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The Japan Ballet        (2001.9.15)
<新作バレエ:アレテーの上演>

松山バレエ団の「The Japan Ballet」を観てきました。
 
私は、いわゆる、バレエコンサートはあまり好きではありません。バレエは、全幕通して観るのが本来の姿だと思います。
バレエコンサートですと、否応なしにダンサーは、他のダンサーを意識し、往々にして技術の競い合いになる場合が多いからです。超絶技巧のオンパレードとなりかねません。バレエは曲芸ではなく芸術です。テクニック偏重は疑問です。
 
むしろ、バレエコンサートは発表会に良いものがあるようです。
これから羽ばたこうとする若いアダンサー達が、懸命に踊る姿に感動する場合が多いのです。彼らにしてみれば、自分が無事に踊りきることで精一杯。他のダンサーを意識する余裕などありません。歯を食いしばって、必死に踊るけなげな気持ちが伝わってきて、感動する場合が多いのです。
 
「The Japan Ballet」も、発表会に近いものです。1日目が若手団員中心、2日目がバレエ学校の生徒達中心の踊りなのですが、ただ今年は1日目に 森下洋子舞踊歴50年記念の新作「アレテ−」の上演があるということでしたので、1日目に見に行くことを決めました。
 
「アレテー」とは、ギリシャ語で「徳・正しい栄え・正義」を意味するそうで、バレエの演出・振付は、清水哲太郎氏。
マ−ラ−の交響曲第4番を使っていて、森下洋子さんは、3楽章途中から4楽章を踊られました。
 
クラシックなのですが、少しモダンな香りもする振り付けです。
私は、モダンは好きではないのですが、森下洋子さんの良さがうまく表現されているような振付で、とても快い感じでした。
登場から、約30分間、森下さんは踊りずめです。ソプラノ独唱付きの第4楽章、決して踊りやすい曲とは思えないのですが、音楽をしっかり手中におさめた美しい踊りに圧倒されました。
 
ただ森下さんの存在があまりに大きいので、他の人たちが霞んでしまうのです。
森下さんが居なくなってしまったら、松山バレエ団はどうなるの?、と心配になってしまいます。
森下さんは53歳。普通のバレリーナでしたら、とうに引退している年代です。ここまで頑張っておられる森下さんに、敬服の念を抱くと同時に、このままでは彼女はいつまでも辞めることができないなと、気の毒のような気持ちにもなってしまうのは私だけでしょうか。


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