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500系新幹線電車    (2009.2.8)

振り子式車体傾斜システム搭載のN700系電車が主流になってきた東海道山陽新幹線で、職場を失いつつある500系電車。1997年、JR西日本が主体で開発し、現在でも最高速の東海道山陽新幹線用電車です。16両全てが電動車で、鋭く尖った先頭車、航空機を思わせる球に近い車両断面、油圧ダンパ付垂直上下のシングルアームパンタグラフ、緊急停止用のシリコン噴霧器という高速運転装備で、山陽新幹線区間(姫路駅以西)では当時最速の300系のぞみ型電車を凌ぐ営業最高速度300km/hを実現しました。この後登場した700系電車の最高速度は、285キロ/時であり、2008年に登場したN700系も同じ300km/hなので、500系の300km/hのスピードは、今でも破られていません。
 
でも、この500系は、山陽新幹線区間の最高速度こそN700系と同じものの、振り子式車体傾斜システムを搭載していない為、東海道新幹線区間ではN700系に比べ決定的な弱点があるのです。N700系は車体傾斜システムのおかげで、これまで255km/hの制限がかかっていた半径2,500mの曲線区間でも270km/hで走行できるようになり、東海道新幹線の約3分の2以上の区間で270km/hで走行できるようになったのです。車体傾斜システムのない500系では東海道新幹線で最高速度270km/hを出せる区間は全体の約3分の1程度しかありません。N700系は、さらに加減速性能の向上により、東京 - 新大阪間では従来の500系・700系の「のぞみ」と比べて運行時間は最大5分短縮され、最速列車の所要時間は2時間25分となったのです。これが、500系廃止に拍車をかけ、JRでは、2009年度には東海道・山陽新幹線直通の「のぞみ」を、さらに2011年度をめどにすべての「のぞみ」をN700系に統一する予定としています。
 
この500系は、子供達には、このスピード感溢れるデザインが人気で、500系を指定して乗車する家族連れも多いそうです。一方、天井が低くうっとうしく、先頭車の前寄りに出入口がないことからビジネス客の評判が悪く、乗車定員が少なく、他の新幹線系列との車両の代替が難しいことで、運行現場からも嫌われているそうです。でも、個人的には、「先頭車両は重い電動車でなければならない」という京浜急行電鉄の車両哲学に共感するところがあり、出張などでは500系を好んで乗るようにしていました。動力集中型のTGVと単純に比較はできませんが、やはり先頭が電動車なのは安心感があります。先頭が重いのは線路への追従性が良いし、万一の場合にもダメージが少ないし、かつ電動車だと運転手は動力状況を肌で感じることができるのでスムーズな運転がしやすいと言われています。
先頭車 T字型パンタグラフ側面

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