最近はプロジェクターも安くなってきたので使っている人も少なくないと思う。その際のスクリーン、これはいろいろと売られている。簡単なものは壁に固定するもの、天井から引き出して使用時に引き出して使うもの、移動式のものなど多数売られている。スクリーン、古くはOHPなどにも使われてきたし、スライドなどの映写機にも使われた。私もスライド映写機を持っていて、スクリーン代わりに発泡スチロールを紙で挟んだものを使っていた。
今回、簡易スクリーンを作ってみた。床置きの持ち運び可能なものである。少々武骨でやや大きくはなるが、1万円弱でまあまあのものを作ることが出来た。その製作記である。この記事を参考に製作される際は、簡易な用途向けであることをご理解頂き、また安定性可搬性などお使いの環境や状況により手直しすることをお願いしたい。
撮影の都合上、狭い廊下で行った。(背景に余計なものを写したくないもので・・・)
廊下いっぱいの大きさである。吊り下げの都合上、若干しわが寄っている。(対応策後述)
スクリーンが欲しいと思った理由、私が所属している同好会で夏に講師役となり、その際POWERPOINT(PCのプレゼンテーション用ソフト)を使いたかったから、である。ノートPCは持っているし、同好会の一人がプロジェクタを持っている。が、軽量のスクリーンがない。以前スライドを使った際は壁に映していた。これでもそんなには困らないけど、もうちょっとよいのがあるといいな、と思ってのことである。また、自宅にはスライドのプロジェクターがあるので、それにもあると便利、と思ったことも理由の一つである。
移動式のスクリーン、これは多数市販されている。会社には80/100インチの床置きのものがあり、これはケースを床においてスクリーンを上へ引っ張りあげるものである。他にはケースを立てて横に引き出すものもある。こういうものを買えばよいのだが、残念ながら結構高い。使用頻度を考えると年に何回も使わないのに5万円、あるいはそれ以上出すのはもったいない。
スクリーンといえば、”ロールスクリーン”なるものがある。これはカーテン代わりに引き降ろして使うものである。ホームセンターや家具店に既製品、オーダーメイドなどいろいろあり、無地で白っぽいものもある。これを簡易スクリーンに活用しようと思った。実は、ロールスクリーンには”映写機用”の布もある。ただ、オーダー扱いで高く、幅180cm程度になると4万円以上らしい。これがより望ましいと思うが、簡易用途なので1万円以下で売られているものを使って作ることにした。良くあるものは白ではなくて若干色があるが、Webで見ると結構使っている人が多い。多少色があっても単独で使う分にはほとんど気にならないそうだ。でもなるべく白に近いものを、と思って探していると遮光のものを見つけた、遮光、昼に使うなら裏の光の影響が少ないし、窓を塞げば部屋全体を暗くするにも役立つ。そして、見つけたものは裏が真っ白なのである。表が薄いベージュで裏がほぼ白。これなら裏を使えば丁度良い。値段も安かった。
ロールスクリーン、もともと天井や壁に固定して使うものである。移動式として使うには工夫が要る。床に置いて使うので安定を考えなくてはならない。簡単には、ロールスクリーンに直角に板をつけて足にして、引き出したスクリーンを垂直に立てるように固定できれば良い。スクリーンの上での固定、会社にある市販品はパンタグラフ状になっていて、ばねとダンパーで軽く上下でき、どこでも止められる。便利だけどこんなにはとても作れない。だけど、要はスクリーンの端を上で固定できればよいだけのことである。ポールを別に立てれば良いのだからカメラの三脚を使うか、とも思ったが少々重いのと開いた脚が邪魔になりそうで止めた。アルミのポールを、スクリーンの脚を使って真ん中に1本立てるなら小工作で済みそうな気がする。
まず決めなくてはならないの大きさである。ロールスクリーン、既製品では最大で180cm幅のものがある。家庭で、移動用ならこの位が最大だろう。布は176cmなので最大限に使うと、3:4で約85インチ、10:16で約80インチになる。100インチ以上となると魅力的だけど1.8mを超えると持ち運びに苦労しそうだ。
結果としては意外と簡単にできた。工作も多少の手直し含め3時間少々だったと思う。価格はスクリーンが約4000円。支えなどの部品がやはり4000-5000円ほど。あまり使わない工具もいるので追加購入するとしても、電動ドリルと家庭でよく使う工具類が揃っていれば合計で1万円少々だと思う。約80インチのスクリーンが1万円。色が少々ついているとしても十分手ごろだと思う。
作り方である。残念ながら図面はない。私の場合、現物合わせ的に作ることが多いので、スケッチのみで作ることが多い。もっとも、今回は市販の部材に合わせる必要があり、これはホームセンターによって違うこともあるから、構造だけ頭に入れて柔軟に作ればよいと思う。工作好きの人なら写真を見ただけで同じようなものが作れるだろう。
構造であるが、一言で言うと、ロールクリーンと直角に30cmの安定用の脚をつけ、それにポール固定用の直径12mmのネジをつけた長さ1mの2cm角アルミ材をスクリーンと平行になるようにネジ止めする。そのボルトにポール(直径15mmのアルミパイプ)を差込んて立て、その先端にスクリーンをぶら下げる構造である。
作成手順、書いてみると次のようになる。
@ ポール固定用アルミの作成
2cm角のアルミ材の中央に、ポール固定用ボルトをつけるための直径12mmの穴を貫通させる。このサイズの金属加工用ドリル、家庭ではまず使わないだろう。非常に高価だし、そもそもドリルに入るかどうかも定かではない。私は手持ちで最大の8.5mmのドリルで穴を開け、リーマで広げた。リーマは便利なので一つあると良いと思う。ただ、これだけ大きく広げるとなるときれいな円形にならないこともある。私はドリルにつけた砥石で修正したけど、いびつなままでもよいと思う。
次は左右に脚に固定するための穴を開ける。私は4mmの小穴2つずつ開けた。これは脚の金具に合わせて大きなネジ一つでも良いと思う。
加工後、ヤスリがけをする。穴の部分にはバリがあるし、角が鋭いので手やスクリーンを傷つけないように丸めておく。

組み立て前の状態。
スクリーン(写真中央の白いもの)すぐ左のアルミがポール固定用のアルミ。中央の黒いものがポール固定用のボルト。
A 脚の作成
脚は幅2.5cm位、長さ30cmの穴あきの板を使った。鉄製で厚みもあり、しっかりしたものである。もともとは何かの固定用なのだと思う。ホームセンターで良く見るものである。8mm位の大穴と周囲に4mmの小穴が並ぶ。この小穴を使って両端にゴム脚をつけ、ロールスクリーン固定用の金具、2cm角アルミ材を固定する。ここは完全に実物合わせである。スクリーンはほぼ中央で良いだろう。
この脚、最初は長さ20cmのものを使ったが安定が足りず、倒れてしまった。30cmあれば安定はまあまあである。

脚の写真。
両端下にゴム足がある。スクリーンは中央とちょっと離れているが、前に倒れやすいので、中央にした方がより良いと思う。
B ポール作成
ポールは、15mmアルミパイプを必要な長さ(私は165cmとした)に切って先端にスクリーン固定用の金具をつけるだけである。パイプの切断はホームセンターに依頼しても良いと思う。私の良く行く店では50円でカットしてくれる。切断後、ヤスリでの角を丸めておく。
私は当初長さの変更も考えて着け外ししやすいように、角材側と同様に12mmのボルトを差込み、ボルトにスクリーンを引っ掛けるための板を固定した。元の穴は10mm用なのでこれもリーマで広げた。付け外しを考えないなら固定にしてしまっても良いと思うL型の金具をネジ止めでよいと思う。
館具へのスクリーンの固定は、これは引っ張り用の球をフックで引っ掛けるシンプルなものにした。

ポール先端部分。
固定部分同様、12mmのボルトの先端に付けた固定用の金具を差し込んだだけである。
S字のフックでスクリーンを固定する。
C 組み立て
2cm角アルミ材にポール固定用ボルトをつけ、脚に固定する。正確に直角にしなくてはならないのだが、実は穴を広めにさえすればボルトを締めると自然と直角になってくれる。穴を広めにするのは、穴がずれていると直角にならないからである。
次に2cm角アルミを脚に付け、ロールスクリーンを金具を使って脚に固定する。
12mmのボルトには熱収縮パイプを被せた。アルミパイプの内径が約13mmで、ネジが12mm弱なのでこのままでは少々ガタがある。直径15mmの熱収縮パイプを被せ、加熱すると縮んでほぼぴったりとなった。収縮、ドライヤーは少々力不足で、コンロであぶるようにして加熱した。
このチューブのおかげで、ネジがむき出しにならないからスクリーンなどに傷が付きにくくなる効果もあると思う。

ポールを立てたところ。ボルトに差し込むだけである。

ボルトには熱収縮パイプをかぶせた。
○使用法
床に置き、スクリーンを引き出してポール先端のフックにかけるだけである。引き込み状態ではポールに負担がかかると思い、ストップがかかった状態で掛けた。ストップ位置がポールの長さと合わないからスクリーン下端が弛んでいるけどここは映写には使わない部分なので支障はない。

スクリーンの引き下げ用のボールをフックに引っかけて固定する。

下の部分は弛んでいるけれど、支障はない。
○ちょっとした問題点
スクリーン、若干しわが寄ってしまう。これは、スクリーン下端のポールの強度が足りず、支えきれないからである。元々の用途と違うのだから仕方ないだろう。大したしわではないのでそのまま使っても良いと思う。糸を足して2箇所で支えれば、しわはだいたい取れる。

中央からではなく、2か所でぶら下げるように金具をつけた。適当なひもがまだ用意中である。
この位置でぶら下げればしわは寄らない。
○部材について
・ポールの直径
スクリーン支えに使うポール、私は15mmのアルミパイプを使った。内径13mmなので固定用には12mmのボルトを使う。
パイプ、ホームセンターによっては揃えているサイズが異なる。別の店では13mmがあり、内径は約11mmになる。10mmのボルトが固定用に使える。これでも足りるかな、思う。入手しやすいものを使えばよいと思う。
・12mmのボルト
一番入手しにくかったのがこれである。
アルミ材と組み合わせるため、鉄にメッキしたものではメッキが剥げやすいのでステンレスにしたかった。しかし、ステンレスのボルトが近所の店数個所回ったけどなかった。長さだけなら10-15cmのものはあるのだけどネジは先端しか切ってない。これでは2cm角アルミ材に固定できない。
幸い、M12は25cm位のステンレス長ネジがあったのでこれを半分に切ってもらった。ボルトの頭部分がないのでナットで挟むようにして使う。ステンレスのカットは非常に面倒なのでホームセンターで切ってもらった。手作業の金ノコではとても切れないだろう。ホームセンターの人、”本当はボルトは(カットの)サービス対象外だけど・・・”といいながらも快く切ってもらえた。(感謝) ネジを切断するとネジ山がつぶれたりすることもあるけど、何の問題もなく使えた。このサイズのステンレスネジ、入手が無理なら、鉄でも良いと思う。
○失敗談、おまけ
2cm角アルミ材を脚に固定するとき、ネジを閉めすぎて角材が変形してしまっていた。角材、曲げには強いがネジを締めるような方向には意外と弱かった。これは大き目のワッシャを挟むと良いと思う。
ポールを立てるための長ネジを固定するとき、床などを傷めないように先端の丸い袋ナットを買った。が、厚みがありすぎてゴム足より大きく飛び出してしまった。これでは安定しない。結局普通のナットにしたが、高価なナットが一つ不要に。M12なんてほかに使い道もない・・・
M12という、家庭の日常作業ではまず使わない大きな六角ボルトを締める必要がある。このサイズ用のスパナを用意している家はほとんどないだろう。車用などにスパナのセットを買った人はいると思うが、今回は両側から締めるので2本要る。スパナは数百円からあるのでこの機会に買い足しても良いと思う。でも、次ぎ使うことはないと思うので、家庭ではモンキースパナも良いと思う。しかし、これも2本要る。
モンキースパナはボルトなどを痛めやすいのできればしっかりしたものが良い。しっかりしたもの、とは高価なもの、となる。手持ちのものはまあまあのものだけど1本のみ。2本目が必要になることはなかった。今まで必要に応じて工具を買い足していたけど2本目のモンキースパナがない、というのは要らなかった、となる。スパナ/レンチは、M2-M6用はよく使うのでそれぞれ2本以上用意しているけどM6用を超えるサイズが必要になることは滅多にない。
今回、必要だから買うけれど、ホームセンターでも、2000円3000円が通常買うものの目安になる。でも、買ったのは約400円のもの。数回締めるだけしか使わないと思い、これにした。約400円のモンキースパナ、全体は鋳物だけど持ち手、ものずごく雑な作りだった。
○必要工具
・ドライバ、スパナ 各種
・電動ドリル
・ドリル刃 金属加工用で、私の作例では4mmと12mm(リーマで広げるなら少々細いものでも可)
・リーマ(細い穴の拡張用。ぴったりのドリルがあれば不要)
・ドリル先端につける砥石。(細い穴の拡張用にあれば便利。ぴったりのドリルがあれば不要)
・ヤスリ
・金切鋸
○材料
・ロールスクリーン
・ロールスクリーン固定用脚 *2
幅3cm、長さ30cm位の穴開きの金具。強度が必要
・2cm角1mのアルミ角材
・角材と脚を固定するネジ。M4 30mmを使用。(25mmでは短かった) ステンレスが望ましい。
・ゴム脚 *4
・ゴム脚固定用ネジ、ナットなど。作例ではM4皿ネジを使用。ステンレスが望ましい。
・M12、長さ12cm程度のボルト+ナット、ワッシャ、スプリングワッシャ ステンレスが望ましい。
・スクリーン固定の金具と脚を固定するネジ。M4、10mm程度。
・スクリーンを引っ掛けるための板とフックなど。
ここは作例にこだわらず工夫してみてください。