金沢城、城の石垣、陸軍のトンネル



金沢城公園で、三の丸から戌亥櫓方面に向かうと本丸園地の石垣の下を通る。この石垣に大きなトンネルが造られている。トンネルは煉瓦積みで、結構大きい。だけど、城の案内図には全く書かれていない。また、現地にも説明などはない。そして・・・以前は三の丸などからもよく見えたのだが、現在はトンネル正面には大きな木が植えられ、遠くからは隠されてしまっている。

不自然なほど無視されているこのトンネル、これはかってここに駐留していた旧陸軍が造ったものである。弾薬庫への通路だったそうだ。藩政時代とは全く関係ないことから無視されているのかもしれないが、現にここにあるのは事実。案内の一つぐらいあった方がよいのでは? と思ってしまう。戦争に関係するものだから? 旧陸軍関連だから? ちゃんと見れば煉瓦造りであることはすぐにわかる。本来の城の施設と誤解される心配はないだろう。解説があった方が分かりやすいと思う。(城内には旧第六師団司令部の建物も残されていて、これはガイドマップにも書かれている)

城好きの人から見ればこのトンネル、とんでもない城の破壊と思えるだろう。でも、明治の頃は城は保存することなどあまり考えられていなかったようで、仕方のないことかもしれない。このトンネル、レンガで造られているのだが、トンネル上の土被りの厚みは薄い。また、石垣には積みなおした跡がある。おそらく、石垣を崩してレンガを積み、石垣を積みなおしたのだろう。弾薬庫ということでトンネルの必要性があったのかもしれないが、城の石垣がきちんと残されているのは幸いなのかもしれない。辰巳櫓の石垣も形は変わったが復旧された。城としての遺産、残す気持ちがあったのかどうかはわからないが、城好きとしてはうれしい。

ところで、このトンネル、これは戦争遺産となるだろうか。。そうなると簡単に復旧はできないか・・・。

本丸側から。
こちらも本丸側から。
この角度からは見えにくいが、なにかパイプを通しているらしい。多少は有効に使われている?


写真撮影: 2009年7月

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