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ベルリン国立歌劇場の「白鳥の湖」 (2000.10.29)
ベルリン歌劇場のバレエ「白鳥の湖」のDVDが出ています。国内盤ではなくドイツからの輸入盤です。
オデット/オディールはシュテフィ・シェルツァー、王子はオリバー・マッツ。
このDVD、いつも行くレコード店で偶然見つけたのですが、今更「白鳥の湖」と思いながら、指揮がダニエル・バレンボイムということで衝動的に買ってしまいました。
なぜなら、一月ほど前にBS2で同じダニエル・バレンボイム指揮の「くるみ割り人形」を見て、音楽と舞踊のすばらしい調和を実感していたからです。この「くるみ・・・」では、バレンボイムは、演奏がリードしながらも踊りを無視せず、流れるような見事なステージを演出していました。
さて、今回の「白鳥の湖」ですが、こちらも期待にたがわず、とても演奏と舞踊が溶け込んだ気持ちの良い舞台です。往々にして、バレエの舞台では、踊り手中心でオーケストラは付属品となりがちですが、このステージはそうではありません。
バレンボイム指揮するベルリン国立歌劇場管弦楽団の一糸乱れぬ優れた演奏にのって、踊り手たちがのびのび踊っているという感じで、音楽と舞踊の調和という意味では、先の「くるみ・・・」以上のように思いました。
シュテフィ・シェルツァーというバレリーナ、私は初めて見たのですが、すらっとしたとてもきれいな人です。体もとても柔らかいようで、アラベスクでは足が180度まで軽々とあがります。丁寧に踊っていて、グランアダージョは憂いを帯びた表情で、指先まで神経が行き届いていて素敵です。ただ丁寧なだけに、オディールにはもう少し迫力があってもよいかなと思いましたが、全体的にはとても品の良い踊りで好感を持てます。
アダージョのバランスはとても良いですし、32回のグランフェッテアントュールナンも軸足のずれも少なくとても正確です。黒鳥のパ・ド・ドゥ踊り終えて、息ををはずませながら、ホットしてにっこりした表情がとても可愛らしく素敵でした。
V
なにはともあれ、バレンボイムの指揮によって、流れるように舞台が進んで行きます。日本のバレエ団の公演を見に行ったとき、オーケストラが下手で、何とかならないのと思うことがありますが、バレエ公演でも演奏が良いとバレエも更に引き立つということを如実に示しているように思いました。
それから最後のカーテンコールでは、「くるみ割り人形」と同様、オーケストラの全員が舞台に上がって挨拶しました。バレンボイムは、バレエは総合芸術、オーケストラもダンサーと一緒にステージを作っているのだと言いたかったのではないでしょうか。
それからこの録画は1998年と新しいこともあり、とりわけ映像が鮮明です。バレリーナの繊細な指先、表情、額に浮かぶ汗まではっきりと見ることができます。まさにDVDのためにあるような映像です。
ロットバルトの衣装がタキシードの点など従来の「白鳥・・」と異質な気がするところがありますが、全体的にはとても楽しめた映像でした。
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