所在地     福岡県北九州市八幡東区東田2-4-1
TEL     
093-681-1011
入場料     500円
休館日         年末年始
交通手段    JRスペースワールド駅から徒歩5分程度。有料駐車場あり。
備考            
http://www.kmnh.jp/

JRスペースワールド駅に立つと、まず目に付くのはやはりスペースワールドである。巨大なスペースシャトルもあり、遊園地的な要素もある施設なのだがら当然だろうか。
しかし、この北九州市立自然史・歴史博物館 いのちのたび博物館も博物館としては相当大きな規模である。床面積で1万7千平方メートル、展示スペースだけでも6千平方メートルを超える。床面積だけで比べると、一部の国立博物館を上回ってしまう。しかも、ここは市立なのである。大きさだけではない。展示内容も非常に充実している。それを順に紹介してゆこう。

1.自然史展示
ここの一番の展示はやはり自然史展示である。展示入り口は地球の誕生。そして古生代、恐竜の時代でもある中生代、哺乳類などの新生代、そして現在の生物へとつながってゆく。段などで分けられてはいるが一本道の展示。その脇にはテーマを絞った小展示、ポケットミュージアムが並ぶ。そういった展示も見ながらゆっくりと時間をかけて進もう。
 

1.1 アースモール

ここで一番目を引くのはやはり恐竜の骨格標本だろう。だが、その前に最初の地学展示から見てゆこう。鉱石標本などが並ぶ、ちょっと地味な展示でもある。だがこれは、地球の始まりからの展示を意味している。これこそが地球の始まりであり、生命の始まりへとつながるのだから。
続いて古生代。海の中で始まった生命が多様化し、ついには陸上にまで進出する。小型の生物の化石が中心なのでちょっと地味なので、次の中生代の大型恐竜につい目が向いてしまう。ここにはウミユリや三葉虫などの化石がある。
中生代、言うまでもなく恐竜の時代である。大型の草食恐竜、セイスモサウルス。これは体長が35mもある大きなもので、骨格標本として展示されている。他にはステゴサウルスやトリケラトプス、ティラノサウルスなどもある。また、上を見上げるとそこには翼竜のスンガリプテルスなどが。巨大な標本が多いので圧倒されてしまう。
続いては新生代。ここも大型の動物の骨格標本が並ぶ。ナウマンゾウやマンモス、そして鯨類。恐竜ほどではないが、やはり大きい。この中には、キリンなど、現在の動物の骨格標本も混じっている。また、マンボウの標本も。これは長さ3.3mもあり、標本では世界最大だそうだ。重さは2.5トンあったそうで、愛嬌ある形と顔ではあるが、本物を海で見たらすごいだろうな・・・なんて思ってしまう。

アースモール、年代ごとの区切りはあるものの、細長い一続きの展示室である。もともと連続しているものだからこれが一番良い展示なのかもしれない。それにしても、これだけ長い展示室を作ったこと。これはこれですばらしいことと思う。

さて、ポケットミュージアムにも目を向けてみよう。ポケットミュージアムは、テーマを絞った、こじんまりとした展示なのだが、限定しているだけに内容も充実している。自然史展示では、”大絶滅”や”ほね”、”シーラカンス”などの展示があり、これも楽しめる。

1.2 エンパイラマ館

ここは、アースモールの中生代のところからちょっと脇に入るような感じとなっている。
ここに入るとき、入り口で音声ガイドを貰う。イヤホン式のラジオのような感じのものである。展示場所に応じて説明が流れてくる。いつでも最初から聞こえてくるのがありがたい。展示は、洞窟の奥みたいな感じ? まずは魚類のCGから始まる。そして、岩石、樹液と琥珀、と続いて恐竜の展示となる。イグアノドンの巣、続いて大型恐竜の動く模型のあるジオラマとなる。長い首のマメンチサウルス、大型の肉食恐竜など。鳴き声も大きく、小さな子供は怖がってしまうことだろう。
続いてリサーチゾーン。ここは恐竜の研究室、といった雰囲気である。こまごましたものが多いのでゆっくり見てみよう。いろい路と面白いものも展示されている。

1.3 生命の多様性館

ここは進化の過程を経た、現代のさまざまな生物の様子を標本などで見ることが出来る。
哺乳類や鳥類、魚類など、そして昆虫や植物などが展示されている。展示は剥製が多く、キリンなどもある。多くは動物園でも見られるものではあるが、剥製はまた違った意味での面白さもある。大きさの比較などがしやすいのもそのひとつだろうか? 動物でも大型のものや猛獣類は近くで見ることは難しいが、剥製ならばそれも可能である。ここでは、哺乳類ではキリンのほか、ライオンや狼、らくだなど。魚類では大型のウバザメもある。鳥類も豊富で、マナヅルやワシなども展示されてる。

1.4 自然発見館

自然史の最後として、現在の生物の観察、といった感じの展示になる。ジオラマによる展示が中心で、北九州を中心とした展示内容となっている。川や林、磯、そして洞窟。動物や植物を観察するように見ることが出来る。このほかには地質に関する展示もある。良くありそうな展示ではあるが、いろいろな場所を取り上げているので非常に面白い展示となっている。また、ここに至るまでに古生物の展示を見てきているからだろうか? 進化の過程を経ての現在の生物がある。これが実感できるような感じになっている。とてもよく工夫された展示だろ思う。
また、屋外にも自然観察園がある。自然の環境に近くなるような管理がされているそうだ。たぶん、野生の鳥なども入ってくるだろう。これも面白い展示のひとつだと思う。また、岩石の標本もあるので合わせてみてみよう。

自然史展示、分野を限っての展示、たとえば恐竜などに限定した館などでは、もっと充実したところもある。しかし、いろいろな展示を体系的に結び付けての展示はすばらしいと思う。規模も大きく、これだけの展示を大都市とはいえ、市立で作ってしまったことは驚いてしまう。内容から見ると、つい、国立科学博物館などと比較したくなってしまう。それだけ優れた展示に仕上がっていることだと思う。

2.歴史展示

自然史展示を見た後では、どうしても地味に思えてしまう。規模も小さいし・・・? ところが、自然史展示に比べると小さく感じてしまうが、ここも相当充実している。 史料で展示面積を見てみると、並みの博物館程度はある。おまけ的な展示では決してない。だけど・・・どうしても自然史展示と比べてしまい、小さく思えてしまう。とはいえ、中身は決して見劣りするものではない。順に紹介しよう。

入り口でまず目に付くのは弥生式の住宅。映像などと合わせて音声や照明などの変化で視覚的にも楽しめる。
続いての展示はごく一般的な歴史展示といえばいいのだろうか? 石器や土器から始まり、古墳の展示となる。ありふれた展示ではあるが、古墳の石室(模型)にも入ることができる。派手さはないものの、地元関連の品が多く、好感の持てる展示である。
が、つきの中世の展示。ここにはいきなり仁王像が。ふるいものではないが、源資料は鎌倉幕府の執権、北条氏が創建した寺のもの。勢いがあり、見事である。博物館に仁王像、それも複製を? でも、文化を知る上では有効な方法のひとつだと思う。寺院では、保護のためもあって、良く見ることは難しかったりするのだがら。このほかの大きな展示としては、遣明使の船の様子を、映像によって紹介している。
もっと紹介細かくすべきなのだが・・・。正直に言うと疲れ果ててしまい、あまり細かく覚えていない。
それでも、面白さを感じる展示のひとつは、昭和30年代の住宅の復元だろう。見ることが出来るのは、茶の間程度だが、それでも当時の暮らしが見えるように思う。この種の展示、最近は増えているようだけど、ここは北九州らしさが感じられて面白い。
 

さて・・・この博物館の感想であるが、正直なところ、”とんでもないものを作った・・・”という感じである。
自然史展示、比較するのは市立博物館ではなく、並みの県立博物館でもない。国立科学博物館とつい比較してしまう。展示面積は国立科学博物館の方がもちろん上であるが、自然史展示で見ると内容はかなり似ている。共通部分がかなりある。国立科学博物館の九州版? しかし、ここは市立なのである。 なのに、国立の博物館とつい比較したくなる。それだけ優れた博物館、ということである。
 

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