VI.鳥族
1)霊鳥
鳥の姿ではあるが、神々の乗り物であったり、聖なる力が実体化したものなど、象徴的な意味合いの強い存在である。それだけに神聖度は極めて高く、また神々のメッセンジャーとして活躍するエピソードも多い。その姿は神々しく、人の畏敬の対象でもある。
ガルーダ 《Garuda》 出身地:インド
インド神話の鳥族の王。鳥の頭と翼、爪を持ち、黄金に輝く体は伸縮自在である。翼はオーラの炎のように紅く、顔は涼しく白い。誰よりも速く飛翔し、力は神々をも凌駕する。産まれたばかりのガルーダはあまりにまばゆく輝いていたので、火神アグニと間違えられて神々までもが礼拝したという。
ガルーダの母はつまらない賭けでナーガ族の奴隷になっていた。ナーガ族は不死の霊薬アムリタを天界から奪ってくることと引き換えに母を解放することを約束する。ガルーダはその強さで天界の番人を次々となぎ倒し、霊薬を手に入れるが、その帰路でヴィシュヌと対峙する。しかし両者の力は互角で勝負はつかなかった。ヴィシュヌはガルーダの強さに感銘を受け、彼に不死の体と、ヴィシュヌよりも高い地位を与えるのと引き換えに自分の乗り物になることを約束させる。さらにその後ガルーダはインドラと対決するが、その戦いでガルーダの礼儀正しい態度に感心したインドラもガルーダと友好関係を結ぶ。その後、ガルーダはインドラを背後に忍ばせてナーガ族の前に降り立ち、彼らに霊薬を示す。母を解放したガルーダは、霊薬を飲む前に沐浴をして身を清めよとナーガに勧める。ナーガが沐浴をしているすきに、インドラが霊薬を奪い去った。ナーガは霊薬が数滴かかった草をなめ続け、舌先が2つに割れたが、結局不死の体を得たという。ガルーダはこの後、神々にナーガを彼の常食とするように願い出て、これを受け入れられた。「呑む(グル)」を語源に持つこの神は、こうして「悪=蛇」を貪り食う者となったのだ。
今では、ガルーダは蛇を食べる聖なる鳥として民間に広く信仰されている。
朱雀 《Suzaku》 出身地:中国
中国の四方を守護する聖獣で、南を守護する。5色の音色で鳴き、身体が5色に彩られた鶉(うずら)に似た怪鳥の姿をしている。五行による分類によれば、火の属性を持ち、季節では夏を、色の中では赤を表している。梧桐の木だけに住み、甘露を飲み、竹の実だけを食べると言われており、竹が実をつける60年に1度は人の前に姿を現すという。姿を現した時は一般に瑞兆とされ、世が乱れている時には現れることがない。
朱雀は鳳凰とよく似た性質を持っており、しばしば混同されることもある。
八咫烏 《Yata garasu》 出身地:日本
賀茂建角身命(かものたけつぬみのみこと)が天照大神の命を受けて化身した鳥。3本足で、一説には赤い体と言われる。
武人として名高かった賀茂建角身命は、神武天皇の東征の折に大群を率いてこれに参加していた。戦局が厳しくなったので東征軍は熊野の山中に迂回しようとしたが、山の中で迷ってしまい進退窮まっていたところを、鳥に化身した賀茂建角身命が先導して大和の吉野川へ導き、勝利をもたらしたのである。
この鳥を資格なしに直視してしまうと気がふれるという。
ヴィゾフニル 《Vizohunir》 出身地:北欧
北欧神話の世界樹イグドラシルの頂きに住む、「木の蛇」という名をもつ雄鶏。自ら光輝いて枝々を照らすという。イグドラシルの根元で根を食い荒らす大蛇ニーズホッグと対立している。
フェニックス 《Phoenix》 出身地:エジプト
常に世界に1羽しか存在しない不死鳥。その生き血を飲むと不死になれるという。成鳥は鷲に似た姿をしており、薔薇色の飾りが付いた美しい青色の尾を持ち、全体が紫色で一部が赤く、首の周りは金色に輝いた姿をしている。
芳ばしい香を食べて500年生き、寿命になると、香りのよい小枝を集めて木の上に巣を作り、その上に横たわって一度死ぬ。するとその死骸から雛が現れて、新しいフェニックスとして再生するのである。
フェニックスは500年という長い寿命の中で、エジプトのヘリオポリスに親鳥を弔いに行く時に、一度だけ人の前に姿を現す。そのフェニックスの神々しく美しい姿を見た鳥が数多く付き従い、長大な鳥の行列ができる。この行列を見た者には幸運がもたらされるという。
サンダーバード 《Thunder Bird》 出身地:北アメリカ
北アメリカ先住民族の神話に登場する、鷲に似た巨大な鳥。空の高みに棲み、鳴き声や羽ばたきは雷になり、眼から発する光は稲光になるという。
湖全体を背に乗せて運んだとも、鯨を丸ごと食べてしまったなどという逸話が残っている。
ジャターユ 《Jateryu》 出身地:インド
ガルーダの子とされる禿鷹。
ラーヴァナがラーマの妻シーターをさらうところを目撃したのがジャターユで、彼はシーターを助けるため勇敢に立ち向かっていく。しかし、強大なラーヴァナの力には及ばず打ちのめされてしまう。瀕死のジャターユは最後の力を振り絞ってラーマに事件を知らせ、息を引き取った。
鳳凰 《Houoh》 出身地:中国
中国に住む神鳥。中国の最高神天帝の使いとされている。
首の長い優美な鳥で、全長は2m程度。5色の羽根で身を包み、体に仁、義、礼、徳、信の5文字が刻まれている。竹の実を食し、美しい声で鳴くという。
ハンサ 《Hamsa》 出身地:インド
アートマンを象徴する神聖な鳥。ヒンドゥー神話では、神々と人間の父である創造神ブラフマンの乗り物。ブラフマンの乗り物は他に白鳥、孔雀がいる。
中央アジアに生息するガチョウのことを指していたともいわれる。
スパルナ 《Sparna》 出身地:インド
名は「美しい翼を持つ者」という意味。中国では金翅鳥(きんしちょう)と呼ばれる瑞鳥で、鳥の王である。
その立派な翼を羽ばたかせると近くにいる者は目を開けていることもできないほどの強い風を起こすことができる。体の大きさを変えることもできるので、より強い風を起こすことも、小さくなってどこにでも入り込むこともできる。
ガルーダの別格とも言われ、かなり混同された伝承も伝わるが、ルーツは別のようである。
2)妖鳥
様々な姿の者がいるが、皆人々の魂を誘惑し、気に入った者をさらっていく。危険な風の魔であるが、本来は魂の運び手でもある。外見的には女性の姿をしたものが多く、それが相手を魅了させる最大のポイントである。うかつに引っ掛かると痛い目に会う。
モーリアン 《Morrigain》 出身地:アイルランド
ケルト神話の戦いの3女神のひとり。グレイを象徴しており、グレイの膝までの長い髪、鎧、マントを着込み、手には2本の槍をそれぞれに持っている。背が高く、美しい容姿で、青白い肌をしている。「大いなる女王」という意味の名より、バイブ・カハの王として知られている。
魔王バロールとの戦いに生き残り、後の伝承でも魔女としていかんなくその力を発揮している。また、自分の手に入らなかったク・ホリンに、死の呪いをかけた者として有名。さらに他の伝説では、アーサー王の姉、魔女モーガンとしても登場する。
マッハ 《Mach》 出身地:アイルランド
モーリアンのグレイに対して、血の赤を象徴し、赤い髪、まつげを持ち、真紅の服、マントをまとっている。1本足の赤い馬に乗り、戦場においては殺戮を好み、それに酔いしれるという。死の使いとして、モーリアンの老婆の相とも言われる。また、豊饒の女神とも言われ、様々な伝説が彼女の中で収合されたとも言われる。
邪眼の魔王バロールとの戦いで夫や一族の破滅を幻視したため、心臓が張り裂けて死んでしまった。しかし、後の伝説にもしばしば登場する。
ネヴァン 《Neamhain》 出身地:アイルランド
「毒のある女」「戦の狂乱の女神」と呼ばれる。戦闘中に戦士たちの頭を混乱させ、同士討ちをさせる。
邪眼の魔王バロールとの戦いで、夫のヌァザ神と共に命を失っている。
ルフ 《Rokh》 出身地:アラビア
脚で象がつかめるほど巨大な鳥。『アラビアン・ナイト』ではロック鳥《Roc》として知られる。ペルシア神話の不死鳥シヌルクと同系と言われる。
一般にはマダガスカルで見つかったエピオルニス(体長3メートル、体重430キロ)ではないかと言われている。
大鵬 《Taihou》 出身地:中国
中国の思想書にも描かれている想像上の大鳥。ひと飛びで9万里(約36万キロメートル)という想像を絶する飛行能力を有する。
荘子の『消揺遊篇』に登場した。その後、『西遊記』『封神演義』といった小説にも登場する。
タンガタ・マヌ 《Tangata manu》 出身地:イースター島
イースター島において崇拝された鳥人。部族の長となった者には、「タンガタ・マヌ(鳥人)」の称号が与えられた。
ホラワカ 《Holawaka》 出身地:エチオピア
人間が不死であることを告げるために、神が遣わした鳥。しかしそれは失敗し、脱皮で若返る能力は蛇のものとなった。
セイレーン 《Seirenes》 出身地:ギリシア
ギリシャ神話に登場する海の魔女。サイレンとも呼ばれる。
上半身は美しい女性、下半身は鋭い爪を持つ鳥の姿をしており、美しい声で歌う。この歌を聞いた船乗りたちは我を忘れて歌声のする方角に船を進めてしまう。その先に待ち受けている運命は、転覆か座礁のいずれしかない。
バイブ・カハ 《Bibe Couha》 出身地:アイルランド・ウェールズ
ケルト神話のモーリアン、マッハを加えて戦いの3女神のひとりとされる。バイブ・カハとは「戦場の鳥」という意味で、戦場に現れ士気を煽り、残虐な戦いを行わせる。軍神ではあるが、戦死した者の首を食べたり、死ぬ運命の者の名を告げたりするので、不吉な死神に近い。
カラドリウス 《Caladrius》 出身地:不明
病人を診断し、たちどころに治療してくれる鳥。しかし手遅れと診断した病人には、無関心に背を向ける。どんな種類の鳥なのかは、はっきりしていない。
姑獲鳥 《Kokakutyo》 出身地:中国
人間の少女好んでさらってきて養女にするといい、姑獲鳥に育てられた少女は姑獲鳥になるという。
羽毛を脱いで人間の女の姿に変身することができ、その時の姿を天帝少女と呼ぶ。
たくひ 《Takuhi》 出身地:中国
中国の次之山に棲む益鳥。人の顔に足が1本でフクロウに似た姿をしており、その羽を持つものは、雷を避けられるという。
ハーピー 《Harpuiai》 出身地:ギリシア
ギリシャ神話に登場する半人半鳥の怪物。ハルピュイアイとも呼ぶ。ギリシア語で「掠め取る者」「むしり取る者」を意味する。嵐や旋律の悪魔とされた。
首が女性で、長い爪があり、青白い顔をしているものや、顔と上半身が女性で下半身が鳥の姿、背中に翼を持っているものなどがある。大抵は老婆のような顔を持つ姿で、食欲が旺盛であり、食糧を見ると意地汚くむさぼり食う上、食い散らかした残飯や残った食器の上に汚物を撒き散らかして去って行くという、この上なく不潔で下品な怪物として描かれる。
しかし、アエロー《Aello》(「嵐」「疾風」の意味を持つ。3姉妹の長女でハーピー女王)、ケライノー《Kelaino》(「真黒な嵐の雲」と呼ばれる。海神ポセイドンと結婚し、後にふたりの子供、カイラス、ゼテスを産む)、オキュペテー《Okypete》(「速く飛ぶ者」と呼ばれる)の3姉妹は、大抵美しく描かれている。
冥府の王ハデスの遣いとして、死ぬのを拒んだ者を連れてくるのが彼女らの役目である。元来はクレタ島ののディクテ山の死の女神で、風の神格化とされている。クレタ島の巫女たちは、鳥のような衣装に胸のはだけた格好で葬儀の儀式を執り行った。
山地乳 《Yamachichi》 出身地:日本
年を経たコウモリがなる野衾が、さらに年を経るとなる妖怪。寝所に忍び寄って睡眠中の人間の寝息を吸うといい、その場面を誰かが見ていれば長寿、見ていなければ翌日死んでしまうという。
ベンヌ 《Bennu》 出身地:エジプト
エジプトの青鷺の頭を持つ聖なる鳥。オシリスの心臓から飛び出した。黄金に輝く太陽の使者、又は化身と言われる。特に日の出の太陽を表す。
ギリシア人は赤と黄金の翼を持つ鷺と見て、フェニックスと同一視した。
バー 《Va》 出身地:エジプト
死んだ人間の魂がなるという鳥。人間の頭と鳥の身体をもち、冥界へと飛んで行く。霊魂の不滅性の象徴。
古代エジプトでは、星は墓地の灯火に照らされたバーとされた。
3)凶鳥
彼ら自身、人の心を貪欲に食らう悪魔たちだが、吉兆に対する凶兆、つまり悪い兆しを運んでくるメッセンジャーでもある。彼らの姿を見た者は身の回りに注意しなくてはいけない。身に降りかかる思いがけない不運は、彼らが運んでくるのだから。
フレスベルグ 《Hresvelgr》 出身地:北欧
北欧神話に登場する「死者を飲み込む者」と呼ばれる巨大な鷲。巨人族の末裔で、世界樹イグドラシルのこずえからいつも下界を見下ろしている。そのため多くの出来事を知っているという。
イグドラシルに送られてくる死者の魂をついばむのを好むが、同じ穴のムジナの邪龍ニーズホッグとは大変仲が悪く、死者の配分を巡っていつも喧嘩ばかりしている。ラグナロクでは参戦することなく、次々と送られてくる死者の魂をニーズホッグと奪い合い、ただただ喰い尽くすという。
火烏 《Caw》 出身地:中国
中国では古くから太陽の中にカラスが棲むとされ、それが火烏と呼ばれていた。八咫烏と同じように、足が3本あるという。一説には、その背に太陽を乗せて運ぶとも言われる。干ばつの神であり、太陽の象徴。最初は数匹いたが、暑すぎて作物が育たないため、英雄に撃ち落とされて1匹になったという。
グルル 《Gurr》 出身地:スリランカ
スリランカの鷲の悪魔。人間の顔を持つ鳥の姿で現れる。グルル・ラクシャと呼ばれ、ラクサーシャの一種とされたが、これはインドの霊鳥ガルーダの変形である。
スリランカはインドにとって悪鬼ラクサーシャの棲む島とされた。しかし、スリランカではインド(南部)にこそラクサーシャの棲む世界があると考えたのだ。よって、ヒンドゥの神々は、仏教を信仰するシンハラ族の人々にとっては、それこそ悪鬼羅刹と映ったのである。
アンズー 《Anzu》 出身地:ペルシア
獅子の頭を持った、嵐を呼ぶ、メソポタミア、シュメールの怪鳥。ズーともいう。人間よりも一回り大きく、高い山や木に好んで巣を作る。
アンズーは元々神殿などを守護していた霊鳥であった。しかし神々の王になりたいという欲望から、シュメールの大地と大気を司る主神エンリルより『トゥプシマティ』という書板を奪い、そのまま王権を確立させようとした。この粘土板には天の法が書かれており、これを手にした者は万物を支配できる呪文を唱えることができ、真の世界の支配者になれるのだ。アンズーを恐れた神々は、ニンギルスという狩猟と戦争の神に命運を託す。ニンギルスは苦戦したが、四方からの風の攻撃によって助けられた。アンズーはその風に翼を折られ、地に落ちたところで捕まってしまう。アンズーは『トゥプシマティ』を奪い返されたあげく、そのままニンギルスの神殿の守護獣にさせられたのだった。
カマソッソ 《Kamasosso》 出身地:メキシコ
マヤ神話。地下世界シバルバに棲むという悪しきコウモリ。死神たちにけしかけられて英雄神フンアフプの首をはねた。
鴆 《Chin》 出身地:中国
鷲ぐらいの大きさで、紫がかった緑の翼を持ち、その体には毒を持つという怪鳥。首が異様に長く、クチバシは赤い色をしている。その羽を酒に浸せば、致死性の毒酒ができるという。チンはマムシなどの蛇の頭を好んで食べるといい、このために前進に毒をもつようになったのだと言われる。
雄と雌ではそれぞれ別の呼び名があり、雄は雲日(うんじつ)、雌は陰諧(いんかい)という。
スチュパリデス 《Stymphalian》 出身地:ギリシア
先端が青銅でできた翼を広げて人々を襲う、スチュパリデス湖に棲んでいた怪鳥。爪やくちばしも青銅でできていたという。ヘラクレスは女神アテナに授かったシンバルを使って空へ追い込み、ヒドラの毒をぬった矢で次々と撃ち落とした。ヘラクレス12の試練の6つめ。
以津真天 《Itumade》 出身地:日本
餓死した人間が、その断末魔の苦しみゆえに変化したもの。疫病が流行した年に現れ、死体の処理を急がせるように「イツマデ」と鳴き叫ぶ。頭は人面。
フリアイ 《Furiae》 出身地:ギリシア
地獄に棲むハーピーの呼び名。ローマ神話ではフリアイ、ギリシア神話ではエリュニスと呼ばれる。フリアイは3人いるとされ、それぞれ、アレクト「無慈悲」、ティシポーネ「血の復讐者」、メガイラ「闘争」の名を持つ。
彼女たちは復讐を司る女神であり、真鍮の翼と爪を使い、神々の怒りに触れた者たちを苦しめる。フリアイは罪人たちを殺すことはなかったが、責めの手を休めることもなかった。人々は彼女らに畏敬の念を込め、エウメニデス「情け深い者たち」と呼び、決してフリアイとはいわなかった。それが彼女らが決して殺しはしないことによるものか、死して地獄に落ちた時に不興を買わないためかは定かではない。
モー・ショボー 《Mo Shobow》 出身地:モンゴル
「悪しき鳥」の意。愛を知らずに死亡した少女の霊が、その死を納得できないために姿を変えて化けたもの。長い髪と赤い唇をもつ美しい娘に化けて、旅人を誘惑する。
不奎 《Hukei》 出身地:中国
人間の頭を持つ雄鶏。この鳥が現れると戦争が起こるという。
ひっぽう 《Hippoh》 出身地:中国
崑崙より遥か西方の山中に棲む、鶴に似た1本脚の鳥。青い体に赤い模様がある。火災をもたらすものとして恐れられている。
陰魔羅鬼 《Onmoraki》 出身地:日本
新しく寺におさめられた屍の気が変じて成るとされる、鳥の姿をした妖怪。墓に入った後に十分な供養を受けなかった者から発生するとされ、供養を求めてか、経文を怠っている寺の僧の前によく現れたという。
鶴にも鷺にもにた鳥の姿をしており、全身が黒く、灯火のように光る眼をしていて、羽を震わせては人間に似た声で鳴くという。
チョンチョン 《Chon Chon》 出身地:アメリカ
頭部の異常に大きな耳を翼にして飛ぶ異様な化物。名前の由来はその鳴き声による。強い魔力を使い、人々を惑わすという。もともと悪質な呪術師が死んで悪霊になったものと言われる。
月の出ていない暗闇を最も好み、そんな暗闇を歩く人間に襲いかかるのである。チョンチョンの餌食になった死体には首から上が見当たらない。そのなくなった頭は新たなチョンチョンと化し、その夜の内に闇の世界の住人となるのだ。
また中国には飛頭蛮と呼ばれる、これによく似た化物が存在する。彼らは普段人間として生活しているが、夜になると首がねじ切れ、それが奇声を発しながら空を飛び回るという。
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