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映画「カルメン・オン・アイス」      (2004.9.5)
  カタリーナ・ビット演じるカルメン
素敵な「カルメン」の映画を見ました。オペラでもバレエでもなく、「カルメン・オン・アイス」というフィギュアスケートの映画です。
この映画の主役は一世を風靡したフィギュアの女王、カタリーナ・ビット。ビットは1984年のサラエボ大会に続き、1988年のカナダ・カルガリー大会と冬季五輪2連覇を成し遂げました。このカルガリーのフィギュアのフリーでは、「カルメン」を演じ、観客を魅了しました。 五輪2連覇を目指すカタリーナ・ビット(東ドイツ)、前年の世界選手権で史上初の黒人女王となったデビー・トーマス(アメリカ)。 カルガリー五輪の金メダル争いは、予想通りこの二人の一騎打ちとなりました。 二人が、金メダルを決するフリーの演技に用いたのは、同じ「カルメン」だったのです。 先に演技をしたビットはほぼノーミスで演技をフィニッシュ。 金メダルを獲るには、ビットを上回る演技をしなくてはならなくなったトーマス。 トーマスは、プレッシャーに勝てず、同じカルメンでミスを連発し、凱歌はビットに上がったのです。
当時、シングルのフリープログラムといえば、ただ曲をつなげてそれに合わせて演技を行うという感じでしたが、ビットの「カルメン」以来、プログラムを物語仕立てにして構成する選手が増えたと言われています。
この映画でも、ビットのスケーティングは言うまでもありませんが、驚かされるのは演技力。一時間半があっという間に過ぎてしまいました。最後のホセに刺される場面など迫力満点でした。
この映画、CS放送「クラシカジャパン」からの放映です。「クラシカジャパン」はバレエやオペラを中心に、最近とても珍しい作品を放送をしてくれます。受信料は高いのですが、有り難いことです。
さてフィギュアスケートというと、思い出されるのが、伊藤みどりさんに代表される高度な技。近年はもっと技術的なレベルが上がり、女子も3回転半ジャンプを決めるのは当たり前のようになりました。
でも、私個人としては、3回転半ジャンプの連発を見て拍手を送るよりは、ビットのような3回転でいいから拍手も忘れてのめりこむ様な魅惑的な演技を望んでしまうのです。 最近では、長野、ソルトレーク・シティともに、金メダルはとれなかったものの、バレエのアラベスクのような世界一美しいと言われるスパイラルに代表される、優雅な舞いのミッシェル・クワンが好きです。 このクワン、世界選手権では圧倒的な強さを見せるのに、どうしても、オリンピックでは勝てないのです。2002年自国開催のソルトレークシティーオリンピックで彼女が目指していたのは金メダル。 「ミス・パーフェクト」と言われるクワンも、五輪のプレッシャーに押しつぶされ、ジャンプで転倒、結果は銅メダル。オリンピックの勝利の女神は彼女に微笑みませんでした。金メダリストのサラ・ヒュースに次々と質問が浴びせられる中、彼女は一足先に寂しく会見場を去っていきました。 いたたまれない気持ちだったに違いありません。2006年の次回冬季五輪はイタリアのトリノ。引退か?プロ転向か?というような声も出ていると聞きましたが、彼女はまだ若い(1980年生まれのハズ)。是非、トリノで元気な姿を見せて欲しいものです。

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