くらがり坂(笠舞)

くらがり坂というと、主計(かずえ)町の裏にある坂が有名である。
だけど、資料を見ていて”くらがり坂の洗い場”の記載があった。くらがり坂の清水(しょうず)の記載もある。場所は城南と笠舞本町の境目付近である。これは、湧き水であり、それを洗い場としてつかっていた、ということである。この付近は犀川の河岸段丘なので、不透水層などがあると湧き水として流れ出す。小立野台地や寺町台地の付近には湧き水は多数あり、坂の途中に、というのもすくなくない。

さて、湧き水の名前、”くらがり坂の”に引かれていってみた。
湧き水の近くには名前の通り、坂がひとつあった。丁度湧き水のところで折れ曲がり、更に2度曲がるように上ってゆく。意外なほど高低差があった。道幅は狭く、車の通行は可能であるが狭い。もっとも、坂の付近は狭い道ばかりなのでこれでよいのかもしれない。坂の横には石垣などがあり、雰囲気は良い。が、周囲は宅地化が進み、坂の脇には家が並んでいる。この坂が”くらがり坂”と呼ばれているのかどうかは確証がないが、湧き水の名前になっているのだからくらがり坂でよいのだろう。
湧き水であるが、最近は水量も減り、岩肌から細い筋となって流れ落ちる程度である。湧き水の周囲もブロックなどで固められてしまっている。洗い場らしく整備されてはいるのだが、水量が少ないため、水は澱んでしまっている。落ち葉も溜まったままで、忘れ去られてしまったような湧き水である。看板には”飲まないように”と書かれているものの、これでは誰も飲む気にはなれないだろう。風情はあったと思うので、ちょっと寂しい湧き水である。 

くらがり坂は、折れ曲がりながら下る、細い道である。
坂を下りたところにくらがり坂の洗い場(写真、左側)がある。
くらがり坂の洗い場。
水は洗い場の奥の岩から湧き出ている。
湧き水。

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