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アンセルメのチャイコフスキー3大バレエ音楽 (2005.4.23)
エルネスト・アンセルメが亡くなって、35年以上経ちました。
彼は、フランス系音楽の演奏を得意とし、彼自身が組織した、スイス・ロマンド管弦楽団による多くのレコードを残しています。
その中で、チャイコフスキーの「白鳥の湖」、「眠りの森の美女」、「くるみ割り人形」の3大バレエの全曲録音は、彼の偉業の一つだと思います。
アンセルメのこれら3曲のレコードは、1959年のものです。もちろんアナログ録音。でも音の良さで定評のある英国デッカ社のFFSS録音。ディジタルの最新録音にも引けをとらないくらいの素晴らしい音質です。
バレエ音楽というと、クラシックの他の曲に比べて、低く見られがちです。
踊りの為の伴奏であり、聴かせるためのものではないというわけです。
でも、私はアンセルメが指揮したこれら曲は、いつ聴いても新鮮な驚きを覚えます。
とにかくテンポのとり方がうまいのです。この演奏で踊ったら、どんなに踊りやすいことだろう、と感じるくらいです。実際、このレコードで踊ったバレエ団もいるほどですから。
これには、彼が若い頃、ディアギレフのバレエ・リュッス(ロシアバレエ団)の指揮者であったことが影響しているに違いありません。彼は、1915年バレエ・リュスに指揮者となり、1918年ジュネーヴにスイス・ロマンド管弦楽団を創設しました。(ロマンドとはフランス語圏のことだそうです)
彼は、地方の三流でしかなかったオーケストラの技術を磨き、世界一流のオーケストラにまで育て上げました。第二次大戦後英国デッカ社に、バレエ音楽を中心にその膨大なレパートリーを録音するようになりました。
特に傑出しているのが、「くるみ割り人形」だと思います。
最近ではいろいろな「くるみ」も出てきましたが、以前はアンセルメ盤しかありませんでした。これは大変な名演で、実にロマンチックな雰囲気に満ちています。 それにしても、かなりの高齢になっても、こんなロマンティックな曲を作ったチャーコフスキーという作曲家、素晴らしい人ですね。
これらは、もともとアナログのレコードでしたが、3曲ともCDに復刻されて出ています。名演がCD化されて、末永く愛されるのは嬉しいことですね。
白鳥の湖:DECCA UCCD-3033/4 1959年6月ジュネーブ、ヴィクトリアホールで録音
眠りの森の美女:DECCA UCCD-3035/6 1959年4月ジュネーブ、ヴィクトリアホールで録音
くるみ割り人形:DECCA UCCD-3037/8 1959年9月ジュネーブ、ヴィクトリアホールで録音
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