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「海賊」(ボリショイバレエ)    (2003.11.1)

CS放送「クラシカジャパン」では、最近、ボリショイのプリマ、グラチョーワのステージをよく放送してくれています。「ジゼル」、「ラ・シルフィード」がそうです。
ただ、グラチョーワの身長はかなり高い。おそらく170センチ近くあるのではないでしょうか。この身長が災いしてか、「ジゼル」、「ラ・シルフィード」のような妖精ものでは、妖精の軽やかさ、透明さにやや欠け、「ジゼル」、「ラ・シルフィード」は、いずれもあまり好きにはなれませんでした。
 
しかし、この「海賊」では、グラチョーワは、売られる身分をなげく心が見え隠れする、可憐な奴隷メローダという役どころを、楚々として、上手に表現していました。ドラマチックな役柄の方が彼女は得意のようです。
第二幕パドドウでは、アダージョは長身を生かしたゆったり優雅な踊りが楽しめます。脚を高く上げたデヴロッペのポーズでのはっと息を呑む静止に驚かされます。コーダでのグランフェッテは、相当きつそうですが、必死に回っているといった様子に感動を覚えます。踊り終わって、笑顔で観客に深々と頭を姿には、「うまくいってよかった」といった、ほっとした気持ちがありありでした。
 
このバレエには、幻想の華やかなシーンがあり、主役の見せ場のひとつなのですが、残念ながら、グラチョーワは、こちらではあまり印象に残りませんでした。
1993年の製作だそうですが、新しい割に映像が今ひとつ鮮明でないのが残念です。
 
バレエ「海賊」
 メドーラ:ナデジタ・グラチョーワ
 コンラッド:A・ペトロフ
 1993年、ボリショイ劇場

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