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さみだれ式開業追跡

2000年度も末の3月下旬になって、首都圏で立て続けに新線が開業・延伸。昨年ようやく関東地区の鉄道全線を走破しきったところで、少なくとも東京都内については一日だって完乗のタイトルを失いたくない! というわけで、たとえ開業日が平日でも朝や夜に無理やり乗りに行っているのでした。

[右: 埼玉高速鉄道 浦和美園駅を出る埼玉高速2000系]



ゆりかもめ / 3月22日 新橋〜新橋(仮)

1996年の「世界都市博」にあわせて急ごしらえで作られた「ゆりかもめ」。開業前にその都市博中止が決まってしまい、誰が利用するのだと揶揄されもしたが、意外にもデートコースとして注目されだし人気が急上昇。その後臨海副都心への大規模アミューズメント施設の建設にともなって、お台場アクセスの定番に成長した。

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ながらく始発の新橋はJRの駅から3分ほど歩いたところにある仮駅での営業だったが、本駅の工事がこのほど完成、3月22日始発から使用開始した。うっかり忘れるところだったので、夜になって新橋に急ぐ。

新しい新橋の本駅は島式ホームで、どちらかのホームに電車がいるような形。一本待つと先頭の「展望座席」の確保も容易だ。発車するとすぐに亘り線を抜けるが、仮駅はそのまん中にあった。15秒で通過し、あっけなく記録復活。

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引き続き汐留(しおどめ)を通過。ここは旧国鉄汐留貨物駅跡地、再開発工事が続いている最中なので、地下を行く都営地下鉄大江戸線ともども休止中だ。

芝浦ふ頭を出て、270度のループをまわってレインボーブリッジへ。本来は高低差の解消のためだろうが、観光としてみるとすばらしい演出法である。

ゆりかもめは臨海副都心をまわり込むように走り、島の反対側を走る電車が見えることも。賑わっていた車内も、お台場海浜公園、台場を過れば空席が目立ち、終点の有明に着く頃には閑散としていた。開業当日の寒々とした雰囲気が、今もどことなく残っているようだ。

[この項 撮影は3月31日]


埼玉高速鉄道 / 3月27日 赤羽岩淵〜浦和美園

朝、府中本町から武蔵野線で東川口へ。電車を降りると駅前に立つモニュメントが目に入ってくる。トンネルを掘ったシールドマシンのカッター。本物とみまごうばかりの大きさだが、実はこれ、鋳物なのだそうだ。川口は「キューポラの街」に知られた鋳物産業の街であった。

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地下駅に降りて、パスネットを自動改札機に突っ込む。パスネット事業者は19社局になった。この秋舞浜リゾートラインが完成したところで、パスネットの展開は20社局をもって一応終了となる。

ホームは島式。腰部までのホームドアの東急目黒線・三田線スタイルである。そう簡単に転落はしないが、うっかり身を乗り出したり、スキー板などの荷物を立てかけたりすると、電車と接触する可能性はある。南北線のように全面ガラス張りにするとそれも回避されるが、建設費がたぶん高くなること、狭苦しく感じることもあって一長一短か。ほどなく浦和美園(うらわみその)ゆきが到着、東急の車を埼玉県で見られるとは。

「地下鉄」という予備知識しか持っていなかったので、開業を知らせるポスターに写る電車を見て、やけに周囲が明るいじゃないか、もしや地上駅か? と思ったら、浦和美園だけは地上駅なのだった。

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浦和美園は2面2線。うちホーム1面はまだ使われていない。橋上のコンコースともつながっていないようだ。しかし改札を抜けて外に出ると、シャッターの降りたゲートがある。ここはワールドカップ準決勝戦も行われる「さいたまスタジアム2002」の最寄り駅、試合開催時にこの臨時ホームと臨時改札を稼働させるつもりらしい。

赤羽岩淵(あかばねいわぶち)に向かう。途中鳩ヶ谷(はとがや)で降りてみた。引上げ線が準備されており、ここで折り返す列車も多い。鳩ヶ谷市はこれまで鉄道のなかった街で、43市 (2001年3月現在) を擁する埼玉県で鉄道のない市はここと八潮(やしお)市だけだった (八潮にも常磐新線「つくばエクスプレス」が通る)。開通に対する期待も大きかったことだろう。ただ、市の中心部に近いはずなのに、地上に出ても大したものがない。朝食でも摂ろうかと思ったが当てが外れた。駅の上には市民センター「ダブ」。鳩 (dove) ですね。pigeon ではいけなかったのかな?


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これから町の様子も変わっていくのだろうか? 地下鉄が開通した場合は、地上の鉄道のそれと違って周囲の環境が変化する速さがなんとなく違うような気もしてしまって。

とろとろと走る電車に揺られて白金高輪へ。「直結電車。」がキャッチフレーズだが、直結に結構時間がかかる。都心部でうねうねと曲がる南北線のせいなので致し方なし。三田線車に乗り換えて武蔵小杉へ、今日は「東横特急」がデビューする日でもある。


東京臨海高速鉄道・りんかい線 / 3月31日 東京テレポート〜天王洲アイル

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ゆりかもめ「ちょっと延伸」からたった一週間後。こういうのってホント困るよなー、どうせなら一緒に開業してくれればいいのに……とぼやいたところで詮無いので、ゆりかもめの乗りなおしも兼ねて、また臨海副都心へ足を運んだ。桜の咲く中、時折雪も降る土曜日だった。

遊園地「お台場」の遊戯施設という感のあるゆりかもめと違って、地下を素っ気なく走るりんかい線の存在感は薄い。始発が新木場というハンデもあり、いまだ4両編成でほそぼそと営業している。ホームは10両ぶん用意されているが、使われていない立入禁止区域でも行先表示器が動いているのは、電気の無駄づかいではないかと思う。

埼京線との相互直通運転を開始する大崎への延伸を前に、まずは東京西南部から臨海副都心へのアクセス改善を、と天王洲アイルまでの先行開業となった。


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お台場海浜公園〜東京テレポートと有明〜国際展示場、どっちが近かったかなと、また展望席の車窓を見ていると、前者のほうが近いような気がした。が、まあいい。再度有明から国際展示場へ歩いていく。

東京テレポートから線路は東京港を横断する。前を見ていると、単線シールドトンネルをしばらく進むと線路が寄り添い、亘り線で右側の線路に移動。また分岐器があらわれ、左方向にも別のトンネルが口をあけている。これを左に進むと東京貨物ターミナルに向かうが、その中に八潮車両基地が建設されている。りんかい線は右側の線路を引き続き進み、天王洲アイルに到着した。テレポートから3分。

反対側の線路は引いてあるだけでホームには柵が立てられ、当面は単線の使用となる。折り返しの最短時間が4分くらいと見たが、現状ラッシュ時でも運転間隔は最短6分。

「東京モノレール」への地下通路の案内に沿って地上に出ると、ちょっと先にモノレール駅。道路を進んでいけと言いたげだが、あいにくの雨。階上の屋根つき連絡通路はJALビルからつながっているので、天気の悪い日は案内を無視してJALビルの2階へ行くのが正解らしい……が、あとから地図で見直すとものすごく遠まわりだ。乗り換えにこんなにかかると (まっすぐ行っても5〜6分)、アクセスが改善されたとはちょっと言いがたい。確かに乗ってしまえばあっという間なのだが。

なんとなく、久しぶりの東京モノレールに乗りこんでしまい、羽田空港からバスで川崎へ。