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シャガールの版画「セブルン族」     (2008.4.13)

美術にさして関心のない私は、マルク・シャガール(Marc Chagall 1887-1985)については、パリ・オペラ座(ガルニエ宮)の天井画を書いた人とくらいしか知りませんでした。
先日、横須賀の百貨店に行ったとき、妻が買い物をしている間、たまたま7階の展示コーナーで開かれていた「マルク・シャガール版画展」を見ていました。私は、その中で、一つの版画に釘付けになりました。 それは、パリ・オペラ座で見た天井画から私が抱いたシャガールの印象から、大きく異なっていました。サイズは小さいにもかかわらず、赤を基調とする色彩が鮮やかで、周囲の青が主体のシャガールの絵から、ひときわ浮き出て見えたのです。
こんな絵を毎日見ていられたら素敵だろうな・・・、と見つめていたところ、買い物を終えて戻ってきた妻が横から「気に入ったのなら、買ってもいいわよ」と言ってくれたのです。 そこで、展示コーナーの店員と交渉、税込み二割引で買い求め、家の玄関に飾りました。
私は、この時まで、この絵がシャガールの作品という以外に、どんな絵か全く知りませんでした。そこで、インターネットで調べてみたら、これは「セブルン族」という版画(リトグラフ)で、エルサレムに建てられたシナゴーク礼拝堂のステンドグラス用にシャガールが書いたものだとわかりました。 シャガールは、フランス国籍を得ましたが、もともとはロシア系ユダヤ人で、何度もイスラエルを訪ねたそうす。彼は、1964年にシナゴーク礼拝堂で、この作品を完成させ、荘重な表現と深い色彩は多くの人々に感銘を与えたそうです。 高さ3.38m幅2.51mの12面の大ステンドグラスにはイスラエルを建国したといわれる12人の兄弟の率いる12の部族を主題にした絵が描かれているとのことです。
今回買った絵は、シャガールがステンドグラスに描く前に、下絵として描いたものを、シャガールが信頼を置く版下画工シャルル・ソルリエが模刻し、リトグラフとしたものだそうで、いわゆる「ソルリエ版」と呼ばれるものの一つで「エルサレムウィンドウ」と言われる、代表的な作品だそうです。 「セブルン族」はその一つで、赤を基本にして、黄、緑、黒を配した美しい絵です。
ところで、私はこの夏、南フランスを旅行する予定です。シャガールは南フランスで晩年を過ごしたので、ニースには、彼の功績をたたえて86歳の誕生日に建てられた、フランス国立シャガール美術館があります。 昨年はシャガールの生誕120年に当たることもあり、昨年から今年にかけて、ニースでは記念の催しもしているようですし、 シャガール美術館では、彼のたくさんの絵を見ることを、楽しみにしています。 また、パリにも寄るので、時間があれば、パリオペラ座のシャガールの天井画をもう一度見て来たいと思っています。


玄関の壁に飾ったシャガールの版画
エルサレムウィンドウより 「セブルン族」
   
   シャガールの天井画(オペラ座)
   (2004年8月撮影)

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