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映画「ブラック・スワン」       (2011.6.2)

映画「ブラック・スワン」を見てきました。バレエを題材にしていますが、これはスリラー。バレエと言えば「白鳥の湖」。長年の夢叶って、ついに主役の座を射止めたプリマが妄想に苦悩する物語です。純真な白鳥と邪悪で官能的な黒鳥。その二役を演じきった主役のナタリー・ポートマンには素直に拍手を送りたい。この作品で、彼女はアカデミー主演女優賞を獲ったのですが、納得の演技だと思います。同一人物が、そのニ面性を表現しつくした見事な演技力に、この作品の面白さと凄さがあると思います。ただ、内容としては、ひどくホラーめいていて、彼女の演技を見ること以外には、これといった見所がなく、スリラー映画としても、あまり面白みのない作品かなとも思ったのも事実です。
 
ニナは才能と容姿に恵まれた優秀なバレエダンサー。しかし真面目すぎる性格が災いし、なかなか大きな役を得られない。ある日、稽古場で芸術監督のトマスが、次の白鳥の湖のオーディションを開く事を告げます。案の定、緊張と不安から、ニナはオーディションで失態を演じてしまう。諦めきれないニナは、翌日トマスに直訴。新しいプリマの座を獲得します。しかし、踊りの才能はあるものの、黒鳥に必要とされる妖艶、官能といった要素を全く持ち合わせていないニナは、なかなかトマスの求める演技に辿り着けず、神経をすり減らして行きます。最後は、本格的に病む事になり・・・。
 
一見華やかなバレリーナという職業が実際は過酷だということは痛いほどよくわかるのですが、ここまで見せつけられると、何だか夢がなくなってしまう。プリマバレリーナは大変だと思うけれど、あそこまで主人公を追いつめなくてもよかったのではないかと、観ていて辛くなりました。プリマの孤独感と重圧、壊れていく心、現実とも妄想ともとれるラストシーン。スリラーではあるものの、恐怖意外に、考えさせられるところもありました。
  映画「ブラック・スワン」
  監督:ダーレン・アロノフスキー
  (キャスト)ニナ:ナタリー・ポートマン、トマス:ヴァンサン・カッセル、
       リリー:ミラ・キュニス、エリカ(ニナの母):バーバラ・ハーシー
  2010年、アメリカ映画

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