ストームライダーの終了

このアトラクションは、ストームライダーに乗ってストームの中心に入り、消滅させるミッションを見学する、シアタータイプのアトラクションである。ストームを訳すと嵐、暴風雨などとなるが、アトラクションでの説明では中心気圧が930Hp以下であることや目があることなどから台風に相当するようだ。

さて、ストームライダーは、私にとっても思い出深いアトラクションである。東京ディズニーシーに最初に行ったのは、たしかオープンして約1年目の夏だと思う。その中で最初に乗った(あるいは最初に近い)アトラクションがこのストームライダーであった。少なくとも、最初に行ったときのアトラクションとしてよく覚えているのがストームライダーである。そのときのプランは女房が検討していて、乗る前にパンフレットで見る内容から大したことない、みたいに思っていたら予想外に楽しめ、更に雨が吹き込むなど驚きもした。単身赴任になって年間パスポートを買ったときも2日目に乗っている。余談だけど、最初の東京ディズニーシーに行ったとき、このほかにどのアトラクションを利用したか、記憶は定かではない。でも一番思い出深いのは、ストームライダーとマーメイドラグーンシアターであった。ついでだけどこの雨が吹き込む演出、最初に乗ったときはばらばら程度だったと思う。年間パスポートを購入して乗ったとき、こんなに水が多かったか? と感じた。同様に思う人も多いようだ。
このアトラクションが2016年5月に無くなる、と聞いて驚いたのだが決まったものは仕方がない。最後のときに年間パスポートを持っていることを幸いと思うべきかと思う。冬に行ったとき、たしか2月だったと思うが、向かって右側が閉鎖されてしまった。一時的なものかと思ったが意外と長く、後にキャストさんに聞くと、改装にむけての閉鎖という。ひょっとしたら故障等で、終了が近いからそのまま閉鎖したのかな、なんて思ってしまう。実は最初に乗ったのがこの右側であった。そう思うと残念である。

3月の混雑時、列が長くてなかなか乗れなかった。まだ先がある、と思ってしまい、無理に乗らなかったのがちょっと残念である。4月なって混雑が減ったとき、週末は別の所要もあったりしてこれまた思うように乗れなかった。混雑は、片側だけの運用による片肺運転の影響もある。単純に待ち時間が2倍になるのだから。それでもファストパスの発行は余裕があるのでそれを使って乗ることが増えた。
5月の連休は帰省で乗れない。気がついたら残り約1週間、もう乗る日がない‥・最後の週末は予定が入っている。その前の平日の夜に2日ほど入って何回か乗った。慌てて乗った、と言う感じが強い。既に待ち時間も長くなっていて、タワー・オブ・テラーより長いときもあった。インディ・ジョーンズ・アドベンチャーよりも、センター・オブ・ジ・アースよりも長い。
ここで5月の夜の様子である。乗っているのはストームライダーのフアンが多いな、と感じた。建物の外観、ポスターなどを写している人も多く入る。アトラクション内で写す人もいる。搭乗機内で写す人もいて、液晶画面は多少迷惑だけどまあ仕方ないかな、と容認する気にもなる。だけどこれは後に明確に禁止された。
もちろんアトラクションの内容はいっもの通り。以前だと普通の人が多いからか、早いうちから悲鳴が上がったりしたけどそれはない。みんな慣れているのだろう。だけど、水が降って来ると声が上がる。このあたりは変わらないようだ。そして終了時、拍手が。毎回そうだった。終わっても立っのがちょっと遅い。拍手は終了が近くなるにつれて更に大きくなっていった。出口で写真を撮る人もすくなくない。

そしていよいよ最終日。できれば最後のフライトに乗りたいものだがこれは困難だろうと思っていた。整理券のうわさがあり、一応朝に聞いてみたがだめだった。すぐにファストパスを取り、続けてスタンバイに並ぶ。この時点で1時間程度の待ちであった。飛行終了時の拍手、一層強くなってきた。外に出てあちこち写真を撮っていると泣いている女性がいた。偶然一緒になった人も共に泣いている。これは気持ちが分かる。
この時点ではまた次のファストパスが取れない。1時間くらいあるのでマジックランプシアターを利用して戻る。最終回に近い回のファストパスを取ろうと思ってタイミングを待つ。急に人の動きが激しくなった、と思ったら、19:00-20:00の次が19:05-20:00になった。これで終わりか、と慌てて並ぶ。列を追いかけてなんどか並べはしたが、”並んでも取れない可能性もある“とのこと。そして‥・その通りになってしまった。発券所に入るまであと10人を割った、と思ったところで発券が止まった。仕方ない、午後にスタンバイで並ぶしかない。
ファストパスが締め切られた今の時間に使えるファストパスが1枚、手元にある。記念に残そうかと思ったのだが、使うことたした。事前に写真を撮っておく。でも、持ち帰ることも出来る、とのこと。パンチ穴が明けられ、パスは無事手元に残った。

午後にスタンバイで並ぶ。約3時間だが並ぶしかない。でも2時間少々で乗れた。17時頃である。この時間、出てすぐならもう一度並ぶことは出来る。でも、もう3時間並ぶのはかなりきつい。それだけの体力はないだろう。とすると本当にこれが最後である。出口付近、なかなか帰らない人もいる。ふと見ると、その出口にキャストさんが一人いたので話かける。泣いている人がいた、と言うと“アトラクションなのだから、みんな笑顔で帰って欲しいのですが”と。その通りなのだけど、今日に限ってはそうは行かないだろう。

アトラクションにはもう乗れないが、最後にもう一度、閉園ごろにに来たい。それまでの間、まずラウンジに行って飲んだ。ラウンジのキャストさんにストームライダー最終日だから来たことを話し、午後に乗ってきたことを告げると、うらやましい、と返事が帰ってきた。前の土曜日に行ったけど200分待ちで乗れなかったそうだ。“拍手が起こっているそうですね”と聞かれ、先週もそうだったと答える。キャストさんの中にもフアンがいたこと、嬉しく感じた。
飲んだ後、時間までの間、アトラクションではマーメイドラグーンシアター、そしてマジックランプシアターに行った。マジックランプシアターの前で待つとき、列の中から“ストームライダー”と話すのが聞こえてきた。そういえば、昼に一度パークの外に出たときモノレール内でも聞こえてきた。それだけ関心のあるフアンが多いのだろう。
マジックランプシアターで待つ間、地震があった。ゆっくりした揺れに、震源は遠めかな、と感じた。揺れはそれほどでもないように感じたが、これは立っていたからだろう。タブレットで震源と震度を見ると茨城、最大震度は5弱とのこと。思ったより近くで大きい。でも、マジックランプシアターは通常通り行われた。

さて、ストームライダー、今日が最初と言う人もいた。朝並ぶとき、キャストさんにアトラクションのことを聞いていた人がいた。今日が最後と聞いて、“それでこれだけ混雑しているのね”と返ってきた。早速並んだ。また、出口にあるストームライダーのポスター、写真に撮っている人も多かったが、その横で女子高生らしい子が“最初で最後”といっているのも聞こえてきた。

いよいよ最終である。22:00頃に行くと多くの人が集まっている。また、列の中に待つ人いる。何の列だろう?と不思議に思った。どうやら最終回は終わっていないようだ。10分、15分と待つ。集まっている人も帰る様子がない。もう少しいたいが明日の仕事のこともある。あきらめてここで引き上げることにした。
後で分かったことだけど、地震でアトラクションが一時停止し、再開待ちだったとのこと。最終は23時過ぎだったとか。この時間では多分モノレールは終わっている。切り上げてよかったのかもしれない。残念ではあったけど。

さて、この日、いつもと違うこともあった。プレショーで搭乗者への説明を開始するアナウンスが流れたとき、“搭乗者の準備が整い次第説明を開始します”と言っていた。通常はすぐに説明を開始するのだけど、何かの都合でちょっと遅れたのか、意図的なものなのか分からない。その後、説明開始の前に、普段は流れない司令官との状況確認の声と、それに答える様子が聞こえてきた。この目2回聞こえたと思う。最後だからサービスしてくれたのだろうな、とも思う。
もうひとつ、今までストームライダーの機体で、コクピットの位置は観測デッキの前、と説明されていた。でも観測デッキの前のどこ? ということは意識もしていなかった。だけど私が午後に乗ったとき、客席の前にある円筒形のもの、上が透明になっていて中にランプが点滅しているが、飛行前にキャストさんがコンコンと叩いて“キャプテンデービス、お願いね”といっていた。前の席の人が不思議そうに見ていたので、“ここが操縦席なんですよ”と。そういえば、その左右に太いパイプがあり、なんとなく通路みたいにも見え、その先は機外から出入りできそなデザインになっている。以前からこれなんだろうな? と思っていたけどまさかコクピットとは・・・。最後の最後で教えてもらった。

最後につまらないことを・・・。
ストームライダーはエンジンの方向が可変の垂直離着陸機になる。だけど、映像から推測すると、離陸後、スピードを増すとき、前傾している。これはヘリコプターの動きでは?飛行機でこれを行うと翼の揚力が減り、高度を失ってしまう。また、台風の目を超えているのに物が飛んできて機体に当たるように感じる。これもありえない。台風であれば雲の高度が1万m以上なのだから、そこまでごみなどが舞い上がることはない。但し、ストームディフユーザー爆発後はその破片が飛んでくることはあるかと思う。
まあ、細かなことを突っ込んでもしょうがない。これは単純に楽しめばよい、となるのだろう。(もう乗れないけど)

ストームライダー休止の翌日
2016年5月18日に東京ディズニーシーに行った。入ったのは19時45分ころだった。最初にアトラクションの待ち時間等の掲示板を見る。当然ながらストームライダーの文字はない。

トランジット・スチーマーラインでロストリバーデルタに向かう。ケープコッドの灯台の案内の後は無言。何も無いままアクアトピアの横を、そしてストームライダーの横を通りすぎる。
ここからストームライダーの跡に向かう。当然だけど、人がいない。昨夜の混雑を思わせるものは全くない。入り口にロープが張られ、休止を示す看板があるだけである。すぐに再開しそうな様子である。
変わりがないのはここだけではなかった。チケット売り場横のポスターもそのまま、空に向けたスポットライト、誘導灯だけど、これもそのまま。変わりがないだけに余計寂しく感じられた。



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