思案橋

思案橋は、片町の交差点から犀川大通を南東に向かって進んだところにある。
思案橋はバス停の名前にもなっているし、その由緒ありげな趣きある名前から、広く知られている。しかし、橋自体は小さく、また表通りからちょっと入ったところにある。思案橋の名前は知っていても橋そのものを知っている人は少ないと思う。

思案橋は、笠舞の湧水、大清水(おおしょうず)を水源とする勘太郎川にかかる。
大清水はいまも静かに美しい水が湧き出し、水量も少なくはないが、勘太郎川には辰巳用水の分水もまた、流れ込んでいる。だが、現在は思案橋付近では水量もそれほど多くはなく、橋自体もそれほど大きくはない。また、車を通すためもあり、長さより幅の方が広く、また交差点に近いこともあって変形の橋になってしまっている。だが、その名前を大きく刻んだ欄干は石で出来ていて、趣を感じる。とはいえ、町の中にあり、水面もはっきりしない川にかかる橋。橋自体には残念ながら魅力はない。

さて、思案橋の名前の由来である。
この付近には、加賀の筆頭家老、本多家の別邸があり、そこに通う本多の殿様が、”今夜は酒にしようかそれともお茶にしておこうか”と思案したことからこの名がついたという。
今はこのあたりには高校がある。朝夕は生徒が多数、この橋を渡ることだろう。
今日の試験は? といった思案をしながら渡るのだろうか? それとも今夜のおかずは? などといった思案もしているのだろうか?

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