金沢に残る旧陸軍の建物
金沢城は、今は公園として整備され、復元なども進んでいるが、以前はここに金沢大学があった。そして、その前は):陸軍第9師団司令部が置かれていた。金沢には、当時の旧陸軍関連の建物などが一部残っている。

歩兵第六旅団司令部庁舎

金沢城内に残る洋館で、明治36年に建てられた。平屋で比較的小さな建物である。土台は煉瓦造りである。裏に回ると新しそうなて建物が渡り廊下で?がっているが、元々ここに別棟があったそうだ。
江戸時代の金沢城のなかに洋館があるのは違和感もあるが、かって陸軍が使っていたことを示す貴重な建物であると考える。この建物は倉庫等として使われているそうで、非公開である。


兵器庫

レンガつくりの建物である。明治42年から大正3年にかけて作られ、長さは約90mだそうで細長い建物になる。これが3棟ある。多少離れてはいるが、壮観である。現在、石川県立歴史博物館となっているが、その一部は土台も含めて構造を見ることができるようになっている。もっとも、それ以外は内部から見て煉瓦造りであること、古い建物であることなどは感じられない。
外部から見ると窓がずらりと並んでいる。それぞれの窓には外に扉が付けられていて、展示室になっているところの一部は扉が閉まっている。やはり開いている様子は美しいと思う。また、外には柱が飛び出すようになっているのでこれもアクセントのようになって美しく感じる。そして、古くなった煉瓦の色もまた良い。
ところで現在は3棟であるが、5-7号なのだそうだ。とすると、元は7棟あったのだろうか? もし7棟並んでいれば見事だったことだろうと思う。



旧陸軍金沢偕行社

明治31年に大手町に旧陸軍の将校クラブとして建築された。昭和42年に移築された。
木造2階建てで、屋根は下の部分が勾配が緩やかになっていて正面から見るとそれが分かる。外部にはギリシア神殿風の柱など、細かな装飾がある。優美さを感じる建物である。
石川県庁の石引分室として使われてきたが、現在はほとんど使われていないようだ。木造であるが、屋根の軒先部分などが痛みが出始めていて、またペンキ等も一部禿げていてとても残念である。未公開であるが、修復しないといけない時期を過ぎているように感じてしまう。

第九師団司令部庁舎

旧陸軍金沢偕行社と並んで立っている。こちらも明治31年に建てられた。金沢城2の丸に建てられていて、昭和43年に移築された。旧陸軍金沢偕行社と比べるとシンプルな感じがあり、明治期の庁舎の建物の好例だそうだ。建物は移築時に左右両翼が半分程度に切り詰められている。


旧第九師団長の官舎

石川県立美術館広坂休憩所となっており、県立美術館の隣に少し離れて建っている。戦後、裁判所、児童館まどに使われたため、建物は手が加えられていて、玄関近くが当時の面影が残ると言う。内部も公開されていて、談話室や会議室となっている。


写真撮影: 2012年1月

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