車の形式はカタカナ2文字と数字で表現されている。たとえばここに展示されている”タム5000” 最初のタはタンク車であることを示し、2文字目のムは貨物の重さを示している。一般的な博物館ならそういう説明もあるだろうが、それはない。まあ、ここに来るような人にはそれは基本の基本。あえて説明する必要もない、ということなのだろう。
メインの展示、これは屋外にある。屋外には貨車が10両少々展示されている。駅から見えた蒸気機関車も含め、レールの上に停めた状態で連結、展示されている。レールはその先にも伸びていて、ポイントもある。遠くに貨車が見えるのでレールの上を歩いてゆく。レールは狭いしレールの周辺の砕石は歩きにくい。枕木を飛び石のように歩いてゆく。奥には変った貨車もあり、その1両が変圧器(130t)積載用の貨車で、車軸が12本もある。車軸、小さな貨車は2軸で、ほとんどが4軸である。だから12軸というのは非常に多い。それだけ重いものを積む、ということになる。こういう貨車などを皆さん、とても熱心に見て楽しんでいる。屋内展示には、この種の施設に欠かせない模型のジオラマもある。しかし、走っているのは貨物列車のみ。当然かもしれないが、普通の鉄道好きにはちょっと違和感もある。

さて、三岐鉄道、ここは私鉄であるが、私鉄にしては珍しく貨物列車も走っている。(というより、貨物列車も走らせているからここにあるのだが・・・) 調度私が訪問したときにも貨物列車が通過していった。通過に合わせて多くの人が線路脇に出てきてカメラで写したりしながら列車を見ていた。

鉄道の中でもちょっとマイナーな貨物列車。そして、貨物列車の愛好家で支えられた博物館。興味をもたれた方は是非訪問を。入館は無料であるが、やはり適切な寄付をお願いしたい。また、屋外の貨車は開館日以外でも見ることが出来る。


屋外展示の貨車のひとつ。大型のトランス専用の貨車である。