馬坂

小立野台地の北東側、浅野川方向の崖にある。ここは、かって草刈などの馬が行き来したことから馬坂の名が付けられたという。六曲り坂ともいう。
途中、3回の折り返しのある細い道で、車は通れない。坂はかなり急である。坂の入り口も分かりにくく、この道を知っている人しか通らない、そんな雰囲気がある。それゆえ、とても落ち着いた坂道である。
しかし、明治12年頃は坂の両側に料理店などが並び、にぎやかであったという。客引きの声も盛んだったそうだ。今はもちろんその面影はなく、木々の茂みのみとなっている。しかし、そういわれてみれば、空き地的な場所もある。ここに店などがあったのだろうか? あるいは坂ノ下あたりの住宅地、ここが店だったのだろうか? そう思うだけでわくわくしてしまうが、その一方で何もない今の坂が寂しいようにも思えてしまう。坂の雰囲気、落ち着いた今の坂もとても良いのだが・・・。

町の中から坂を上り、中間くらいのところに馬坂不動がある。ここでは湧き水が流れ落ちている。私が行ったときは水量は少なく、ぽたり、ぽたり、といった程度でしかなかった。夏の暑い時期だったからだろうか。だけど、以前は多かったことと思う。おそらく、行き来する人や馬ののどを潤したことだろう。坂の中腹、丁度一休みしたくなるような場所である。

更にのぼり、折り返して進むと高源院の前に出る。ここの前にはお地蔵様がまつられている。その傍らにも石仏が。割れたりしていたんではいるものの、とてもよいお顔の像である。足を止め、お参りしたくなる。

馬坂、上りきったところの近くには、前田利家公の建立した宝円寺がある。

馬坂は、兼六園からも近い。だが、車の多い道から離れているため、非常に静かである。金沢の中心近くにこんな場所が・・・。そう思ってしまう坂である。何度も足を運びたくなる坂である。

馬の上り口。

このとき、数少ない利用者を見かけた。町のごく普通の曲がり角。ここから坂の落ち着いた雰囲気を想像することはできない。
坂の途中から。
坂は途中、3度折り返す。最初の折り返しから見下ろしたところ。町の眺めも良く、坂の雰囲気がなんともいえない。
馬坂不動
坂の中間あたり、2度目の折り返しあたりにある。
湧き水があり、以前はここを通る人や馬ののどを潤していたことと思う。
夏の時期に何度か行ったが、今は水はごくわずかであった。


馬坂不動から上を見る
高源院前のお地蔵様
上のお地蔵様右にある石仏。とてもいい雰囲気である。
雪の馬坂
この日の雪、それほど多くはなく、平地なら除雪も不要、と感じる量であったが、坂道は滑りやすいこともあり、近所の人が除雪してあった。
しかし、除雪も基本的には自分の家の前や隣家までのみ・・・除雪のない範囲もあった。
馬坂は階段も併用。こんなとき、滑りにくい階段は非常にありがたい。