マーメイドラグーンシアターの常連さん

東京ディズニーリゾート、年間パスポート利用者は多い。年間パスポート利用者はショー中心に楽しむ人が少なくないようだけど、アトラクション利用が多い人もいる。当然、各アトラクションには常連さんがいることだろう。私もいくつかのアトラクションをよく利用していて、なじみのキャストさんが軽く声をかけてくれたりする。つまり常連、である。

では、アトラクションの他の常連さんと知り合うことが出来るか? これは非常に難しい、というより無理なことも多い。ショーであれば同じ場所などで何回か見かければ常連さんがわかるだろう。それに、なんとなく常連さんは分かる。でもアトラクションだと1日中動いているから会うこと自体少ないと思うし、仮に近くにいても待ちの列があるので見かけること自体少ない。仮に常連さんに気が付いたとしても近づくこと、話しかけることは難しい。
だけどライド型でないアトラクションであれば、常連さんと知り合うことも可能である。東京ディズニーランドではトムソーヤ島である。最初に知り合った常連さんもここである。だいたい同じ時間にめがけてゆくと常連さんが居たりする。そしてもう一つがタイトルにあるマーメイドラグーンシアターである。私は、マーメイドラグーンシアターの常連でもある。多いときには週に数回行くこともある。なじみのキャストさんもいて、比較的空いているときなどはキャストさんと短時間だけど話をすることもある。だけど行くのは、平日であれば最終回のみとなる。それでも、常連の中でも多い方かな?と思っていた。しかし、上には上がいるものである。

2017年3月後半の月曜日、会社帰りに東京ディズニ-シーに行った。この日の朝、もう春なのに雨に雪が混じるなど散々な天候だったので東京ディズニーリゾートは空いているかと思ったがさすがに春休み期間、残念ながらいつも通りの混雑であった。この日のマーメイドラグーンシアターの最終は20:00であった。実はこの年の2月、シアターの公演は早い時間に終わったり不意に開始が遅れたりなど無茶苦茶だった。会社帰りに寄ろうとしても無理だったりした。それが3月頃からようやく正常化してきた感じである。この時問なら無理なく会社帰りに寄れ、その後にラウンジで一杯飲める。この日、念のために急いで19:00頃に着いたところ待ち時間は60分になっていた。キャストさんに最終公演が20:00なのを確かめ、その前は?と思って聞くとどうやらもう1回先にやるらしい。見てる間に待ち時間が25分に変わった。ひとつ前は19:30の公演のようだ。列がないので19;30の締め切り直後に入ればよい、と判断して他でちょっと時間をつぶし、19:20頃に戻った。この時間、19:30の回の呼び込みの最中で、どんどんお客が入ってゆく。ここで入ってしまうと終わり頃の入場だから後ろの席になったりする。これでも十分楽しめるけれど常連としてはもっと良い席で見たい。様子をみながら締め切られた後に並び、19:30頃にプレルームに入る。マーメイドラグーンシアターは一番奥の扉から順に入場となる。希望する席によっては、ここに入っていないと難しい。最初の扉の最前列、とはならないけれど2列目、まあまあの場所である。この場所、両側に座れる場所がある。座ることを優先すると扉から遠くなって入場が遅れるのだがそれでも座る人が多く、座る場所から塞がっているのだけど今回はみんな立っていて、2列目付近に座れそうなので座って待つことにする。
ここで20分少々の待ち。暗めだけど本を読みながら待つ。ふと見ると目の前には若い女性がいた。ひとりかな? となんとなく思った。そしてやはりなんとなくだけど常連さんに見える。ちょっと気になった。プレルームで待っている間、今回はどこに座るかな? と考える。最初の扉で2列目くらいなら比較的席は自由に選べる。昨日は右側ブロックの一番前だった。ここはアリエルと目が合う可能性が高い席でもある。一度1秒近くの長い時間目があってドキッとしたこともある。今日はちょっとずらして可能なら中央の最前列、あるいは左側の最前列がどうかな? と思えてきた。それに・・・前に立つ女性がどこに行くかも気になる。というのは、常連さんであれば好みの席あり、それが私が知らない良い席であることもよくあるからである。開場になった。目の前の女性と重なったので一歩引いて先を譲る。常連さんかもしれないのに押しのけてゆくことはない。逆に、我先にと押しのけて行く人だったらブロックしたくなることもある。この回、最前列を通って中央に向かって行く人が非常に多かった。右側ブロックの最前列は空いていたが通る人が多くてたどり着けない。中央ブロックも人が多い。これでは中央の最前列はとても無理である。久しぶりに左側ブロックに向かった。中央ブロックを超えてゆく人は少ない。左側ブロックの最前列は既に2人座っているがむしろその方がありがたい。これなら席の真ん中に座れる。先客の一人、中央側は偶然だけどプレルームで目の前にいた女性であった。こういうショー形式の長椅子で隣に座るとき、私はなるべく声をかけることにしている。このときも“失礼します”と声をかけると“どうぞどうぞ”と返事があり、にっこりと迎えてくれる。すごく愛想がよい? そう思ってしまった。他のアトラクションでもそうだけど、返事があることなんてまずないことである。この女性、一人かと思っていたらもう一人連れの方がいたようだ。待っているときは気が付かなかったのだが・・・。
座ってしまうとあとは上演を待つだけである。携帯等は使えないし、本を読む間もない。要するにないもすることがない。この時、“昨日も来ておられましたよね?”と、いきなり声をかけられた。続いて“隣に座っていました”と。これには驚いた。確かに昨日も来ていた。ただ、2回来ている。どっちだろう?と思って返事に迷ってしまった。隣は2回とも女性であった。ただ、どんな人だったか、同じ人だったか自信がない。
“間違いならいいんですが・・・”
若い女性が相手である。それに、この席をあえて狙っているようだから常連さんだろう。否定することなどない。一番初めの回であることを確かめて、来ていたことを白状(?)する。
“あの席ですよね”と、右側ブロックを指さす。
”そうです。”
もう間違いない。
マーメイドラグーンシアターに頻繁に来ていること、たとえば会社などで言うのはすごく抵抗がある。というより今の職場ではディズニーの年間パスポートを持っていることさえ言っていない。ディズニーシーでも、よく会うラウンジのバーテンダーさんにもマーメイドラグーンシアターのことはあまり話してはいない。(ということは話したこともある、となる)ただ、カメラのバッグに飾りとしてカメラバッグにアリエルのピアスをつけていて、東京ディズニーランドのトムソーヤ島いかだのキャストさんに見つけられたことはある。
マーメイドラグーンシアター、そしてアリエル好き、いい年のおじさんとしてはちょっと照れくさいというか、恥ずかしさがある。隠していないにしても積極的に言ってはいない。でも、シアター内ならつまらぬ見栄を張ることはない。なにしろ同じ常連である。同好なのだから話していても楽しい。以前からの友達みたいに話してしまう。

その後である。平日夜など、その後何回か会っている。そしてほかの常連さんとも知りあうことができた。女性の他に男性もいる。彼女たち、今日は3時ごろから連続、と聞いたりする。ということは、1日で私の1週分以上入っていることになる。しかも出演者を名前で区別している・・・。私のレベルをはるかに超えている。上には上がいるものである。




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