金沢の和菓子

金沢は、京都や松江と並んで和菓子で有名な土地である。その中で私は金沢の町外れに近いところに住んでいる。ここは新興住宅地ではなくて減ってきていはいるもののお店や飲食店も残っている場所である。近所を歩いていると和菓子店が多いな、と感じる。歩いて10分程度の範囲で数えてみると6軒はある。店、表通りだけではなくて裏通りなどにもあるので見落としもあるかもしれない。同じ範囲に洋菓子店は1軒くらいである。商店の数を考えると非常に多いと思う。
私の近所でさえこれだけ数があるのだから、金沢全体では和菓子店は無数にある。その中には全国的に知られている和菓子店もある。しかし、知られていないような小さな店のお菓子も食べてみるとなかなかおいしい。好みもあると思うけど、私が買ったあまり知られていない和菓子屋、どこも外れはなかった。

金沢の和菓子、茶の湯にはじまるのでは、とも言われている。お茶には上質の菓子が欠かせないため、その需要が高まった、との説である。また、浄土真宗の盛んな地であり、仏事にも和菓子が必需品であったから、とも言われている。歴史的なものはさておき、隠れた名店もあるだろうし、好みにぴったり、という店も見つかるかもしれない。観光などの際、ちょっとその先まで足を延ばしてみてはどうだろう? ガイドブックにも紹介されていない和菓子店がみつかるかもしれない。

和菓子の一部紹介する。これは私の個人的な好みなども入っていること、あらかじめお断りします。

上生菓子

お茶の席では欠かせない上生菓子、季節に合わせた形で作られ、その淡い色合いと繊細な形はまず目で楽しませてくれる。
上生菓子は、和菓子屋各店が作っている。毎月、更に年始などの時期に合わせて数種類作られているので金沢全体では無数にあることになる。私が見たもの、食べたものはそのごく一部となるのだが、どれも美しい。
上生菓子は多少は日持ちもするので買って帰ることもできる。だけど、持ち運びに気を使うと思う。和菓子店の中にはお茶を上生菓子を喫茶的に食べられるところもある。また、テーブルと椅子を用意しているところもある。多くの品は一つから買えるので店で楽しむのも良いと思う。
また、一部では菓子製造の体験もある。これもまたおもしろいと思う。
上の写真は森八、2011年1月の菓子。


こちらは村上のもの。2011年2月。


落雁
金沢の菓子で欠かせないのが落雁だろう。名が知られているのは森八の長生殿、諸江屋である。落雁、嫌いという人も少なくない。実は私もあまり好きではないのだが、これらの品は別である。和三盆を使っていて上品な甘みがある。これらの落雁は美味しい。
落雁、仏前の菓子としても重要で、歴史は深い。その型、木で作られていて菓子の資料館などで古いものが展示されている。

きんつば
きんつばでは中田屋が有名であるが、いろいろな菓子店で作られている。金沢のきんつばは四角い形をしている。上から見ると正方形で、横から見ると薄い長方形である。同じ加賀藩の範囲でも富山県に行くと薄い、丸い形をしていてそこに鍔のような模様があったりする。

写真は村上のきんつば

加賀せんべい
金沢のせんべいは、小麦を使った甘いせんべいである。”加賀せんべい”は宇野甘源堂の商品であるが、似たようなせんべいは他の店も作っている。どれも適度なすっきりとした甘さで後味も良い。この伝統的な味のもののほか、バターなどを使った洋風のものもある。これもまた美味しい。

柴舟
加賀せんべいの中で、生姜と砂糖を塗ったものが柴舟である。控え目な甘さと生姜の風味が独特である。生姜の風味で好き嫌いはあるかもしれない。
柴舟。小出のものが知られているが、他の店でも作っている。

水あめ
俵屋が有名である。素材の味を活かした甘みがある。水飴を練って固め、個別包装にしたものもある。

甘納豆
西茶屋街に専門店、かわむらがある。豆などの素材の味が生きている甘さが特徴である。豆を使ったものは当然数多いが、それ以外にも五郎島金時(さつまいも)や栗を使ったものなどがある。少量で売っているので数種類買って味を比べるのも楽しい。

餅のお菓子

金沢のお菓子、餅を使ったお菓子が多いように感じる。感じるだけでそれを裏付けるデータなどは調べていない。石川県は米の産地だし、餅もなじみが深いのかもしれない。この地には”あんころ”があり、これは小さな餅をこしあんで覆うようにしたもので、大きな餡のなかに餅が隠れている様な感じである。餅そのものも多いように感じるので、餅を活かしたお菓子も多いのかもしれない。
写真は村上のふくさ餅である。袱紗の中に餡と餅がはいっていて、餅が餡の甘さを適度に和らげ、甘すぎずまた餅が案の味を引き立てているように感じる。ふくさ、黒糖のほか季節に合わせて1〜2種類追加されている。初夏は抹茶、秋は栗、初春は桜、などである。


こちらはあんころ。製造元は白山市であるが、金沢でも売られている。


中はあんこの塊のように見えます。この中に小さな餅が9個、入っています。安くて美味しいです。ただ、賞味期限は当日のみ。なので、お土産にとしては買いにくいですね。


佃煮の最中
金沢の名産に佃煮もある。その佃煮を最中にしたものが売られている。中でも胡桃の佃煮はよく見る。胡桃の甘さもあるが、そこは佃煮。お菓子の甘さとは違う。見た目にはお菓子と同じであり、また紙で個別包装されているのでお土産用に売られている。お菓子とはちょっと違うかと思うが、また違った美味しさがある。

くるみの佃煮の入った”加賀の白峰”です。佃煮の店で作っています。最中はくるみの形をしています。


中はくるみの佃煮です。お菓子とはまた違った味わいがあります。


麩菓子
金沢の名産のもうひとつは麩である。生麩、加賀料理にも使われている。
その麩を使った菓子もある。これは生麩の麩饅頭。こしあんが入っている。普通の饅頭とは違い、あっさりとした麩があんこの甘さを引き立てている。宮田のものである。



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