金沢21世紀美術館
所在地 石川県金沢市出羽町3−1
入館料 大人350円 (展示により異なる)
休館日 年末年始、資料の展示替え・整理の期間
交通手段 JR北陸線金沢駅からバス、香林坊などで下車。
北陸高速金沢西ICから約30分(有料駐車場あり)
金沢21世紀美術館は、2004年10月に開館した。近代美術を扱う美術館であり、斬新な展示もある。
この美術館、非常に面白い展示となっている。展示品の面白さもあるが、一番の特徴は”個室展示”中心であることだろう。 個室展示。これは、一つの展示室に一人の作家の作品を展示する。比較的大きな作品も多く、その場合は展示室に1作品のみ、となる。部屋も広く、非常にゆったりとした展示になっている。また、個室であることを最大限に生かした展示も多く、他では見られない作品も数多い。
個室、多くは四角形であるが、円形のものもある。また、中庭にガラス張りで張り出した部屋もある。これらの部屋がランダムに(と言うわけでもないだろうけど)配置されているため、迷路のような雰囲気になっている。
迷路みたい、といっても行き止まりが多数あるわけではない。しかし、出入り口が2箇所ある展示室を通り抜けたりすると、どこに出たかわかりにくくなってしまう。そして、通路は見通しがよくないように作ってある。展示をどこまで見たのかわからなくなってしまうこともある。展示室には番号が打ってあるが、それを全て覚えているわけではない。だから、うっかりすると見逃してしまうかもしれない。しかし、この迷路のような展示室。これもまた、大きな魅力となっている。
展示は、恒久的な展示室と展示替えを行なう展示室とある。恒久的な展示は、美術館と一体になった展示である。
その一つは”タレルの部屋”(Turrel, James)。ここは、天井の中央が大きく開かれ、空が見えるようになっている。部屋、というよりは中庭みたいな感じもする。屋根がなく、外につながっているのだから。
この部屋、周囲の壁に沿って椅子が作られている。そこに座って空を見る。ただの空ではなく、周囲にある天井のおかげで額縁的に切り取られている。でも、見えるのは空だけ。だけど、どこか映像を見ているような錯覚を感じてしまう。ただ空を切り取って眺める部屋、ではあるが、じっと長時間座って眺めている人も少なくない。不思議な魅力のある部屋である。
ただし、夏は暑く、冬は寒い。悪天候時には、雨や雪も吹き込むので、覚悟が必要かも?
そしてもう一つは、”スイミングプール”(Erlich, Leandro)である。ここでの一番の人気展示でもある。ここは屋内と屋外、2箇所から見る。外から見ると、一見小さなプールである。が、中には人が見える。中からは? プールの、通常は水のあるところに入ることができる。水面は、透明な板であり、その上に水があるだけ。だが、プールの中から見るのと同じ光景を眺めることができる。もちろん濡れることはない。
プールの中と外、両方から眺めることが出来、水面を通してコミュニケーションを、という作品である。
展示ではないのだが、ここのエレベータも非常に個性的である。エレベータ、床以外はガラス張りであり、更に左右そして上、に支えるものはなにもない。エレベータ自体は床から押し上げるようにして昇降するのだが、普通はある、左右のガイドがなにもない。下の階にいるときは、エレベータの上には何もないのである。ただ、乗る部分のみが下から押されて上がってゆく。シンプルでかつ美しい。ある意味、最高のエレベータだろう。この美術館にふさわしいエレベータであり、作品の一つに思えてしまう。この構造ゆえ、動きは遅いのだが、それでもつい乗ってしまう。
金沢21世紀美術館、展示の方法にも新しさを感じるし、作品にも新しさを感じる。
外から見た建物も円形のガラス張りであり、個性的である。
いままでにない斬新な展示をこれからも期待したい。