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カラスのカルメン (2004.12.1改)
マリアカラスの唄った歌劇「カルメン」の全曲盤は、「カラスのカルメン」
として発売当時話題のレコードでした。このレコードは私にとっても初めて
買ったオペラの全曲レコードとして、ひときわ愛着のあるものです。LP
レコード3枚組みで6000円と当時学生だった私にとってはかなり高価な
買い物でした。
このレコードはまず録音の良さに驚かされます。当時としては他に例のない
ほどの素晴らしい音質でしたが、ディジタル録音の現在でも引けを取らない
ほどの音の良さです。
とにかく録音レベルが高い。他のレコードを聴いた後、ヴォリュームを変え
ずにこのレコードを聴くとその音の大きさにびっくりします。
アナログレコードですから、針の振動を忠実に音声電流に変えるピックアッ
プカートリッジとこれを増幅するプリアンプが最も再生音に影響する重要な
部分ですが、当時の私が使用していたMM型カートリッジと真空管式ア
ンプでは、最大の音の部分を完璧に再現するにはキャパシティ不足でやや音
が歪んでしまう程でした。現在の装置では、カートリッジ(MC型)もアンプも
余裕があり、ほとんど歪むようなことはなく奇麗に再生できます。
録音レベルが高いということは、それだけSN比が大きいわけで、ピア
ニッシモの部分でもLPレコード特有のサーッというサーフェスノイズが気になりま
せん。
音の良さに加えて、カラスのドラマチックな歌唱に圧倒されます。
まさしく、マリア・カラスのためにある録音と言っても過言ではないでしょう。
おそらく
カラスの数あるレコードの仲でも屈指のものだと思います。
この録音当時マリア・カラスは41歳。すでに最盛期をすぎてやや高音には
かげりが見られるものの表現力のすごさは驚くべきものです。
カルメンの激しい気性がひしひしと伝わってくるすごい歌唱です。
これだけは他の人には決して真似ができないことでしょう。
指揮は当時売り出し中のジョルジュプレートル。早めのテンポで
オーケストラのパリ音学院管弦楽団をぐいぐい引っ張っていく若々しい演奏です。
パリ国立歌劇場管弦楽団は色彩感と明るさに溢れています。
特に弦楽器の軽さと、管楽器の華やかさはフランスならではのものでしょう。
なお、私のコレクションはLPレコードですが、
CDでも出ているようです。
ビゼー作曲、歌劇「カルメン」
出演 カルメン:マリア・カラス、ホセ:ニコライ・ゲッダ他
指揮 ジョルジュ・プレートル、演奏 パリ国立歌劇場管弦楽団、
ルネ・デュクロ合唱団、ジャン・ペノー児童合唱団
録音 1964年7月
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