財務システムの一考察


はじめに
私たちは、よくどんな会計ソフトがいいかよく尋ねられます。どれも長所も短所もあり、一概には言えないと思う。特に関与先等会社で使われるソフトに関しては、予算等もありますし、業種的に特長のある建設会社、医療法人等は対応できない場合が殆どだからである。税理士や会計事務所に何の経理ソフトがいいかを聞くことは無意味かもしれない。何故なら私たちと一般の経理処理は根本的に違うからである。
一般会社の場合
一般に会社の経理は、現金出納帳、預金出納帳、手形帳、売上帳、仕入帳等のいわゆる補助簿の記入が中心で、これをいかに迅速に且つ他の帳簿と照合しながら管理できて、その結果として整合性ある振替伝票が出来るかにポイントがある。すなわち、特に中小企業においてはこのような補助簿と突合せの出来た結果の仕訳でなければ、コンピューターを使っている意味は何も無いのである。同じ取引をまた財務システムに入力しなければならないほど馬鹿でおろかなことは無い。このような会社は、ワープロの専用機で試算表や他の帳票類を打ち込むような御仁と何ら変わり無く、これは効率の点からばかりでなく同じ取引を2度打ち込むことは、不正にもつながり、実に融通が利きすぎる。今年の税制改正で「電子帳簿保存」が認められようとしているが、かなりハードルが高く感じるのはこの辺に理由があるのではないかと私は考えている。
税理士事務所の場合
税理士事務所の場合は、関与先から頂いた上記の仕訳を集計し試算表や決算書へつなげていくので、ワープロ的な使い方が殆どである。従って必要なことは、如何にいろんな業種に対応できるか、いろんな勘定科目に対応できるかがポイントで、もうこの段階では、取引数、仕訳の数、補助簿との整合性は関係無く、他の法人税の申告書や概況書等に間違い無く転記され、官公庁に提出できるものが出来あがればいいのである。
まとめ
市販の経理ソフト及び税理士事務所のソフトは、ワープロである。システムでは無い。関与先でシステムの中で出来あがった仕訳を税理士事務所に送付し、税理士サイドで監査できそれを決算書につなげていくのが理想である。関与先では、システムの中で出来あがる試算表が見れれば利益はつかめるので、現状のような経理ソフトは意味が無いのである。「ActiveX 財務会計研究会」が、単に経理ソフトの統一を目指す方向でなく、関与先の業務データを吸い上げる方向で進んでもらいたいと私は考えている。