用水上の歩道橋、三社水閘(さんじゃどんど)

金沢駅前の道路を犀川方向に向かう途中、三社町に歩道橋がある。車で通るとごく普通の歩道橋にしか見えない。しかし、歩道から見ると階段が水の上にあることがわかる。一方は川の上、もう一方は分水の水門の水溜の中に支柱が立っている。
この川、正確には川ではなくて用水である。犀川大橋の下流から始まる大野庄用水で、武家屋敷の近くを流れ、ここに至っている。水の量は豊富であり、以前は水運にも使われていたそうだ。海から小舟で荷物を載せ、城下まで。城の建築資材などもこのルートで入ったらしい。片町近くの旧木倉町の地名はここから出来たそうだ。そして、この水門は、三社水閘(さんじゃどんど)、あるいは堰による分水の音にちなんで百々女来(どどめき)ろ呼ばれたそうだ。これは舟の高さを調整するのにも使われていた。水がたまるようになっているのは、ここに舟を入れ、水位を合わせていたためらしい。この部分、周囲は石積みであり、下に降りる階段もある。面白い場所なのだが、周囲に建物があり更に歩道橋が覆いかぶさるために暗くなってしまっているのが残念である。
金沢、用水の流れが特徴であり、現在も使われている大切な設備なのだが、ここを見るとちょっと粗雑に扱われているようにも感じてしまう。金沢の道路は狭い。歩道も十分ではないところもある。だからこの場に建てたのだと思うが、可能なら改修してほしいものだ。もっとも、道路を広げてしまうとこの分水の存続が危なくなってしまうのだが・・・。

■現在、この歩道橋は撤去されました。

道路から見ると、ごく普通の歩道橋に見える。
写真では水門が目立つが、用水はここで2つに分かれる。
一つは水門側で、2つの水門は共に鞍月用水の分水と合流、樋俣用水に至る。
左側に分かれる水は、木曳川に至る。
反対側もやはり用水の上に立つ。
こちらは幅も狭いからか、梁を渡すように柱が立っている。




2014年7月の状況
歩道橋はなくなり、非常に明るくなっている。


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