システム調整の話 マーメイドラグーンシアター その1

マーメイドラグーンシアターは、映像とオーディオアニマトロニクス、そして人の演技を組み合わせている。特にアリエルはワイヤーで吊られた状態で演技する。他のアトラクション同様、まれにシステム調整が発生する。実際、システム調整で中止になっていて入れなかったこともある。そして・・・とうとう上演中のシステム調整に当たった。

この日は2016年2月の金曜の最終回で、当然だけど普通に始まった。数分後、コレクションのある洞窟の中での場面でアリエルが登場し、その最後の部分、アリエルがトリトン王に向かって話すところでトリトン王の前のカーテンが上がっていなかった。ここで緊急停止させたように思える。音楽も止まり、アリエルは宙吊りのままとなった。すぐにシステム調整の放送がかかり、まもなく中止の放送に変わった。観客からはため息が漏れた。
ここで、客席から男性の声でアリエルに声援が飛んだ。最初の声、何を言っているのか良く分からなかったが“アリエル”だけは明確に聞こえた。大きな声だった。続いで’がんばれ”との声も上がる。観客からは拍手が起きた。アリエルは嬉しそうに笑い、その後客席に向かって手を振ったり、尾びれを動かしたりして動ける範囲で演技を続けていた。それに対して観客も拍手したり手を振ったりしていた。
このあたりでアリエルの向きが客席中央に向けて変えられた。放送ではシステム調整のため続けられなくなったことを繰り返している。ステージの近くにキャストさんの一人が出てアリエルの様子を確かめたようで、合図を送った後、拍手の中、アリエルは戻っていった。とすると、天井から下がる洞窟のセット、この時点で上がっていたことになる。そうしないとアリエルを戻す際にセットとワイヤーが干渉するはずだから。だから、トリトン王のカーテン以外は普通に動かせたのだろう。セットが上がったことには気がつかなかった。アリエルばかり見ていたからだろうか?
退場の際、優先入場整理券が渡されたが、夜遅い時間だから”次回来園時にも使用可能”のものだった。時刻は閉園の22時直前で、何人か、”「今日も使える”ことを確認していた。急いで次に向かったのかもしれない。”次回”がだいぶ先になる人も多いだろうから、間に合うならこれもひとつの選択だろう。

システム調整、とても残念に思えたけど、アリエルが出た後だからまだ良かった。止まった直後のアリエルのちょっと困ったような、何をすればよいかわからないようなかわいい表情、声援や拍手への笑顔、得がたい経験だった。アリエルの素の笑顔はとても魅力的でよかった。システム調整で気持ちよく退場できたのはアリエルのおかげである。


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