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バレエ・コンクール「エリック・ブルーン賞」 (2004.6.2)
デンマークが生んだ世界的ダンサー、エリック・ブルーン(1929〜86)の名を冠したバレエ・コンクール「エリック・ブルーン賞:Ballet:Erik Bruhn Prize」。1988年の第1回大会の様子が、CS放送クラシカジャパンで放送されました。
この第1回は、ブルーンが深く関わった4つのバレエ団から8名の男女が、古典のパ・ド・ドゥと現代作品を競いました。
その8人は、ボニー・ムーア、ウェス・チャップマン(ABT)、ヴィヴィアナ・デュランテ&エロール・ピックフォード(英国ロイヤルバレエ)、ローゼ・ガド・ポールセン&ロイド・リギンズ(デンマーク王立バレエ)、マルティーヌ・ラミー&オーエン・モンタギュー(カナダ国立バレエ)です。
バレエ・コンクールと称していますが、出演者はそれほど緊張しているようではなく、むしろガラ・コンサートと言ってもよい位、楽しいものです。どのダンサーも若々しく、軽快で、とても楽しめました。
まず地元カナダ・ナショナル・バレエのマルティーヌ・ラミー。「黒鳥のパ・ド・ドゥ」を踊りましたが、バランスに僅かに危ういところがあったものの、丁寧な叙情的な美しい踊りで顔の表情も明るく、とても素敵でした。
ただ、グランフェッテ・アントゥールナンは相当辛そう。途中軸足が崩れてハッとした
ところがありましたが、必死に持ち堪えて最後まで頑張ったのには感動でした。
「無事終わって良かった」と言っているようなホッとした表情が魅力的でした。
「ドン・キ・ホーテ」のパ・ド・ドゥのヴィヴィアナ・デュランテが素敵です。
1994年にデュランテが出演した「眠りの森の美女」のビデオは素晴らしいものですが、
このコンクールはそれより6年も前のもの。彼女、おそらく20代前半でしょうが、
今より幾分ふっくらとして、初々しくて、うっとりでした。
32回のグランフェッテも全く危なっかしいところがなく、フィニッシュもばっちりと決まって、
観客の喝采を受けていました。パートナーのピックフォードは力強い踊りでサポートもうまく、男性の優勝者になりました。
続いて、デンマーク王立バレエのポールセンの「ラ・シルフィード」。彼女は女性の優勝者になったのですが、私はあまり印象に残りませんでした。美しい容姿ですが、淡々と踊っているようで、訴えるところがないのです。むしろ「葉は色あせて」の方が良かった。
ABTのポニームーアは、とても華やかな素敵なバレリーナです。
「眠りの森の美女」「ロミオとジュリエット」とも魅力的でした。
オーロラ姫は美しく、難しい3度のフィッシュダイブもばっちり決めましたし、
感情表現たっぷりのジュリエットも見事でした。
クラシカ・ジャパンの視聴料はとても高いのですが、このような優れた放送をしてくれると、料金の高さも納得がいきます。
国際バレエ・コンクール「第1回エリック・ブルーン賞(Ballet:Erik Bruhn Prize)」
(1)マルティーヌ・ラミー&オーエン・モンタギュー(ナショナル・バレエ・オブ・カナダ)
白鳥の湖(ブルーン振付)〜黒鳥のパ・ド・ドゥ、ブルースネーク(ロジェ振付)〜バルーン・ヘッド・ダンス、春の祭典(テトリー振付)
(2)ヴィヴィアナ・デュランテ&エロール・ピックフォード(英国王立バレエ)
ドン・キホーテ(プティパ振付)〜グラン・パ・ド・ドゥ、四季(マクミラン振付)〜夏、秋
(3)ローゼ・ガド・ポールセン&ロイド・リギンズ(デンマーク王立バレエ)
ラ・シルフィード(ブルノンヴィル振付)〜第2幕のパ・ド・ドゥ、葉は色あせて(チューダー振付)〜パ・ド・ドゥ
(4)ボニー・ムーア&ウェス・チャップマン(ABT)
眠れる森の美女(マクミラン振付)〜第3幕のパ・ド・ドゥ、ロミオとジュリエット(マクミラン振付)〜バルコニーのパ・ド・ドゥ
[指揮]バリー・ワーズワース[演奏]カナダ・ナショナル・バレエ管弦楽団
1988年モントリオール
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