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モーツァルト11歳の音楽劇     (2006.8.13)
 歌劇の処女作「アポロとヒヤキントス」

モーツァルトの歌劇の処女作は、12歳の時に作られた「ラ・フィンタ・セ ンプリーチェK.51」(みてくれの馬鹿娘)とされ、同じ年に 「バスティアンとバスティエンヌK.50」も作曲されています。 しかし実際はこれら2曲よりも前にモーツァルト11歳の時、2つの音楽劇が作られています。 「第一戒律の責務K.35」と「アポロとヒアキントスK.38」です。 「第一戒律の責務」はオラトリオ的な作品なので、「アポロとヒアキントス」が本当の歌劇の処女作と言えるでしょう。 この曲は、ザルツブルク大学の学生達の劇の為に作られたもので、9曲のアリアと 重唄および序曲から成り、その間をレチタティーヴォがつないでいくもので す。全体で1時間ほどの5人の歌手によるラテン語の音楽劇です。 1767年に悲劇「リューディア王クロイソス」の幕間劇として、ザルツブルク大学で初演されたそうです。 なお、モーツァルトはそれより前の5歳の時、ザルツブルク大学の大講堂で、学校劇「ハンガリー王ジキスムント」に 踊り手として出演したそうです。
ちなみに、旧ザルツブルク大学の大講堂(現在の神学部、ホーフシュタ−ルガッセの講堂劇場)は、2006年のモーツァルト生誕250年に向け 抜本的な改修工事が行われ、この「アポロとヒアキントス」が上演されるそうです (オーストリアのMozart2006のページ)。

羊飼の姿で王家に現れたアポロの神が王女メリアと相愛の仲になります。メリア を想っていたゼフィロスは嫉妬して王子ヒアキントスを殺しアポロに罪をな すりつけてしまいます。しかしヒアキントスは息絶え絶えに犯人はゼフィロスだと言っ たので、アポロとメリアは結ばれます。アポロは神の力でヒアキントスをヒア シンスの花に生れ変わらせます。
以上のようにたあいないストーリーですが、このあと作られたジュングシュピール 「バスティアンとバスティエンヌ」を想わせる旋律が随所にみられ、 アリアと重唱が巧みに組み合わされた美しい音楽劇です。 それにしても、小学5年生位の少年がこんな音楽劇を作ったなんて信じられません。 やはりモーツァルトは天才です。

このオペラ「アポロとヒヤキントス」はめったに上演されることもなく、レコードも極めて少いのですが、 私は、1998年頃、このレーザーディスクを手に入れることができました。 1983年のミュンヘンのテルツ少年合唱団による演奏の全曲録画で、当時、長島伸子など日本の若い演奏家の演奏を 積極的に取りあげてレコード化していた「プラッツ」レーベルからの発売でした。 きっとモーツァルト愛好家の為の採算度外視の販売だったのでしょう。 ところが、その後「プラッツ」レーベルはなくなってしまい、このレーザーディスクも絶版となっていました。 この映像を観たくても観られくて悔しがっていた方も居たことでしょう。
ところが最近、CS放送のシアターテレビで、このテルツ少年合唱団による演奏のオペラが放映されました。 モーツァルト生誕250年記念ということでしょうが、こんな珍しい作品を取り上げて放送してくれた シアターテレビに、もと野球監督の大沢親分ではないが、「あっぱれ」と言いたい。受信料も月額500円ととても安く良心的ですし・・・。 改めて、少年たちの可愛らしい舞台を堪能しました。しかも放送の方がレーザーディスクより画質が良いようで、 HDDレコーダーにバッチリ録画しました。
  キャスト:テルツ少年合唱団員
  指揮:ヘルムート・ミューラー=ブリュール
  演奏:カペラ・クレメンティーナ管弦楽団
  収録:1983年夏 ドイツのブリュール城内

私はこの「アポロとヒヤキントス」はもう一枚レコードを持っています。 エディット・マティス、アリーン・オジェー他ハーガー指揮モーツァルテウム 管弦楽団の演奏です。こちらは、蒼々たるキャストによるもので、 テルツ少年合唱団員とは違った本格的な歌唱を楽しめます。


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