金城霊澤



兼六園に隣接する金沢神社、そのとなりに金城霊澤がある。金城霊澤は湧き水であり、芋掘り藤五郎の砂金伝説がある。そして、この湧き水の名前が金沢の始まり、と言われている。

金城霊澤、屋根で覆われている。西側に金城麗澤と書かれた額があり、天井の裏には龍が描かれている。屋根に覆われた部分は全体が石組みとなり、中央が窪んで井戸のような感じになっている。この石組みも含め、全体が水が満たされている。水面は鏡のように穏やかで、湧き出しているようには見えない。だけど、いつ見ても澄んだ水なのでやはり湧き出しているのだろう。晴れが続いても枯れず、大雨が続いても溢れない、と言われ、実際にいつ見ても同じような水位に思える。

金城霊澤は、小立野台地にある。末端付近ではあるが、周囲に比べると高い。そんな場所に、地面とそう変わらない高さまで水が湧き出す、というのはちょっと不思議に思える。台地は水が不足気味、というのが一般的な感覚である。兼六園は水が豊かであるが、これは辰巳用水があってのことである。台地に沿って地下水脈ができ、ここで地面に、ということなのだろうか・・・。
そういえば、堀を(現在は道路)を隔てた金沢城の図面には多数の井戸の印が描かれている。城も高台だけどそれだけ井戸がある、というのは台地に沿っての水脈がある、ということになるのだろう。実際に戦となれば、水には不自由しなかったのでは、と思える。その表れが金城霊澤なのだろう、と思う。

兼六園、金沢城に行く人は多いが、ここまで来る人は少ない。兼六園を上った後は成巽閣から金沢神社へ、そして金城霊澤に回ってみてはいかがだろうか? 。

石組の井戸のようなところから水が湧いている。
屋根には金城霊澤の額と龍の絵がある。


写真撮影: 2009年7月

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