Yearly Special 2003
鉄写(テツ)るんです! III(スリー) 〜 レンズつきフィルムで鉄道写真 (part-2) 〜

JPEG 15KB

※ 作者より : これは2003年エイプリルフール用の特別企画ですが、単なる冗談や嘘ではありません。画像は実際に「レンズつきフィルム」で撮影したものです。


ふたたび個性派カメラを鉄写に使って

衝撃(笑撃?)の鉄道写真撮影記から2年。その間にレンズつきフィルムの世界も変化を遂げている。そこで最近のユニークな3つの商品を持って鉄道写真の撮影にチャレンジしてみた。今回はどんな絵が撮れるだろうか?

JPEG 42KB
望遠撮影 - 手前のボケ具合に注目 (栢山〜開成 2003.3)
[写ルンです New 望遠]

撮りっきりコニカ Wai Wai ワイド

JPEG 8KB

前にも書いたが、レンズつきフィルムのレンズ焦点距離はおおむね30〜40mmというところである。その中で17mmという超広角レンズが用いられるこの商品はかなり異色の存在である。

これにはもちろん目的があって、これは昨今よく行われる「自分撮り」での画質向上を目論んだ回答の一つなのである。手を伸ばして自分に向けた距離がだいたい40〜50cmとなるが、ふつうの形では最短距離(約1m)を満たさずピンぼけを起こしてしまうのだ。

レンズは広角であるほどに被写界深度が深くなる特質を持っている。レンズつきフィルムはみなフォーカスリングを持たないパンフォーカス形で、広角にすることは最短撮影距離・すなわちピントの合う範囲を手前まで持ってくることが可能になるということである。また、何かを背景に自分を映す場合も、背景と自分の双方を大きく取り入れることが可能となる。

筐体はかなり横長の大きさだが、ホールディングは悪くない。巻き上げのラッチの音がしない「サイレント巻き上げ」はコニカ製品の特徴である。ファインダーを覗くとその切り取り範囲の広さにまず驚かされるが、視度がすこし合わないように思えた。


JPEG 35KB
超広角撮影 - 画面の広がりに圧倒される (栢山〜開成 2003.3)
[撮りっきりコニカ Wai Wai ワイド]

17mmという焦点距離はコンパクトカメラには全くないし、一眼レフシステムにしてもこのような超広角レンズは一般的でない。(最近ようやく超広角ズームで達しつつある領域だが) 風景を大きく取り入れた画面づくり、被写体にぐっと近寄って迫力の雰囲気を写しこむことができるものである。



写ルンです シンプルEye800 ツーショット用アダプターセット

JPEG 8KB

自分撮りへのもう一つの回答といえるのがこの商品。ピントの合う範囲を前にずらすと、手を伸ばしたくらいの距離でもピントが合うようになる。基本的にはレンズを前に繰り出すものであるが、そんなことのできないこの手の商品に使うのは「クローズアップレンズ」である。

クローズアップ撮影のためのアダプターがついている。アダプターは輪ゴムで本体に止めるが、跳ね上げるだけで通常撮影をすることができる。

このアダプターはクローズアップレンズ、ファインダーミラー、そしてディフューザーで成っていて、ファインダー部が鏡になって自分撮りの構図を決めることができる。近くからは透過するので、ファインダーを覗いたときはちゃんと見える。フラッシュを緩和するディフューザーもマクロ向けらしい。


JPEG 39KB
遠景がボケるなど「レンズつきフィルム」らしからぬ描写 (開成-栢山 2003.3)
[クローズアップアダプター使用]

通常撮影で得られるものはごく普通のスナップという感じだ。一方クローズアップをすると遠景は当然ボケて、普通のレンズつきフィルムではなかなか得られない「距離感」というものを見せてくれるものである。


写ルンです New 望遠+140mm望遠アダプターセット

JPEG 8KB

前にも試用して、なかなかのものと評価した望遠「写ルンです」。今回はISO 1600のフィルムが詰められた製品に、2002 FIFAワールドカップ記念として発売された1.4倍の望遠アダプターつきの商品を使用した。

もともとの焦点距離は100mmとこのクラスでは最望遠。アダプターを併用すると140mmといわゆる中望遠の領域となり、ちょっと遠くの物体でも大きく画面に取り込むことが可能だ。パンフォーカスなのは変わらないから、ポートレートなどには向かないけれど……

望遠アダプターはレンズ前面に装着し、輪ゴムで後ろに回してとめる。レンズはフロントコンバータータイプで付け外しはすこし面倒。ファインダー周囲もマスクしているが、ただでさえ小さい視野をさらに狭めるきらいがある。


JPEG 16KB JPEG 14KB
望遠単体だとこのくらい (2003.3 東海大学前-秦野) 同じ場所で望遠アダプターを使用したら

使ってみたところ、遠めの被写体はどうもボケ気味のようだ。精度の問題もあるのだろうが、せっかく迫力のある画面になるところなのに残念なところ。またさすがにISO1600だと粒状性がキツいかな、という感じがする。

最短撮影距離は10m(アダプターを併用すると20m)とかなり遠く、意図的に近くに物を置いてボケさせるのも、また「距離感」の演出に使うことができる。


まとめ

というわけで、やっぱりネガですからねえ……というところが実際の感想なのですな。このためにフィルムスキャナを何回も調整していくのが大変だったという……。

製品情報