ガテー ガテー パーラガテー パーラサンガテー ボーディー ス ヴァーハー

 この真言は文法的には正規のサンスクリットではない。俗語的な用法であって種々に訳し得るが、決定的な訳 出は困難である。この真言は本文の内容を総括的に神秘的に表出するものであるから、古来から翻訳されなかった。漢訳もチベット訳も音写の みで、内容を訳していない。ここにはただ参考のため、訳の一例をかかげると、「行ける者よ、行ける者よ、彼岸に行ける者よ、彼岸に完全に 行ける者よ、悟りよ、スヴァーハー」。
ガテー以下の四語は恐らくガターなどという女性形単数の呼格であろう。プラジュニャー・パーラミターを女性的原理とみなして呼びかけたの であろうと解せられる。ポーディーも呼格である。スヴァーハーは、願いの成就を祈って、呪の最後に唱える秘語である。またガテーを於格に 解すると、次のようにも訳し得る。「行けるときに、行けるときに、彼岸に行けるときに、彼岸に完全に行けるときに、さとりあり、スヴァー ハー」。
ともかくいずれにしてもパーラミター(到彼岸)という語の通俗語源解釈にしたがっているのである。