博物館・美術館  閉鎖博物館の思い出 金沢ヘルスセンター


いしかわ動物園は、元は総合娯楽センターである金沢ヘルスセンターの一部でした。(金沢ヘルスセンターは、のちにサニーランドと改称)

金沢ヘルスセンターは、動物園の他に演劇、映画、小遊園地、さらには大浴場や宿泊施設もあり、隣接する金沢水族館と共に子供から大人、老人まで楽しめる娯楽センターでした。私が子供の頃、おおよそ30年位前は、今のように簡単に東京などへ出かけられませんでしたから、そのころの金沢近辺の子供たちにとっては、ここは最高の遊び場所だったのです。なかでも、ゾウのいる動物園は子供たちには大人気でした。雪の多い北陸で、冬でも楽しめるように、動物園全てに屋根がありました。そして、ここはヘルスセンターの一部ですから、裸足で見学できたように思います。雨の中でも、寒い冬でも裸足で見られる動物園なんて、ほかにはないでしょうね。
また、金沢水族館もユニークでした。ここは海辺ではなく、山なのです。そして、飼育する魚たちは殆どが海水魚です。看板にも、”世界で最初の山頂水族館”、となっていました。山頂、は大げさですが、窓からは金沢の町を見下ろせる位の高さです。
子供たちは遊園地やゲーム、大人は大広間で演劇。そして一緒に動物園や水族館へと、一日遊ぶことが出来る場所でした。


ですが、その繁栄にも限界がありました。様々な理由はあるでしょう。レジャーの多様化、交通機関の発達、・・・。見晴らしの良い山頂にあることで、思うように拡張できなかった、といったこともあるでしょう。営業不振となり、ついに閉鎖。ですが、石川県で唯一の動物園をつぶしてはならない、と県が買収。とりあえず同じ場所で”いしかわ動物園”として存続しました。しかし、施設の限界は明らかでした。動物舎は狭く、動物たちも窮屈そうです。これは水族館も同じこと。今の目で見ればお世辞にも良い施設とは言えません。そして、拡張しようにも山頂ゆえ、非常に難しいのです。このため、県は移設を決意。現在は辰口に移転してます。狭かった動物舎も最新の施設に生まれ変わりました。また、水族館の魚たちも一部はのとじま水族館などに移っています。多分、のびのびと走り、泳ぎ回っていることでしょう。

ですが、今思えば、ここは私と同世代以上の人にとっては、最高の娯楽施設でした。屋内動物園ですから、どうしても臭いが残ります。そんな中を、”くさい、くさい”なんていいながら、喜んで走り回っていたのです。臭いから行かない、なんて子供はいませんでしたね。

先日、新動物園開園直後に旧施設を訪れてみました。もちろん中へは入れず、”立入禁止”の看板のみが目立っていました。
いつまでこの建物が残るか分かりませんが、またいつか訪れてみたいですね。


 旧入り口。正面には大きな看板があったのですが、すでに外されていました。
















本館の煙突。
大浴場で使われていた野だと思います。奥の建物では宿泊もできました。
















 水族館屋上の小遊園地。遊具は他にもいろんなところに設置されていました。観覧車は、相当前から止まっていたような感じです。30年近く前ですが、この水族館から本館へロープウェイが通じていました。後ろに見えるのは、金沢の町並みです。











水族館の入り口。鯱の中には水族館に通じる階段があります。
この入り口をくぐるとき、わくわくしたものです。













 
水族館正面。ここだけは文字が残っています。















注意: Wikipediaの”いしかわ動物園”の一部には、本ページの一部と類似の記述があります。(2010年1月10日の記述にて確認)
     ですが、このページは私が独自に作成したものです。(西村 崇、2010年1月11日) 

旧いしかわ動物園、その後(2002/9/28)

前回訪問時には建物が残っていた旧いしかわ動物園ですが、その後訪問してみると完全に消えていました。建物の痕跡もなく、あまりにも見事な消え方に「本当にここにあったのだろうか?」と心配になるほどです。現在、公園などとして整備されているようにも思えます。確かにここは見晴らしも良く、また街中からも近く、公園として最適の場所のひとつですね。(2004年、公園となっています)
ここが公園になったとき・・・。旧いしかわ動物園、というより金沢ヘルスセンターは人々の記憶から消えてしまうかもしれませんね それも時代なのかもしれませんが、ちょっと残念です。


本館入口跡。
舗装の端あたりに建物の入口がありました。芝生のあたりに建物があったのですが、いまはそのなごりさえありません。新たな植樹もあり、公園としての整備がすすんでいます。

















水族館入口。
ここに鯱の形をした入口がありました。木々の切れ目とくぼみにその名残がありますが、通路さえ残っていません。

















水族館跡。
このあたりが水族館の跡、とおもえるのですが、コンクリートの跡がわずかに残っているだけです。多分、建物の跡ではなく、建物外の通路などの痕跡と思うのですが・・・。

たしかこの木の奥に本館があったと思います。
















水族館跡。ここも見事に消えています。