金沢城、石川門枡形の石垣



石川門、金沢城への入り口の中で一番賑やかなだろう。兼六園への入り口も近く、また門が残っていることもある。大河ドラマ”利家とまつ”でもここで撮影が行われている。
石川門は枡形になっていて、最初の門をくぐると四角く囲まれた空間になっている。その先に右に折れ曲がって更に門がある。囲まれた空間を設けることで、守りを厳重にしている。攻め込んだ敵はこの枡形で集中攻撃を受けることになる。

さて、近世城郭の石垣、だいたい次の3種類に分けられる。
・野面積み     ・・・自然石に近い石を積み上げたもの
・打ち込みハギ積み ・・・形や大きさを揃えた割り石を積み上げたもの
・切り込みハギ積み ・・・石を削り、隙間なく積み上げたもの
金沢城にはこの3種類ともつかわれている。

石川門の枡形である。もちろん石垣がある。枡形はの2面は門で、残り2面が石垣でその上に土塀がある。この石垣、よくみると積み方が異なっている。外から入って正面が切り込みハギ積み、入って左側は打ち込みハギになっている。面が違うとはいえ同じ場所であり、不思議である。手元にあるパンフレット、”金沢城の石垣めぐり”では、明和2年(1765)の改修時のもの、と書かれている。どちらが古いのかは明確には書かれていないのだが、一般には切り込みハギの方が新しい技法である。左右で違うのはおかしい、と書かれて古文書もあるそうだ。積みなおす際に新しい技法を使った結果なのかもしれないが、やはりちょっと違和感もある。打ち込みハギ積みの石垣には櫓があるので、石垣をそのままにしたのかもしれない? 理由はわからない。

石垣の違い、気がつく人はそう多くはないと思う。行かれた際は是非見て欲しい。

石川門。
門自体の石垣は切り込みハギ積みになっている。
切り込みハギ積みの石垣
打ち込みハギ積みの石垣
石川門の石垣を城内側から見る。
枡形側から同様、積み方が異なっている。


写真撮影: 2009年7月

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