牛坂横の、無名の坂


牛坂は崖を斜めに、非常に長い距離をかけて上る。このため、降り口と上り口は離れている。車ならばそれでもよいが、歩くとなると不便な場合もあるだろう。だから、ということだろうか? 牛坂の降り口から分かれる歩行者専用の坂が一つある。崖のやや緩いところを行くが、それでも何度も折り返し、蛇行しながら上る。見かけよりは歩く距離は長いかもしれないが、それでも牛坂を折り返すよりははるかに楽だろう。この坂、林の中を行く、街中らしさのない不思議な坂である。

この坂、ほぼ全て階段である。下はコンクリート。鉄の手すりもある。だが、この段、坂に無理に段をつけたようにも見える。もとは段のない坂の部分もあったのかもしれない。崖を、曲がりながら、林の中を抜けてゆく。見通しはあまりよくない。坂道がコンクリートでなかったら、どこかの山道のように思えてくることだろう。あるいは、森林公園の遊歩道か? そんな、ちょっと現実離れしたような道である。
しかし、坂の上も下も住宅地である。崖の急な一帯だけが取り残され、林や森のようになっている。これは鶴間坂なども同じではあるが、こちらの坂が林の中を抜ける狭い道だけに自然をより一層強く感じる。

この坂、人の歩いた気配はあまりない。写真撮影時の秋には落ち葉もあり、歩きにくいとはいえないが、滑りやすそうで、どうしても慎重になる。それでも、落ち葉には踏まれた跡があり、利用する人はいるようだ。私が訪れたときにも、偶然、利用する人が一人いた。

坂の上と下、どちらも宅地である。が、それほど人の行き来がある場所とも思えない。この坂、どのように使われているのか・・・。気になるところである

坂の降り口。

牛坂の降り口とほぼ同じ場所である。
鉄の階段から降りる。
坂全体は階段状になっている。
鉄の手すりももほぼ全体につけてある。
坂は何度も折り返すようになっている。
道幅は狭いが、街灯もつけてある。
ただ、夜はちょっと通りたくないような坂道である。
水気が多く、湿った感じがする。
人はあまり通らないようではあるが、きちんと作った道である。
坂野の上り口。
墓地の奥に上ってゆく。

この手前は住宅地となっている。


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