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ダーシー・バッセルのローズ・アダージョ (2004.04.03)
英国ロイヤルバレエのダーシー・バッセルが踊った、素敵なローズアダージョの映像があります。
コヴェントガーデン王立歌劇場の新装記念公演「オペラ&バレエのガラ・コンサート」の中のものです。
ダッシー・バッセルは、伸びやかな肢体を存分に使い、春風のようにおおらかで、オーロラ姫とはこうもあろうかと微笑ましさを感じます。
お目当てのアチチュードのバランスは見事です!!。
1人目は握りしめていた王子の手を緩めて、2本の指先だけで軽く掴まり、そっと離して、長〜いバランスを保ちます。
2人目はややバランスの時間が短かくなってしまいましたが、圧巻は3人目です。
3人目の王子のサポートの手を離した後、アンオーに腕を挙げたまま、4人目の手に一切触れず、一気に次のアラベスクへと続けます。わずかに上体がふらつき、一瞬表情が険しくなりましたが、落ち着いて、小刻みにポアントの足首を動かして、歯を食いしばって必至にふらつきを堪え、長〜い長〜いバランスを維持します。思わずはっと息をのみ、瞬きを忘れて見入ってしまう瞬間です。
とにかく体が柔らかい。王子に腰を支えられて体を前に倒すアラベスクでは、頑張って垂直に180度まで足を上げて静止します。
後半のアチチュード・アン・プロムナードも素晴らしい。手を離して、前傾ぎみの上体をすっと上げて姿勢を正し、たっぷりバランスをとった後、ゆっくり手を下ろして掴まります。最後のアラベスクを決めたところで、期せずして観客の拍手がわきました。
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クラシックバレエで最も難しい場面で、ベテランのバレリーナでも足がすくむほど緊張すると言われるローズアダージョのバランス!!。しかも、エリザベス女王など王室の面々がご列席の晴れの舞台。
相当のプレッシャーだったのでしょう、終わり近くには、彼女の背中には汗が光っていました。でも、緊張を少しも表情に出さず、終始にこやかに、かつ完璧に踊りきったのは流石だと思います。
それにしても、新装記念公演のバレエの部の先頭に「ローズアダージョ」をもってくるなんて、英国ロイヤルバレエのこの「眠りの森の美女」への自信と意気込みを感じます。
それに見事に応えたダーシー・バッセルもさすがだと思います。
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「眠りの森の美女」は、ニューヨーク公演の時、無名のフォンティーンが一夜にしてスターになった踊り。この時も、「ローズアダージョ」のアチチュードのバランスが素晴らしく、拍手喝采だったそうです。
それほど、「眠りの森の美女」の「ローズアダージョ」は、ロイヤルバレエの十八番(おはこ)なのだと思います。
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