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バレエ:ギャラントリーズ         (2006.1.15)
ビントレーによるモーツァルトの喜遊曲のバレエ化

今年は、モーツァルト生誕250周年。NHKも民法テレビも、モーツァルトにちなんだ番組を多く組んでくれているようで、 モーツァルト好きの私にとっては、嬉しいことです。 そんな中、CS放送のクラシカジャパンが、モーツァルトの音楽を使った珍しいバレエを放送してくれました。デヴィット・ビントレーの「ギャラントリーズ」です。
英国の振付家デヴィット・ビントレーは、英国ロイヤルバレエのアシュトンやマクミランの系譜にあって早くから作品創りを手がけていました。 「ギャラントリーズ」は、ビントレーが、1986年のカナダのハノーヴァー万博の為に作ったものだそうです。モーツァルト十代の作品「デヴィルティメントK.205」と「セレナーデK.101」を用いて、18世紀の優雅な宮廷風ダンスを巧みに取り入れたバレエです。 ビントレーは、「ペンギンカフェ」や「ホブソンズ・チョイス」といったどちらかというと前衛的な作品が多いのですが、この「ギャラントリース」は 純クラシックの優雅なバレエです。
ロイヤル・バレエのレスリー・コリア、ブライオニー・ブラインド他12人のダンサーが出演しています。
1988年の正月番組として作られたものだそうですが、リハーサルの部分から、マーガレット王女のご覧になった本番までが収録されています。リハーサルを繰り返して、徐々に仕上がっていく過程をとても興味深く見ることができました。
プリンシパル、レスリー・コレアに対してビントリーが教えているところが映っていますが、ビントリーはプリンシパルと言えども容赦しません。 「ひどいよ、最初からやってみよう」「余計な動きがある。クリエのあと跳ねる必要はない」・・・、ビントレーの叱咤の声が響きます。 ベテランのコレアに対して、皆が見ている前で侮辱とも思える叱咤。年下の振付家から恥をかかされた形のコレアは、はらわたが煮えくりかえるほどだったでしょうが、 怒りをじっと堪え、「希望に応えるのはとても大変よ。彼は若いけれど、実力は著名な振付家に引けをとらない。ご一緒できて光栄だわ。」と言いながら、至難な要求をマスターしてしまうのは流石です。 新進振付家とベテラン・ダンサーの火花の散る対決を見ました。
「モーツァルトは難しいから扱う人は決して多くないが、僕は、簡単なことには興味を持てないんだ。」とビントレー。 こうしてできあがった「ギャラントリーズ」は、約30分の小品ですが、モーツァルトの美しい音楽にのって、至難なパ・ド・ドゥあり、 一糸乱れぬ群舞ありで、とても美しいバレエになっていました。 ビントレーのこの才能は、バーミンガム・ロイヤルバレエに移って次々に開花、現在は、その芸術監督を務めています。
 
CSクラシカジャパンは(736ch)は、積極的に優れたバレエを放送してくれて、バレエファンにとってはとても有り難いことです。 でも、特定のマニアを対象にしていることから受信料はかなり高い。 NHKも受信料を取っていますが、中には「受信料を返せ」と言いたくなるような、つまらない番組もあります。 BSUやBSハイビジョンを使って、このような優れた番組をNHKが放送してくれることを希望します。
    [出演]レスリー・コリア、ブライオニー・ブラインド、ジョナサン・コープ、フィオナ・チャドウィック他
    [振付・演出]デヴィッド・ビントレー
    [演奏]サドラーズ・ウェルズ・ロイヤル・バレエ管弦楽団
    1987年11月リー・スタジオ 

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