所在地     東京都文京区水道橋1−3−3
TEL     03-5840-2300
入場料     500円
休館日         月曜日
交通手段    地下鉄有楽町線、江戸川橋から徒歩8分、JR総武線飯田橋から13分、地下鉄丸の内線/南北線後楽園から徒歩10分
備考            

印刷、といえば本あるいはポスターなど、とても重要ではあるが、あまりにも当たり前すぎて意識することはほとんどないように思う。しかし、たとえば印刷の一番の成果であろう本がなければ知識を深めることは容易ではない。現在の文明を支える上でとても重要な役割を持っている、とさえいえるだろう。
ここは、印刷に関する博物館である。現在の印刷の他、版画や活字。また、写真製版、最新のスキャナによる絵画の印刷。製法が印刷の一種であるCDなどの電子媒体。印刷に関係する、広い範囲にわたって展示されている。中には、フォントなどの文字そのものに関する展示も含まれている。更に、機械や技術的なことだけでなく、古い書物や浮世絵なども展示されている。

さて、展示されている書物を見てみよう。江戸時代の物が中心であるが、医学のような専門書の他、旅行、食べ物、囲碁といった現代とそれほど変わらないようにも感じる。こうしてみると本が文化を支え、そして本を印刷が支えていることを改めて実感する。また、江戸時代といえば浮世絵。これは多色刷りの版画であり、いうまでなくもなく印刷の一種である。美人画や各地の風景など、浮世絵が江戸文化の中で重要な役割をもていたことは言うまでもなかろう。このころから印刷は生活に溶け込み始めていたことを再認識した。あまりにも身近な故、印刷の重要性を忘れてしまっていたこと、これを認識できること、これも重要だろう。

ここの博物館は非常に新しいこともあり、パソコンを展示の一部として有効に使っている。展示室にはガラスの展示ケースが並ぶ。これは普通の博物館と同じだが、その展示ケースの手前に液晶画面が組み込まれている。この画面、実はパソコンの画面であり、画面に触ることで情報を呼び出すことが出来る。そこでは、動画や音声も有効に使われている。これまでもパソコンを展示に使うことは珍しくなくなってきているが、どちらかといえば専用のコーナーを設けるような感じだった。しかし、展示ケースに組み込むととても効果的である。展示ケースにも最小限の説明はあるから、まずそれを見、そして更に知りたいと思う点を詳しく学ぶことが出来る。その際も展示品が目の前にあるから、理解しやすい。映像では分かりにくいところも実物を見比べればよく分かる。これは、お互いの利点を最大限に生かしているともいえる。

展示室の一角には印刷に使われた機器がある。これは、希望者が使って実際に印刷を体験することも出来る。もちろん自由に、ではなく時間と人数は限られるものの、これは面白そうだ。古い機械を使ったりするので力は必要かもしれないが、身をもって印刷の歴史を知ることが出来そうだ。

これからの印刷はどのようになるのだろうか?
紙の書物は減少し、電子情報がこれに代わり始めているようにも感じられる。しかし、これも印刷技術による書物等があっての上で成り立っていることだと思う。また、現状の電子媒体では、本や雑誌の手軽さには到底追いつかない。当分は印刷が重要な役割を担いつづけることだろう。また、そう願いたいのが本好きな私の正直な気持ちである。


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