
藤井懶斎著「閑際筆記 和漢太平広記」より抜粋
(「日本随筆大成<第一期>第17巻」、S51.3.10、日本随筆大成編輯部編、吉川弘文館より)

ここで、香西郡も香西氏も「カサイ」と読ませているが、「コウザイ」が正しいのではなかろうか。上記のふりがなは誰がふったのであろうか。懶斎著「睡餘録」(上記とほぼ同内容)をある人が手書き書写したものをみるとふりがなは打たれていない。「閑際筆記」は全面に渡ってふりがなが打たれているが、原本にはふりがなはあったのだろうか。誰が「カサイ」とふりがなを付けたのだろうか。
「中世の讃岐国人香西氏の名字の読みについて」(田中健二著,[「香川史学第30号」H15.8.25, 香川歴史学会編]に収載)という記事によれば、香西氏も地名の香西も古文献では「かうさい」(=「コウサイ」又は「コウザイ」)と発音されていたと書かれている。
香西を「カサイ」と読むのは、香西郡笠居(カサイ)郷と混同されたのではなかろうか。(「倭名類従抄」では笠居は昔「カサオリ」と読んでいたことがわかるが、いつから「カサイ」と呼ぶようになったのか。)