何千年の歴史の中にあって、内丹の源は古くその流れは長い。門派は多く、見解もさまざまで、実践の仕方も同じというわけではない。それは 清修・双修、男丹・女丹、および南宗・北宗・東派・西派などのさまざまな煉養の系統を内に含む雑多な体系を形成した。しかし、道教特有の修練 の系統として、内丹の位置や特徴は相対的に安定し独立していた。
まず第一に、内丹は静功を特徴とし人体の生命を内側から鍛練する実践体系である。歴史的には、それは道教に特有の仙道の煉養方法として現 れ伝わっていった。現代社会の中では、それは理論と修練方法の完備したちゃんとした伝統の気功体系の一つとしてその独特な価値を表現してい る。
第二に、煉養思想の方面では、内丹は道教の神仙信仰を核心とし、それに儒家の倫理学説や、とりわけ仏教の禅宗の心性学説と禅定の理論およ び方法を融合した整った信仰体系であり思想体系である。内丹のこの性質は、そり単純な養生術や導引吐納の方法との歴史文化の構造的な違いを決 定づけている。
第三に、内丹の清修・双修・男丹・女丹のすべてが人体内部の性エネルギーを基本的な修練物質や生理的な基盤としている。このことから人体 の生殖に関連する部分と性生理の潜在エネルギーが内丹の開発する部分と対象であることが断定できる。これは内丹の源流が、一般の吐納導引術や 古代に特有の性修練術だけではなく、房中術と言われているものにもあることを反映している。なおかつ内丹の理論・技術操作は常に房中術と密接 に関係しながら発展したと断定できる。
第四に、性エネルギー以外に内丹が開発する領域は人間の無意識に関する部分の潜在エネルギーである。これはほかの中国固有の養生術や修練 法も備えていないものである。「性命双修」・「真性」・「元神」などの理論は、フロイト、ユングなどの西方の心理分析学家の理論とも合致し、 ユングなどの著名な学者はこれを肯定し重視した。「性命双修」は、実質的には人体の性の潜在エネルギーと心理的な潜在エネルギーを開発するこ とである。
第五に、基本となる煉養理論について内丹には二つの特徴がある。一つは、古代の陰陽・五行・八卦などの符号を吸収・活用し、それに外丹錬 成の術語も借用して完全に整った緻密な理論体系を形成したことである。もう一つは、全面的に中国伝統医学および生命科学理論を継承して発展さ せ、精気神論・臓腑理論・経絡学説などを基礎とする生命煉養学説と実践方法を体系化したことである。
第六に、煉養の実践と手立てとなる技術について、内丹は大・小周天の行気法をその基本的な実践とし、炉鼎・薬物・火候などの三大煉養要素 を重視し、煉己築基・煉精化炁・煉炁化神・煉神還虚などの4つの段階と成果を煉養の基本的な手順としている。
第七に、経典については、道教の内丹が歴史上で書き残してきた丹経は、数百や数千にとどまらないが、従来から内丹家は東漢の魏伯陽の著し た《周易参同契》を一般に「万古丹経王」と公認し、《周易参同契》と北宋の張伯端が著した《悟真篇》を内丹の二大聖典として尊ぶ。
第八に、目標とするものについて、内丹は性命双修・神形合一、即身・心の二つの系統の完備と統一を追求する。その最終的な価値と最高の目 的としては、歴史上の内丹家たちはいわゆる「形解」・「還虚」・「陽神出頂」・「身外有身」・「長生不死」などの宗教的な境地や目標だけを追 求した。このために、内丹は道教、とりわけ中・晩期の道教の最も主要な信仰と宗教的な実践方法となった。
以上の各点が、道教の内丹の基本的な特徴であると言うことができる。歴史上の内丹家は何宗何派で、名や号がどのようであっても、どれもほ ぼこの範囲を出ることはない。そして、それらは上に述べた特徴の煉養体系や方法が反映されていなければ、一般には内丹の系統であると見なすこ とはできない。