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ベルリン国立歌劇場の「くるみ割り人形」     (2000.10.9)

BS2のクラシックロイヤルシート(土曜日の深夜)でベルリン国歌劇場の「くるみ割り人形」を見ました。
今まで幾度か見た「くるみ・・・」ですが、今回はチョット異質に感じました。
 
それもそのはず、ベルリン国歌劇場管弦楽団を指揮するのは、大指揮者ダニエル・バレンボイム。
完全に音楽がバレエをリードしています。全編がバレンボイムのペースで進められて行くのです。
 
私が今まで見てきた多くのバレエは、踊り手のペースで進められ、指揮者は踊り手に合わせて伴奏していくというのが普通でした。それに引き替え、今回は指揮者が完全に主導権を握っているのです。
でも、さすがバレンボイム、踊り手をリードしているとはいえ、決して踊り手無視の自分勝手な指揮をしているのではありません。主役のマラーホフやシュレーダーも音楽にリードされていても、少しも踊りにくそうではなく、むしろよく音楽にのって、とても気持ちよさそうに踊っているのです。
 
日本のバレエ公演を見に行くと、舞台の踊りは素敵なのに、伴奏のオーケストラがとても下手で、一生懸命に踊っているダンサー達が気の毒に思えることがあります。今回のように、しっかりとしたオーケストラのサポートがあれば、ダンサー達は安心して、さぞ気持ち良く踊れたのではないでしょうか。2時間という時間を感じさせませんでした。
そして最後のカーテンコールでは、オーケストラの全員が舞台に上がって挨拶。指揮者が最後にステージに上がるのは見たことがありますが、楽団員全員が上がったのは見たのは初めて。バレンボイムのオーケストラ重視の現れだと思います。
 
私の大好きな大指揮者、故エルネスト・アンセルメは、演奏会でオーケストラを指揮するかたわら、自ら進んで、当時一世を風靡したバレエ・リュッスで、バレエも指揮もしていました。ストラヴィンスキーを初めとする近代のバレエ作品の初演は、彼の指揮によるものが多いのです。バレエは総合芸術ということを身をもって示していたのだと思います。踊り手はもちろん、指揮者、管弦楽が全て揃ってこそ、素晴らしいものとなるのだと思います。
その意味で、このベルリン国歌劇場の「くるみ割り人形」は興味深いものでした。
 

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